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労働審判を申立てる際の書面

今回は、労働審判の申立てに必要とされる書面について解説していきたいと思います。

申立人(労働者)が、相手方(雇用主/会社)に対して、地方裁判所に労働審判手続き(本人訴訟)を申立てる。この時、作成・提出しなければならないものは基本的には次の4点です;①労働審判手続申立書、②書証、③証拠説明書、④資格証明書。他に、裁判所から「争点整理表」の作成・提出を指示される場合もあります。詳しくは改めて解説しますので、今回はそれぞれがどんなものかだけを簡単に述べておきます。

まず、労働審判手続申立書。これは、民事訴訟の「訴状」にあたります。この提出を以って、労働審判が申立てられたということになります。裁判所のサイトにテンプレートが載っていますが、労働審判法・労働審判規則に定められた事項を含めさえすれば、フォーマットは自由です。 請求の価額、申立ての趣旨、申立ての理由などを記載する必要があります。

次に、書証。証拠のことです。ちなみに、証拠は人的証拠(人証)と物的証拠(物証)に分かれます。人証は証人・鑑定人・当事者本人の3種類、物証は文書(書証)と検証物の2種類があります。人証は、法廷での証人尋問や当事者尋問を通して取得されます。検証物とは、例えば建物やオフィスなどを調べて収集される情報のことで、その情報が証拠とされるものです。労働審判で人証や検証物を求められることは稀と思います。その代わり、第一回期日での質疑応答のもととなる書証が重要になってきます。例えば未払い残業代の請求であれば、雇用契約書、タイムカード、給与明細書などの書証を提出する必要があるでしょう。裁判所へ提出するのは書証の「写し」で結構ですが、期日にはその「原本」を持参してください。

次に、証拠説明書。これは、提出する書証をリスト化した書面と考えてください。各書証について、誰がいつ作成したか、原本か写しか、その書証で何を立証するのか(立証趣旨)を記述しなければなりません。

そして、資格証明書。相手方たる会社の登記簿の写しです。近くの法務局で履歴事項全部証明書を取得してください。発行から3ヶ月以内のものを裁判所へ提出する必要があります。600円の収入印紙がいります。

労働審判手続申立書と証拠説明書の紙のサイズはA4タテ。書証もできるだけA4に合わせるとよいと思います。片面印刷がベターです。これら書面は左辺2ヵ所をホチキス留めしてください。ちなみに、資格証明書(登記簿の写し)は、もともとA4タテのサイズで左辺がホチキス留めされています。

労働審判の書面について具体的なイメージはわいてきたでしょうか。次回は、「労働審判手続申立書」について詳しく説明したいと思います。ますます具体的な話になっていきますので、本人訴訟で労働審判を検討中の方には必ずお役に立てると思います。お楽しみに!

街中利公

本noteは、『実録 落ちこぼれビジネスマンのしろうと労働裁判 労働審判編: 訴訟は自分でできる』(街中利公 著、Kindle版、2018年10月)にそって執筆するものです。

免責事項: noteの内容は、私の実体験や実体験からの知識や個人的見解を読者の皆さまが本人訴訟を提起する際に役立つように提供させていただくものです。内容には誤りがないように注意を払っていますが、法律の専門家ではない私の実体験にもとづく限り、誤った情報は一切含まれていない、私の知識はすべて正しい、私の見解はすべて適切である、とまでは言い切ることができません。ゆえに、本noteで知り得た情報を使用した方がいかなる損害を被ったとしても、私には一切の責任はなく、その責任は使用者にあるものとさせていただきます。ご了承願います。

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