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ばあちゃんのよもぎもち


一年ぶりに実家に帰省します

要介護の祖母が施設に入所することになったのですが
タイミングが入れ違いになってしまい今回は会えなくなってしまいました
入所してもすぐには面会できないんだそうです

祖母も私に似て外面がいいから
きっと友達がすぐできるし
職員さんとも仲良くおしゃべりしながら楽しく過ごせると思う
だといいな


祖母が元気な頃は
よくよもぎのお餅をつくってくれました
あんこいり

東京にでてきたばかりの頃はばあちゃんのよもぎもちが恋しくて
愛媛から冷凍で送ってもらったことが何度かあります

よもぎといえばこの前行ったスーパー銭湯によもぎサウナがあって
一瞬ばあちゃんのこと思い出しました
というのも熱い以外に考える余裕がなくなるほどだったからです

私にとってよもぎ=ばあちゃんみたいなところがあります
近所の城山登りがてらよもぎの草を一緒に採ったり
それでよもぎもちをつくってくれたり
餅付き炊飯器がぶっ壊れて
でかい塊の餅が炊飯器の中から吹っ飛んできた時は超笑いました
それぐらいなんですけど
私の初めてのよもぎはばあちゃんです

今でもコンビニやスーパーに行くと
個包装のよもぎもちを買ったりします


私はばあちゃんとの思い出を覚えているけど
ばあちゃんは私のことを忘れちゃいました
私のことを母の名前で呼びます
一緒に行っていた銭湯も行けなくて寝たきりになってしました
それが一年前の帰省の時です

いつかはと思っていたけどいざその時がくるとやっぱり寂しいです
数少ない私の名前を呼んでくれる人がいなくなってしまいました

記憶って思い出せなかったらなかったことと同じになると思っていて
いつか忘れてしまってなかったことになってしまうなら
せめて嬉しい楽しいって感情だけでも覚えていたいです

もうあんま覚えてないけど楽しかったのだけは覚えてる!みたいな

忘れることができるから生きていけることもあるし
思い出せるから生きていける、
存在の証明になっているのかな、です

私は死ぬ前に何を考えるんだろうって考えます
何を思い出すんだろうって

ばあちゃんのよもぎもち食べたいよー






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