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【本人訴訟シリーズ】本人訴訟で未払い残業代を請求する

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未払い残業代問題を取り上げます。自分だけの力で労働審判を起こしてブラック企業から未払い残業代を取り戻す!そのための実務的なノウハウや労働審判手続申立書など書面の作成について解説し…
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2019年9月の記事一覧

本人訴訟で未払い残業代を請求する(41)-証拠説明書のテンプレート(コピペ用PDF)

ここまで第30回、第31回、第32回、第35回、第36回、第37回、第38回のnoteにて、証拠説明書の書き方や書証の意義などについて解説をしてきていますが、今回は労働審判での証拠説明書のテンプレート(PDFファイルで恐縮ですが・・)を添付します。 このテンプレートでは仮の文言を入れていますが、証拠説明書は労働審判手続申立書(有料テンプレートは第25回noteにて)の答弁・文章と対応すべきものですので、皆さま自身の戦略やストーリーに合わせて加筆修正や甲号証の順変更などしてご

労働基準監督署と属地主義の話し

今回のnoteも証拠説明書の説明をはなれて、私の本人訴訟のきっかけにまつわる少しマニアックな話を。「労働基準監督署」と「属地主義」についてです。 まず、労働基準監督署(以下、「労基署」と言います)。ブラック企業やパワハラが社会問題となるなか、多くの方がどこかでは聞いたことがあるのではないでしょうか。労基署とは、労働基準法や労働安全衛生法など労働に関する法律に基づいて事業者を監督する厚生労働省下の機関です。行政監督の権限だけでなく、刑事訴訟法に定められる司法警察員の職務も担い

裁判管轄と準拠法の話し

今回と次回のnoteは証拠説明書をいったんはなれて少し堅い話を。まず、「裁判管轄」と「準拠法」についてです。 労働審判の管轄については第8回noteで解説しましたが、今回はちょっと特殊な私の実体験に絡めてです。というのも、私の本人訴訟のきっかけは、ある日本企業のフィリピン共和国マニラ首都圏にある現地法人への出向・駐在だったのです。 雇用契約の当事者は元従業員の私と元雇主の日本法人。私の就労場所はその日本法人のフィリピン子会社があるマニラ首都圏。つまり、日本に居住している私

本人訴訟で未払い残業代を請求する(38)-証拠説明書の書き方7【タイムカード】

タイムカードは未払い残業代を請求するための最強の証拠3点セットの一つです。しかし、それは、会社の総務課などが管理していて、原則的には個々の従業員へ共有されることはないのではないでしょうか。ましてや、退職後にそのタイムカードのコピーがほしいと会社に申し入れても、拒否されるのが現実でしょう。その場合、残業の存在をどのように立証すればよいのか。今回のnoteでは、タイムカードを入手できない場合の対処方法について述べていきたいと思います。 本人訴訟で労働審判や民事訴訟を起こして未払

本人訴訟で未払い残業代を請求する(37)-証拠説明書の書き方6【タイムカード】

今回も前回のnoteに続いてタイムカードについてです。 労働審判や民事訴訟で未払い残業代の存在を争う場合、申立人(原告)が書証としてタイムカードを提出しても、相手方(被告)がその信頼性に疑義を投げかけて、残業時間の立証がされていないと主張することがあります。 未払い残業代を請求される相手方(被告)の反論としてよくあるのが、「申立人(原告)は管理監督者であるから、残業代は支払われない」(第27回note参照)という主位的な主張と同時に、「仮に申立人(原告)が管理監督者ではな

証拠説明書の書き方~その5【タイムカード】~

今回のnoteでは、最強の証拠3点セットの一角、タイムカードについて解説していきます。 「タイムカード」という言い方は少し時代遅れかもしれません。昨今は、わざわざ打刻しなければならない煩わしさを解消する、また勤怠を総合的に管理できるようなソフトウェアも存在します。その本質は、従業員の始業時間と終業時間が分単位で明確に記された勤怠記録ということです。 労働基準法第109条で「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間

証拠説明書の書き方~その4【雇用契約書】~

第32回のnoteでは、未払い残業代を請求するに当たって、証拠(書証)としての雇用契約書の役割をいくつか紹介しました。今回も雇用契約書の説明を続けたいと思います。 ここで大切なおさらいですが、残業代を導く計算式は「割増賃金(残業代)=基礎賃金×割増率×所定外労働時間」でした(第20回note参照)。割増率は労働基準法の1.25に従うとして、未払い残業代として決まった金額を請求するためには、基礎賃金と所定外労働時間を立証する必要があるわけです。 雇用契約書が申立人の「労働者