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秘湯と気功でつづる七十二候|蟋蟀在戸 (きりぎりすとにあり)10/18-10/22頃

戸口で秋の虫が鳴き始める頃。
“キリギリス”とありますが、昔は「蟋蟀 (コオロギ)」のことをキリギリスと呼び、秋に鳴く虫の総称だったそうです。
コオロギは「コロコロ」「リィーリィー」、鈴虫は「リーンリーン」、松虫は「チンチロリン」と鳴き、秋の夜長を賑やかに楽しませてくれます。
一方、キリギリスは「ギーッチョンギーッチョン」と機織りのように聞こえることから、別名を機織り虫というそうです。

「ギーッチョンギーッチョン」

夜、暗くなってから鳴くことが多い
コオロギなどと違い、
キリギリスは昼間から鳴いています。

いかにも
『アリとキリギリス』にでてきそうな
道楽者って感じですよね。

でも私は、
「なんでアリが良くて
 キリギリスがダメなの」
ってずっと思っていました。

でも調べたところ、
『アリとキリギリス』には
三つのぐらいの結末のバージョンがあるらしいですね。

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一つ目は、
「楽しく歌って過ごせばいいのに」と
アリをからかい、
バイオリンを弾いて
夏の間、遊んで暮らしていたキリギリスが
冬になり、お腹が空いて困り果て
アリの家を訪ねた際、

夏は歌って過ごしていたのだから
冬は踊って過ごせばいいんじゃない?

とアリがキリギリスを追い返すバージョン。
(私が小さい頃読んだお話しはこれです)

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二つ目は、

どうぞここにあるものを食べてください。
その代わり、キリギリスさんの
バイオリンを聞かせてください。


とアリに言われ、
キリギリスが涙を流して
感謝するバージョン。

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そして三つ目は
「冬も歌えばいいんじゃない?」
とアリに言われたキリギリスが

もう歌うべき歌はすべて歌った。
君は僕の亡骸を食べて生き延びればいいよ。


と言うバージョン。

うーん……。

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先日、
「〇〇の息子です」
という男性が駒の湯にいらっしゃいました。

その方のお母様は、
昔、駒の湯に三カ月ぐらい
湯治に来てくださっていた方です。

えーっ、
〇〇さんの息子さん⁉︎

何カ月も湯治していただいていると
もう家族同然。
お出迎えも、
「おかえりなさい」
「いってらっしゃい」
です。

当時、
その方のお母様は四十代、
私は二十代だったと思います。
その私が今では六十代。
お母様は4年前に亡くなられたそうです。

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また先日、
「母が乳がんを患った時、
 十日ぐらいずつ、2回ぐらい
 駒の湯で湯治をさせていただいていました」
と女性の方がいらしてくださいました。

お母様はよく駒の湯の話をしてくださっていたそうです。
そして、いつか二人で駒の湯に行きたいね、と
おっしゃっていてくださっていたそうです。

お母様は既に亡くなられたそうで、
今回、一人で来てくださいました。

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駒の湯山荘には、
多くの方々がいらしてくださいます。
そして今回のように
世代を越えて訪れてくださる方もいます。

本当に嬉しい。

その一人一人の方たちとの出会いに支えられ、
今の私があり、
どの一人の方が欠けても、
今の私はないと思っています。

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オーラ診断をすると
その方の祖先が見えることがあります。

命はずっと続いているのです。

一代、二代、三代・・・。
一人の人の父方の祖先、母方の祖先を
三十代さかのぼると、
十億人以上とつながっていることになります。

つまり十億人もの命の
どの一人が欠けても
今の自分はいないのです。

今、私とあなたは
偶然出会ったように思えますが
実は私の十億人の誰かと、
あなたの十億人の誰かが
昔どこかでつながっていて、
そのご縁で、今私とあなたが話している。

気功ではそう考えます。

私はこの考え方がとても好きです。
自分は一人で生きているんじゃない。
生かされている。

そしてこう考えることで
自分が、
自分が、
という「が」から離れることができます。

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夫を亡くした時、
自分悪かったと
私は自分を責め続けていました。
そんな時、
気功の先生に出会いました。

先生には、
夫が亡くなったという事実以外、
なぜ死んだのか、
そしてそれにまつわる様々な出来事について
何ひとつ言いませんでした。
でも先生は私を見ただけで
全てを理解されたのでしょう。

一言

「前世から決まっていることなんだよ」

とおっしゃったのです。

正直、内心、反発しましたね。

前世って何!?
そんなもの、信じないし、信じられない。
そんなことで、納得できるわけがない。


でも、去り際に先生がおっしゃったのです。

そう考えれば、楽になるだろう?
自分を責めて何になるんだ?

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その言葉で、
瞬間で、
ぱっと楽になりました。

君の責任じゃない。
自分を責めてどうするんだ。

それまで
ずーっと
自分
自分
と自分を責め続けていた私に、
そうではなく、
命というものを大きくとらえた考えを
教えてくださったのです。

ものすごく優しい考え方です。

だから私は
気功がとても好きなのです。

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駒の湯も、
10月24日をもって
今年の営業はおしまいです。

これから半年間、
深い深い雪に籠り
静かにじっと
春を待ちます。

いや…。

夏は歌って遊んだのだから
冬は踊って過ごそう!

秘湯と気功に感謝を込めて。










家族のように接してていました、湯に来られたお客様が
「おじいちゃんとおばあちゃんは
  お元気ですか?」