夏とメロンケーキ
誕生日が七月の私。
小さい頃は夏休みに誕生日があるために、学校で誕生会をやってもらえないのが悲しかった。夏休みが終わる頃にはそんなこと誰も口にしない。
村の総合雑貨店であった私の家はクリスマスともなるとケーキの注文が殺到していた。もちろんクリスマスイブに購入は集中し、少し多めに買ってある在庫は私たち家族のものになる。余らせてはいけない気がして翌日もその次の日もケーキ三昧。それでバターケーキが嫌いになったと思う。昔は生クリームなんてものは貴重品だった。
夏の誕生日にケーキを食べたのか。もう昔のことすぎて覚えていないが、多分ケーキは食べていないと思う。いや、町のケーキ屋に買いに行ってくれていたかと考えても、多分兄弟が多すぎてそんなことはしていないはずだ。その代わりにカレーだったのではないか。こども大好きのカレー。きっとバーモントカレー。他のカレーも食べてみたかったのにうちにはそのルーしかなかった。しびれを切らして、エスビーの粉で作ってみるが大失敗。その日はカレーが食べられなかった。
しかし、大人になって、さらにこどもがいる暮らしになって知ったのは、なんとなんとのメロンの乗ったやつである。大体、メロンには縁がない。田舎の夏はスイカである。あととうもろこし。それで十分だったのに、夏の暑さにメロン。最高すぎる。しかも、少し高い。奮発しないと買えないところがやはりメロン様のすごいところである。それにしても、いちごにはない爽やかさが満載なのだ。
一度メロンの素晴らしさを体験してしまった我が家は、数年ほど連続でメロンが誕生日に活躍していた。イチゴの天下はどこへやら、メロンかチョコレート、お父さんはショートケーキが食べたいのに!もちろん聞いてもらえるわけもなく。
夏はケーキが売れないと聞くが、メロンはきっと売れている。そんな贅沢してバチが当たるぞと思いながら、その誘惑に時々負ける私。まあこのろくでもない時代にはそれも許してもらえるだろう。
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