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秘湯と気功でつづる七十二候|水始涸 (みずはじめてかるる) 10/3~10/7頃

田んぼの水を抜き、稲穂の刈り入れを始める頃。
稲穂が実りの時を迎えるこの時季は、畦の水口を切って田を乾かし、稲刈りに備えます。

新米の季節になりました。

新米。
美味しいですね!

今年は風雨で稲が倒れることもなかったため
より一層美味しいのでは?
と農家の方がおっしゃっていました。

確かに美味しい!
嬉しい!

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さて。
今回は
水始涸 (みずはじめてかるる)
ですので
水、温泉についてつづりたいなと思います。

なんといっても
温泉宿の大女将ですから(笑)。

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お陰様で駒の湯は
毎分2000リットルの温泉が湧き出ているため
水、温泉が枯れる心配はありません。
ありがたいことです。

源泉は33度のぬる湯のため、
のぼせることなく
長時間入っていただけます。

お泊まりにいらしたお客様には
加温湯と交互浴していただきながら
できれば最低でも1時間は入ってくださいと
お伝えしているのですが
多くのお客様は
もっと長く
3時間とか半日とか
入っていらっしゃいますね。

今までの最長入浴記録は
16時間。

ただこれが
息子は13時間だというし
私は16時間だというし
先代は1週間だというし

それぞれが
自分が実際に見た
お客様の最長記録を
主張しているので
(この不統一性がまた駒の湯でして!)
皆んな違うのです。
すみません。

ただ、今は
先代が実際に見届けた
1週間が最長入浴記録だということで
落ち着いております。

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私が嫁いできた時、
大湯の売店のおばあちゃんが
「おらぁ、あんたの所の温泉で
 命助けてもらった」
と私を見るたびにおっしゃっていたのです。

ただ、それ以上詳しいことは
おっしゃらないので
私も
「そうですかぁ」
と何となく聞き流していたのです。

でもこのおばあちゃんが
実は1週間の大記録を作られた方だったのです!

それがわかったのは
おばあちゃんが亡くなった後でした。

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昔、
おばあちゃんが若かった頃
山でマムシに噛まれてしまったそうです。

村に運ばれた時には
毒が全身にまわっていて
熱も体温計の42度を振り切っていたそうです。

手の施しようがない。
どうしよう。

当時は
今のようにお医者さんに
気楽に診断してもらえるような時代ではなく、
村を降りてお医者さんに罹る時は死ぬ時
という時代です。

仕方ない。
こうなったら最後の手段として
駒の湯に行くしかない。

男の人達が
意識不明のおばあちゃんを担いできて
駒の湯の源泉に
ポトンと漬けていったのだそうです。

当時は今のように
車が通れる橋がかかっておらず
駒の湯に来るには吊り橋を渡るしかなかったので
言葉通りわっせわっせと担いできたそうです。

おばあちゃん、
意識不明。
毒がまわり
全身に銭型の模様が出てきています。

ただ息はしていたので
そのまま温泉のふちに顔を乗せさせ、
首から下は温泉に浸けておいたそうです。

そのまま
1日経ち
2日経ち。。。

おばあちゃんは
そのまま動かず。

でも3日目。
なんと!
顔の横に置いておいた
おにぎりが無くなっている。

おおおーーーー!

そして1週間目。
すっかり熱も下がり、
自分の足で歩いて帰られたそうです。

後で聞くと
おばあちゃんは
温泉に浸かりながら
ずっと温泉は飲み続けていたそうです。

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皆さま。
駒ヶ岳の紅葉がいよいよ始まりました。

ぜひ、
秋の夜長、
ゆっくりと
マムシの毒ならぬ
全身の毒を
温泉で溶かしていってください。

なんと言っても
毎分2000リットル沸き出る
源泉の掛け流し温泉です。
10分もすれば、
湯船のお湯が全て入れ替わるぐらい
もうどんどん沸き出て流れていきますから
安心して、身体中の毒を、邪気を、
流していってくださいね。

源泉33度と言うと
秋は寒いのでは?
と思われるかもしれませんが
実は外気の温度が低い秋の方が
お湯が温かく感じるのです。

ぜひおばあちゃんが樹立した
大記録を目指してください(笑)。

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先代は、
このおばあちゃんが生きていらっしゃる間は
おばあちゃんの秘密を守るため
決してこの話はしませんでした。

その間、私たちが
13時間だ、16時間だと
最長記録をギャーギャー争っているのを
苦々しく思いながらも!

秘湯と気功に感謝を込めて。