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玄鳥至 (つばめきたる)|七十二候

燕が南の国から渡ってくる頃。冬を暖かい東南アジアで過ごしたツバメたちは、繁殖の為、春になるとはるばる海を渡って日本にやってきます。
「玄鳥」(げんちょう)とは燕の異名です。


突然ですが、アカショウビンという鳥をご存知ですか?
全身燃えるような赤い色をしたカワセミ類で、「火の鳥」の異名をもつ鳥です。「キョロロロロ・・・」尻上がりの震える声で鳴きます。

「玄鳥至」の候を眺めていたら、
ふと、アカショウビンとそれにまつわる思い出が浮かんできて、どうしても書きたくなり……。

なので、本日は、
玄鳥(ツバメ)ならぬ「アカショウビン来たる」です。
しかも、春鳥ならぬ夏鳥です。
あしからずお付き合いください。

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さて、アカショウビン。
駒の湯山荘の辺りでも、アカショウビンが渡ってきます。

かつて、駒の湯山荘に湯治のお客様がたくさん来てくださっていた頃、多分年の頃、60代か70代かと思うのですが、とても品の良いおばあちゃまが、毎年湯治にきてくださっていました。ひっそりと静かに、ひとりでゆっくりと湯治を楽しんでいらっしゃる、そんな感じの方でした。

その方がある朝、駒の湯山荘の玄関前で
「アカショウビンだ! アカショウビンだ!」
と言いながら、声をあげながら楽しそうに、くるくる、くるくる、回っていらっしゃったのです。

よく子供が嬉しいことがあった時、両手を広げてくるくる回りますよね。
あれと同じです。

「アカショウビンだ! アカショウビンだ!」
と、その品の良いおばあちゃまが、楽しそうに子供のように、くるくる、くるくると回っていらっしゃったのです。

後でお伺いすると、
子供の頃、アカショウビンの鳴き声を真似しては遊んでいたそうです。なのでアカショウビンの鳴き声を何十年振りかに聞いた途端、一気に子供の頃の記憶に戻ってしまったそうです。

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今から思うと、
あの時、おばあちゃまは無意識に自発動をやっていたのです。
空(くう)の状態で、無意識にくるくる回りながら、天のエネルギーを身体に入れていたのです。

このくるくる回る自発動は、自然に身体のゆがみを治し、バランスを取り戻す効果があると言われている自発動です。
しかし、おそらく彼女は自分が自発動をしていることも、そして自分が知らぬうちにくるくる回っていることにも気づかれていなかったと思います。

気功は、日常生活の中で、誰もが無意識に行っているものなんだなぁと、改めて感じた思い出です。

秘湯と気功に感謝を込めて。