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デジタル社会の権利とはーMagna Carta: My Digital Rights

マグナ・カルタ800周年を記念して、大英図書館が “Magna Carta: My Digital Rights”という企画でデジタルスペースにおけるいろいろなトピックについての教材を公開しています。


”アクセス”、”自由”、”プライバシー”の3つのテーマを掲げ、Citizenship教育に適した教材になっています。対象はKey Stage3(11-14歳)〜Key Stage4(14-16歳)、それ以上の16-18歳です。


オンライン空間でのいじめ問題から、GPSデータの追跡などプライバシーの問題まで、幅広く扱えるものになっています。どれもおもしろそうです…!!各教材の要約をざっくり訳してみました。


教材はこちらから:Teaching Resources - My Digital Rights

[Access]

Government censorship
政府によるインターネット上の情報検閲の是非

Prisoners’ access to the web
囚人にインターネットアクセスの権利はあるのかどうか

Slow internet speeds

通信業者が、人口の少ない地方などのエリアでも高速アクセスを実現する責任があるかどうか

The internet as a human right
インターネットは基本的人権(Fundamental human right)か。
世界では約2.3億の人がインターネットにアクセスできない。インターネット利用者が年間£4ずつ(原文では£1 per quarter)インターネット提供会社に追加のお金を払い、全ての人がインターネットを利用できるようにするというアイデアがあるが、それはどうだろうか。インターネットへのアクセスは基本的な権利なのか?

The web in times of crisis
危機発生時に、混乱防止のため政府がインターネットアクセスを切断することの是非


[Freedom]

Artistic expression online
ある女性写真家が、自身の子どもと一緒に撮影した作品を、美術館やそのオンラインサイトで公開した。ところが作品がオンラインで公開されると、その作品の一部に子どもの裸の姿が写っているとして削除を求める声が上がった。オンライン上での表現の自由と検閲のバランスはどのようにとればよいのだろうか?

Cyberbullying and its consequences
5人に1人の子どもがネットいじめを経験したことがあるという。相手が傷つくかもしれないと思われることも、インターネットに自由に投稿して良いのだろうか?


The right to be forgotten
特定の事項について、インターネットに情報がいつまでの残り続けることの是非について。
Simonは自身のサッカーチームメンバーと起こした不祥事のせいで大学を退寮処分になった。この不祥事については学校のSNSにも掲載された。それから4年経った今も、不祥事の記録はインターネット上に残り続けている。過去の過ちが許された後も残り続け、いつまでも消えないインターネット空間で、「忘れられる権利」をどう考えたら良いか


Trolling as freedom of expression
インターネット上での挑発行為は表現の自由の範囲内かどうか。違法のものとすべきかどうか


Web censorship in schools
ある敬虔な宗教思想をもつ学校が、生徒が閲覧する全てのオンラインの教科書やオンラインコンテンツに、肩を出した女性の画像が含まれていないかどうかを検閲していた。学校によるインターネット上の情報検閲は妥当なのかどうか?


[Privacy]

A party gone wrong
19歳のLouiseは、18歳のNatalieとのちょっとしたいざこざに仕返しをしようと、SNSに彼女のフェイクアカウントを作り、そこで誰でも参加できるパーティーの告知をした。Natalieの両親は激怒し、そのSNS運営者の捜査を依頼し、投稿者を明らかにした。この場合、Natalieの両親が取れる法的措置は何だろう?また、SNS運営者を訴えることはできるのか?


Facebook’s mood experiment
Facebookが、ユーザーの感情を操作することを目的に、ユーザーのニュースフィードに表示される情報を変える実験を無断で行った。批判を受けFacebookは謝罪したが、実験結果、ユーザーの感情操作は可能であることがわかった。ユーザーの事前承諾なしにこのような実験をしてもよかったのだろうか。


Mobile phone tracking
子供の現在地確認のためや、警察による容疑者追跡や捜査のために、モバイル端末のGPS追跡機能を使うことは許されるか、プライバシーの侵害か。


Online surveillance
政府や警察が、テロリズムや麻薬売買など反社会的行動の防止の目的で、個人のインターネット上の行動情報を収集することの是非


Your data for sale
もしもあなたのスーパーマーケットでの買い物情報が、健康保険を販売する企業に提供され、将来病気になるリスク評価のために使われていたら?企業が個人情報を売買することの是非について

・・・

各トピックページから詳細の教材をダウンロードすると、さらに詳しいガイドが記載されていて、導入の仕方のヒントや、授業内で使える動画・関連ニュース記事へのリンクなど、リソースが盛りだくさんです。

興味のある方はぜひ見てみてください!


2015/07/01執筆記事の加筆修正版です)

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