『工場』小山田浩子 新潮新人賞、織田作之助賞とW受賞の一冊。 「工場」「ディスカス忌」「いこぼれのむし」の短編3話構成。 本のタイトルでもある「工場」では1つの街に匹敵する巨大な工場で働く人々の話なのだが、仕事の内容はというと、書類破棄、書類の赤字入れ、さらにコケ探しなど。働き手はこの仕事に意味があるのか疑問に思いながらも日々を過ごしていく。もちろん給料は貰えるし、生活は安定しているのだが、なんだかパッとしないのだ。 思考停止状態で働いた人々の末路は〇〇に変わり果ててしまう。
『フェイクフィクション』誉田哲也 さて、また好みの小説を発見してしまった。 少し変わっているかもしれないが、宗教が登場する小説が大好きなのだ。 あらすじには、 “首なし死体がすべての始まりだった。 警察組織vs悪魔と呼ばれる男vsカルト教団vs元キックボクサー。” #集英社さんあらすじありがとう そのカルト教団こそが、新興宗教「サダイの家」なのだ。 #サダイの家 #よだれがとまらない サダイの家の行いが、まあまあ過激な描写になっているので、そこは注意点なのだが、こうした
『全員犯人、だけど被害者、しかも探偵』下村敦史 とある会社の社長の首吊り死体が発見され、それに関わるメンバー7人が廃墟に集められる。なんとその廃墟から出られるのは“犯人”のみ。みんなの自白合戦が繰り広げられる。 タイトル通り情報量が多い推理?(自白)合戦なのだが、みんな自分が助かりたいばかりに、必死で犯人になりたがろうとする斬新な物語。読んでいると後半になるにつれて、自白疲れをしてしまいそうなうえ、モヤっとした終わり方をするわけだが、夢中で読んでしまった。犯人だけが生き残れる
『逆転ミワ子』藤崎翔 あの「逆転美人」お馴染みの藤崎翔さんによる、逆転シリーズの新作がついに登場。 結論から言ってしまえば、今回も見事な逆転であった。 #期待していいよ 芸人であるミワ子が自身の本を出版した直後に失踪。その謎が自身の本、すなわち「逆転ミワ子」の本の中に隠されているのだ。 この本はミワ子のエッセイとショートショートで構成されている。ショートショートって何?と思ったのだけれど、ショートコントのネタ的な感じだと分かっていただきやすいかと。なので失踪の謎を考えながら
『少女マクベス』降田天 演劇女子学校の少女達による舞台系ミステリ。神がかった才能を持った脚本担当の設楽了が、舞台の途中で落下事故を起こし死亡してしまった。その事故の真相を明らかにする為に劇作家を目指す結城さやかと新入生の藤城貴水が出演者を巻き込みながら、少女達の過去を探っていくストーリー。 舞台系のミステリは初めて読むジャンルだったので、面白いと同時に学びにもなる。新しいことを知れるからだ。 ふと気になった事がる。 表紙のイラストだ。本屋さんに行くと分かるのだが、この本のイラ
『グラスホッパー』伊坂幸太郎 久々に知人にオススメされた本を読んでみた。 オススメされたのは伊坂幸太郎という作家さんだったので、作品は自分で選んでみた。さて、改めて本の選び方について自分と向き合ってみることにした。ちなみに皆さんは本屋に行ったら、どうやって本を選んでいますか? ちなみにこの本「グラスホッパー」を選んだ理由は、至ってシンプルなものだった。たまたまグラスホッパーという名のスニーカーを履いていて、その言葉を知っていただけという、文章にする価値もないほどの理由なのだ。
『きょうの日はさようなら』一穂ミチ 第171回直木賞受賞作! 30年の長い眠りから覚めた女子高生“今日子”と2025年を生きる高校生“明日子”の時代錯誤青春群青ストーリーといった感じの小説であった。 といっても本書の第1刷は2016年なのだから驚きだ。 個人的に感じたのが、ここ最近30代から40代に刺さるエンタメが多くなった気がする。。本書も今の10代や20代の人が読むよりは、圧倒的に30代の方が強く共感出来て、面白みはますはずだ。 何より私も30代である。 #面白かったです
『あした死ぬ幸福の王子』飲茶 サソリに刺されてしまい、余命1カ月を宣告されてしまった、王子。死に絶望しながらも、1人の老人に出会い、ハイデガー哲学を学んでいく、哲学のお話。 哲学の本ではあるものの、ストーリー仕立てになっているので、面白く哲学が学べる。何より余命宣告を受けた王子は、最後どうなってしまうのか?どいうのがストーリー的な面白さである。 哲学の本を読んだのは初めてかもしれないけど、哲学の奥深い。本作より、哲学とは「考えられないことを考えること」だといっている。きっと過
『フェイク・マッスル』日野瑛太郎 第70回江戸川乱歩賞の作品。 また新しいミステリに出会ってしまったというのが率直な感想である。 簡単に内容を書くと、たった3カ月のトレーニングで人気アイドルがボディビルの入賞を果たしたのだが、短期間で出来る筋肉ではないと話題になり、薬物使用を疑われてしまう。そんな中、そのアイドルはジムをオープンすることになり、薬物疑惑の取材として、週刊誌の記者が潜入捜査をするといった感じだ。 アイドルの筋肉は本物か偽物か? 薬物は使ったのか? などの謎は最後
『法廷占拠 爆弾2』呉勝浩 本の帯に書かれた名前“スズキタゴサク”で反応してしまった。前作の「爆弾」のなんか腹立つ犯人のスズキタゴサクが再び登場するのだ。 爆弾犯のスズキタゴサクが東京地裁で発生した籠城事件に巻き込まれるというのが今回の内容。 警察VSテロリストfeat.スズキタゴサクの戦いが始まるのだ。 最後まで読んだ感想としては、 「続編、、爆弾3、、あるな、、」 といった感じ。 さてさて、スズキタゴサクはどーなっちゃうのか? #法廷占拠 #爆弾2 #呉勝浩 #スズキ
『QRコードの奇跡』小川進 世界中の至る所で使われ、当たり前すぎて気にも留めないQRコードだが、作ったのは日本人であることを知らない人は多いのではないか? この本はデンソー社員がQRコードを作り上げる奇跡が書かれた、QRコード好きからすると教科書みたいな一冊なのである。 #QRコード好きと繋がりたい そして何より装丁がいいっ✨ 感動的なのはQRコードは特許をとっていないこと。パブリックドメインにすることで、ここまで世界中に広まったのだ。仮にも特許をとってしまうと、金銭的な
『Q eND A』獅子吼れお 「デスゲーム小説コンテスト」大賞受賞作。 デスゲーム小説コンテストなんてあるんだなーと驚きつつ、本作では、早押しクイズ×異能力×デスゲームという、ジャンルのてんこ盛り作品。 展開は、早押しクイズに負けたら即死亡というシンプルなルールなのだが、そこに異能力が掛け合わさって、複雑になりつつも、ミステリ的な面白さが加わっていく為、面白さが格別になっている。 さらに、異能力の最上位能力はクイズの答えが分かるというチート級なものである。反則的な能力だが、他
『原因において自由な物語』五十嵐律人 とある秘密を抱えた小説家が、とある理由で書くことになる小説。実はフィクションではなく、実際に起きている(小説内で)事件であることに気づくことになる。事件の真相が分からなければ、小説を書くことが出来ないのだが、、、、といったのが、大まかなあらすじ。 個人的には、小説家が出てくる小説が大好きである。 小説と小説内の小説が繋がっていたりしてると最高なのだ。 ちなみに本タイトルは法律関係の言葉「原因において自由な行為」から由来している。この「原因
『プラスティック』井上夢人 たまには壮大なネタバレをさせた投稿をしてみよう。 どうせこの投稿を見て、この本読んでみようと思う人はほとんどいないだろう。 物語は54個の文書ファイルが収められたフロッピイがあり、1つ目のファイルには向井洵子の日記が書かれている。 日記を読んでいくうちに読者はどんどん混乱していくだろう。図書館の登録カードを作ろうとしたら、すでに自分名義でカードが作られていたり、気づいたら部屋に図書館から借りられた本があったりと。。。 そして、ファイルの文章を次々に
『レッドクローバー』まさきとしか 本帯より“家族が毒殺された居間で寛ぎ ラーメンをすすっていた一人の少女。彼女が家族を殺したのではないか。” このなんとも言えない不気味な描写を頭で描いていたら、本を読みたくてたまらなくなった。 #帯作った人すごい 東京で起きたヒ素による大量殺傷事件。この事件が起きた事により、過去に起こった灰戸町一家殺害事件が関係しているのではと思い出された。灰戸町の事件では、犯人は不明。 もうこの時点面白いわけである。 灰戸町の事件で殺害された家族のたった
『N』道尾秀介 これまた珍しい本に出会ってしまった。 本書は6つの短編の様な構成になっていて、なんと読む順番は自由。 #なんじゃそりゃ そして読む順番によって、物語のかたちが変わるという。つまり720通りの読み方が出来てしまうという、とんでもない設計になってる。はたして720通りの読み方をした強者はいるのだろうか? 私はというと、1通りしか読んでません💦 #積読たまっておりまして さらに、この本は各章が上下逆さまに書かれて、本をひっくり返しながら読んでいくのだ。こういう設