見出し画像

霜止出苗(しもやみてなえいずる)|七十二候

霜が降りなくなり、苗代で稲の苗が生長する頃。種籾が芽吹き、すくすく青々と伸びていきます。

この時期、稲の苗がすくすくと成長していく様子をみながらする散歩は、本当に楽しいですね。

新潟は日本有数の米どころです。
駒の湯山荘では、地元の美味しい魚沼産コシヒカリを、大きなお釜で、しかも温泉水で炊き上げています。
だから本当に美味しいんです。

そしてこの炊き立てのお米で作るおにぎりが、また最高なのです。

実は私はおにぎりと卵焼き作りが好きで、何かというと、この2つをお弁当箱に詰めて持っていきます。
特におにぎりは、かつて駒の湯山荘で毎日のように作っていましたから、とても得意なのです(笑)。

画像1

昔、昔と言っても、昭和40年代の登山ブームの頃ですが、登山のお客様がたくさん来てくださりました。
そして皆様には翌朝、登山用におにぎりをお持たせしていたのです。

1人当たり1合。おにぎり2個ずつです。
土日になると、早朝から3升とか5升分のお米を炊いて、握る人、塩をまぶす人に分かれ、ひたすらおにぎりを作っていました。

お米は薪で炊きます。
あの頃は、車が入れる橋が架かっておらず、吊り橋だけでしたので、プロパンガスを運べなかったのです。
今はキャンプブームで、薪で焚火をしながら料理をするのが人気とのことですが、当時の現場はそんな優雅な状態ではありません。
特に夏はアブが入ってこないように窓を閉めてお米を炊いていましたから、台所中煙が立ち込め、目には沁みるし、暑いし。
地獄でした。

でもそんな中、平気でお米を炊いていたのは山男スゲさんです。
もうもうと立ち込める煙の中、全く気にする様子もなく、黙々とお米を炊いていました。本当に不思議な人でしたね。

しかもスゲさんは薪でお米を炊く天才で、火を均等に行きわたらせ、それは見事に炊き上げていました。
本当に美味しかった!

名称未設定 1

実は、このカマドに薪をくべて、というお話は、中医学の五行の説明の例えにも使われたりします。

それは、人間の身体を鉄釜(金)にたとえ、
カマド(土)の中で燃える薪(木)の(火)が、人間の身体の(水)分を適度に温め、人間が生きていくための水蒸気(エネルギー)を出しているんだよ、という話です。

つまり健康な状態とは、
カマドの火力と釜中の水量のバランスが良い状態、
釜中の水は適度に温められ、ほどよく循環し、穏やかに水蒸気(エネルギー)を出し続けている状態ということです。

一方、体調を崩してる状態とは、
火力が釜中の水よりも勝って、釜の水がどんどん蒸発して「熱い状態」になっていたり、水が火力よりも多くてなかなか温まらない、「冷えた状態」になっている状態ということです。
全てバランスですね。

中医学はこのように非常に理路整然と考えるのです。
なので、実はこの「熱い状態」「冷えた状態」にも、更に2つの要因を示しています。

例えば、「熱い状態」には、
カマドの火力が強すぎて、ガンガン燃え盛ってしまったがゆえに、水が蒸発してしまった場合と、カマドの火力は正常なのですが、水がもともと少なかったためにすぐに蒸発してしまった場合の2つがある、というように。

本当に中医学は理路整然としていますよね。
そこが魅力であり、分かりやすさでもあるのですが、ちょっと理屈っぽい(笑)。

でも私は、五行の関係がイメージしやすいで、このカマドの話が好きです。

画像4

中医学的にみると、ガンは、火力が強すぎて、釜の中の水分がどんどん蒸発して、釜の一部分が焼かれ、そこにお焦げができてしまっている状態です。
だから手術して悪い箇所だけを、お焦げだけを取っても、火力を弱めないとまたお焦げを作ってしまいます。
でも逆に考えれば、たとえ焼けてお焦げを作っても、釜に穴さえあかなければ大丈夫とも言えます。

ガンの方は絶望されています。
でもこのお話すると、悩まなくなる方がいらっしゃいます。
そして
「お家にお戻りになられた後、近くで気功、漢方、鍼灸など、ご自分に合う良い先生を見つけてください」
とお伝えすると、本当に不思議なことに良い先生を見つけられるのですね。そして状態が良くなられた方も知っています。もちろん全てのガンが良くなるわけではありませんが、そういう方がいらっしゃったのも事実です。

画像4

病気と病因。
薪の火力と、釜の中の水量のバランス。
全ての法則は、日常生活の中に潜んでいるのですね。

そう考えると、あの絶妙な火加減、水加減で、お米を炊き上げていたスゲさんは、中医学でいう名医ですね。
だからスゲさんが炊いたお米は、あんなに美味しかったのですね。
スゲさんの炊いたご飯で作ったあの美味しいおにぎり。
叶うものなら、もう一度食べてみたい。

秘湯と気功に感謝を込めて。