きらめき

 乾いた朱いまなざし、なんのことだろう。
 君は占い好きだったんじゃないのか。自分には似合わない、そんなことを言ったような気もするけれど、手を伸ばしてももう覚えてない。ただ、ゼリーの薄味だけは鮮明に覚えている。
 あの時、閉じ込められたからかな。
 ゼリーやフルーツグラタンのように、私の心も宙に浮いたまま固まっている。夏蜜柑みたいな外の世界。透き通ったゼラチンのまなざしを檻が乱反射して、醜く歪んでいた。
 私はただ、それを見つめ続けることしかできなかった。
――本当に、無力。
 声は届かず、もがけば詰まり、玉はただ笑うことしかできない。含ませた息がゼラチンに吐き出されていると思うと、岸壁を切り崩したような笑いしか出ないのだ。
 拘束されたサクランボが、いとも簡単に転げ出る。それに同情するようにゼリーだけがまぶしく光る。
 子供の頃、癪だから占いグラタンを一口掬ったことがあった。そのとき珊瑚色はにこりと、こちらに笑みを向けていた。ほんのり淡く、それでも書いた大人をかき消すような感覚が鼻にぬけた。
 珊瑚色のビー玉の隙間からは、朱や桃が本物のまなざしを浴びて、宝石のように輝いていた。


 そうか、ぷかり。


 これが、花のように輝いて、光になるってことなんだ。


あとがき

自分でも訳の分からないものを作ろうとした残骸です。

いや、言い訳とかじゃなくて。

詳しい解説みたいなエッセイはまた次回。お楽しみに

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