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【本人訴訟シリーズ】本人訴訟で未払い残業代を請求する

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未払い残業代問題を取り上げます。自分だけの力で労働審判を起こしてブラック企業から未払い残業代を取り戻す!そのための実務的なノウハウや労働審判手続申立書など書面の作成について解説し…
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#長時間労働

証拠説明書の書き方~その3【雇用契約書】~

前回のnoteで述べた通り、「雇用契約書」と「タイムカード」と「給与支給明細書」は未払い残業代の請求に際しての最強の証拠3点セットです。今回のnoteでは、その中でも最も重要な書証とも言える「雇用契約書」を取り上げたいと思います。 雇用契約書とは、労働者と雇主との間で締結される、労働条件にかかわる契約書のことです。署名捺印がされているはずです。 雇用契約を締結した労働者は、その会社の従業員ということになります。労働審判や民事訴訟の書面では「社員」という言葉はあまり見かけず

証拠説明書の書き方~その1~

労働審判の申立てに際して作成・提出する書面については、第12回のコラムで説明しました。そのうち、まず「労働審判手続申立書」の書き方について、第14回、第15回、第16回、第19回、第20回、第21回、第23回、第24回のコラムにて、私の申立書の事例を書き出しながら、詳しく解説しました。また、労働審判手続申立書のテンプレートを(有料ではありますが)第25回のコラムで提示させていただきました。 今回から数回にわたっては、証拠説明書の書き方について解説していきたいと思います。

「固定残業代制」で残業代をごまかされるな!

前回のコラムでは、会社(雇い主)による「裁量労働制」の悪用に対抗するポイントについて解説しました。今回は、やはり、悪用されてしまえば、未払い残業代が発生する恐れのある「固定残業代制」について述べたいと思います。 「固定残業代」とは、読んで字の通り、あらかじめ固定額として設定された残業代です。労働基準法上の規定がある「裁量労働制」とはちがって、「固定残業代制」には法律上の定めがありません。なので、固定残業代制は、法律に基づく制度ではなく、雇用契約ないし就業規則や賃金規程による

「裁量労働制」で残業代をごまかされるな!

未払い残業代を請求された会社(雇い主)が労働審判や民事訴訟で「あなたとは労働契約を結んでいるわけではないので、あなたは従業員じゃない」、「あなたは課長なので、あなたは管理監督者だ」と主張してくることがあります。ともに、未払い残業代を請求された会社がその支払いを免れるための戦術。それぞれの反論ポイントは、前々回のコラムでは「労働者性」、前回のコラムでは「管理監督者性」について解説しましたので、そちらを参考にしてください。 今回と次回のコラムでは、やはり残業代の支払を避けるため

「管理者には残業代は出ない」にだまされるな!

今回のコラムで言いたいこと。それは、「課長や部長など管理職には残業代は支給されない」は必ずしも正しくはないってことです。 労働基準法第41条には「労働時間等に関する規定の適用除外」が定められています。その同条2号に基づけば、管理監督者や機密の事項を取り扱う従業員であれば、残業をしても普通残業については割増賃金を支給する必要がありません。これを「管理監督者性」と言います。確かに、労働者が管理監督者であるならば、普通残業代は支給されないということになるのです。  しかし、だか

「労働者」じゃなければ残業代は支給されない!

労働審判手続申立書の次は証拠説明書の解説に入りたいと思いますが、切りが良いので、ここで、いくつか大切な用語について説明をしておきたいと思います。今回は「労働者性」についてです。 「労働者性」とは、「法的に労働者として捉えられるための適格性」くらいの意味に考えてください。 私は、このコラムシリーズの第一回で、「労働者なら、法律で定められた一日の労働時間は8時間。8時間を超えて仕事をすると、それは時間外労働になります。時間外労働をすると、労働基準法にしたがって割増賃金(残業代

労働審判手続申立書の書き方~その7~

第21回のnoteまでに、労働審判手続申立書の主要部分についての説明は終わりました。第16回のコラムで「第2 申立ての理由」の構成を示していますが、残りは「5.付加金の請求」と「6.申立てに至る経緯・概要」の箇所です。 まず、私が使用した申立書の当該箇所を書き出します。 ================================== 5.付加金の請求 相手方は残業代の支払い義務を履行していないことから労働基準法第37条1項を遵守しておらず、このことは同法第114条の要

賃金請求権の消滅時効は2年!

今回も、前回と同じくちょっと休憩して、労働審判手続申立書の書き方から少し離れたいと思います。今回は、賃金請求権の消滅時効についてです。 まず、賃金とは、労働基準法第11条によれば、「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」とされています。給料、残業代、アルバイト料、時給、日給、報酬など名称はともかく、正社員・契約社員・アルバイト・パートタイマーなどといった立場に関係なくいかなる人(労働者)にも、その提供した労務の対

労働審判を申立てる際の書面

今回は、労働審判の申立てに必要とされる書面について解説していきたいと思います。 申立人(労働者)が、相手方(雇用主/会社)に対して、地方裁判所に労働審判手続き(本人訴訟)を申立てる。この時、作成・提出しなければならないものは基本的には次の4点です;①労働審判手続申立書、②書証、③証拠説明書、④資格証明書。他に、裁判所から「争点整理表」の作成・提出を指示される場合もあります。詳しくは改めて解説しますので、今回はそれぞれがどんなものかだけを簡単に述べておきます。 まず、労働審

労働審判の目的はあくまで和解すること

労働審判は労働に関する紛争を早期に解決するための制度。100%満足できるものではないにせよ、申立人・相手方双方が「これなら納得せざるを得ない」と思う金額ラインを、原則3回以内の期日に探るものです。 例えば、大雑把には、このようなケースです。申立人は、未払い残業代を100万円請求。相手方は、申立人は管理監督者(「管理監督者性」については、改めて解説します)の地位にあったのでそもそも残業が不存在と主張。労働審判委員会による審理・調整の結果、申立人は30%譲歩した70万円で納得。

労働審判or民事訴訟、どちらを選択?

前回は労働審判のメリットとリスクについて解説しました。では、労働者が会社と未払い残業代などの紛争を抱えてしまって、それを本人訴訟で解決しようとする場合、民事訴訟と労働審判のどちらを選択すべきなのでしょうか? 証拠にもとづいて事実を一つ一つ認定し、法的な勝ち負け、白黒をはっきりさせるのが民事訴訟。そのかわり、判決がでるまでに相当の時間がかかります。対して、労働審判は事件の解決自体を重視し、3ヶ月程度で終わります。申立て費用もリーズナブル。しかし、早期解決が優先されるために、申

労働審判の管轄と審理方法

今回は、労働審判の管轄と審理の進行について述べていきす。少し長文となりますが、ぜひ最後まで読んでいただければ幸いです。 まず、管轄の話。多種多数の裁判所があるなか、どこの裁判所に申立てをするかの定めを「管轄」と言います。労働審判の管轄は労働審判法第2条に定められていますが、次の3つのケースがあります。 第一に、相手方たる会社の本社や支店・営業所など事業所の住所を管轄する地方裁判所です。第二に、申立人が実際に勤務している事業所の住所を管轄する地方裁判所です。すでに退職した方

労働審判と民事訴訟の違いとは?

今回は、労働審判と民事訴訟の相違点について述べていきます。 まず、費用面での違いです。訴訟にかかる費用については、【本人訴訟で未払い残業代を請求する(3)】で解説しました。民事訴訟なら「訴訟費用+実費+弁護士費用」となるところ、労働審判では「申立て費用+実費+弁護士費用」となります。そして、労働審判を本人訴訟で申立てる時の費用は「申立て費用+実費」のみ。 とりわけ、民事訴訟の「訴訟費用」と労働審判の「申立て費用」。両方ともに、基本的には「収入印紙代+郵便切手代」の合計と考

労働トラブルを実情に即して迅速、適正、実効的に解決する労働審判

今回から数回にわたって、労働審判という制度について説明したいと思います。 裁判所のサイトによれば、労働審判手続(労働審判)とは「解雇や給料の不払など、事業主と個々の労働者との間の労働関係に関するトラブルを、その実情に即し、迅速、適正かつ実効的に解決することを目的」とするものです。労働審判法で規定され、平成18年から施行された制度です。 労働審判は、裁判所がはいる点、紛争を解決する点などにおいて、一見すると「民事訴訟の労働事件版」とも思えます。しかし、労働審判は民事訴訟と