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年金と損害賠償の調整

民法709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」とあります。

この相手方から受けた損害賠償の範囲において、遺族年金・障害年金には調整の規定があり、先に年金給付を開始した場合は、国はその給付の価額の限度で損害賠償請求権を代位取得します。(国年法22条、厚年法40条)

つまり、本来相手方が支払うべきお金を、国が年金として代わりに支払った場合、国が相手方に請求できるということです。

年金受給者から見ると、損害賠償金をすでに受け取っている場合は年金が停止されます。

まだ示談中で損害賠償を受け取っていない場合は先に年金給付が開始され、あとから受取った損害賠償金の範囲で年金額の調整が行われます。

年金の支給停止期間最長3年です。

つまり損害賠償を受け取った場合、ずっと年金を受け取れないということではなく、それまでに支払われた最長で3年分の年金額に達するまで調整されるということです。

このあたりは被害者保護において大切な事だと思います。

調整の内容は損害賠償すべてではなく、いわゆる逸失利益または休業補償費にあたる生活補償費相当部分です。治療費や慰謝料は含みません、

障害年金は原則1年6か月後に障害認定されますから実質的に残りの1年6か月が調整期間となります。

内容に若干の違いはあれど、自動車保険や労災保険、健康保険でも代位取得の規定はあります。

日本年金機構HPには第三者行為についての説明箇所が見当たりませんでした。





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