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蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)|七十二候

蚕が桑の葉を盛んに食べだす頃。
ひと月ほど後には白い糸を体の周りに吐き出しながら繭をつむぎ、この繭から美しい絹糸が生まれます。蚕は人々の暮らしを支える大変重要な生き物だったので、「おかいこさま」などと敬称を付けて呼ぶ地方もあります。

私自身は蚕を見たことがないのですが、
母は女学校時代、
お蚕様から糸を取ったことがあったそうです。

駒の湯の第2駐車場あたりは
かつては全て山で桑畑でした。
その名残で、私が駒の湯にきた頃は
桑の木が1~2本あったのです。
その桑の木を見ながら
懐かしそうにお蚕様のことを話す母は
ちょっと誇らしそうでした。

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一方、私にとっての桑の思い出は
酸っぱい
です。

結婚して駒の湯にきて
初めてあのルビ色の桑の実を見た時
食べてみたのです。
皆が桑の実は美味しいっていうから。

口が曲がるほど、酸っぱい!

「桑の実は、ルビ色の若い実ではなく
 黒くに熟した実を食べるんだ!」
 夫が呆れて教えてくれましたが、

先に言ってよ!

でも、黒く熟した実は
本当に甘く美味しいです。
昔は甘味というものがなかったので
桑の実が唯一の甘味だったとか。

でも、若くキレイな桑の実ではなく
この年取った黒い桑の実の方が
甘くて美味しいって
ちょっと面白い。

やっぱり若さにはない
熟して熟してぽたっと落ちる寸前の
美味しさってありますよね(笑)。

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そういえば。
先日、めったに自分のことを話さない
近所のおばあさんが、ぽつっと
「こういう時は柔軟さが一番さ」
とおっしゃったのです。

確かに今、本当に大変です。
先が見えない不安もあります。
家庭内でもちょっとしたことで
ギスギスしたりもします。

「そんな時、年寄りは若い人に対して
 『はい、はい』
 と言っていれば、
 家族もみんなまぁるく納まる」

「なるほどぉ~。柳腰ですね」
と言ったら、
ふっと笑っていらっしゃいました。

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柳腰の気功といえば
甩手の3番です。

甩手の1番は
身体の中の悪いものを出す瀉法の気功法。
甩手の2番は
良い気を身体に入れる補法の気功法です。

それに対し甩手の3番は
補法でも瀉法でもない平補平瀉の気功法です。

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背骨を軸にして
デンデン太鼓のように、
柔らかく両手を左右に回転します。
右回し、左回しを繰り返していると
陰と陽が半分半分、
陰陽平和(いんようへいわ)になり
陰陽のバランスが取れるようになります。

この時、下丹田にはしっかり力を入れて
でも上半身の力を全て抜くことが大切です。
まさに柳のように、ですね。

私は腰が悪いので、
この甩手の3番で
帯脈という
腰と腹を帯状にぐるっと一周している経路に
気を集め、取り込みます。

そう。
 まさに柳腰で
「はい。はい」
と言いながら
若い人のエネルギーを取り込みながら
美味しく熟していく。
そして熟れて熟れて
ぽたっと地面に落ちる寸前に
ぱくっと食べられる。

サイコーじゃないですか!

秘湯と気功に感謝を込めて。