紅花栄(べにばなさかう)|七十二候
紅花の花が咲きほこる頃。紅花は染料や口紅になり、珍重されました。
紅花は、咲き始めの頃は鮮やかな黄色ですが、成長するにしたがって徐々に赤色が増していきます。
紅花といえば、
ねずちゃんを思い出します。
駒の湯にはかつて、
いろいろな経歴の従業員の方がいたのですが、
ねずちゃんもそのひとりです。
ねずちゃんは、ダム工事で穴を掘る仕事をしていた人でした。
3人のお子さんがいらっしゃるのですが
誰の子が知らないそうです。
暗闇の中で働いている内に
ふっと気づくと3人の子持ちになっていたそうです。
ねずちゃんは教育を受けられなかったそうで
文字は読めませんでした。
でも生きる力は強かった。
子供3人を草で育てたと言っていました。
また庭にもいろいろな草花の種を蒔いて育てて
いて、子供が病気になると、
山で野草をとってきたり
庭で育てた草花を煎じて飲ませていたそうです。
ねずちゃんは、誰に学んだというわけでもなく、
自然にそういう知恵を身につけていったのでしょうね。本当にたくましい。
なぜ紅花でねずちゃんを思い出すかというと、
ねずちゃん自身、自分のために紅をさすことなど一度もなかったからです。もし紅花を手に入れてても、紅に使うのではなく、子供のために煎じたことでしょうね。
ねずちゃんはそういう人でした。
紅花は瘀血(おけつ)による高血圧や動脈硬化、脳梗塞など心血管系の疾患をはじめ、月経痛や月経不順などの婦人病、打撲や外傷などにも効果がある生薬です。
瘀血(おけつ)とは体内に停滞した血液のことです。
日本では動脈硬化など心血管系の疾患というと
血の質、いわゆるドロドロ血液の状態ばかりに
関心がいきがちですが
中医学では
「気為血之帥」
気は血の師。
気が師となって血を推進する。
「血為気之母」
血は気の母。
血は母のように気を養う。
といって、気と血は切っても切れない縁があり
互いに助け合っていると考えています。
身体の中は気も血も
サラサラと流れるのがよいですね。
気を全身に巡らす気功としておススメは
甩手の2番です。
良い気を身体に入れる補法の気功法です。
まず、上半身の力を抜き、
吸う息に合わせ、
両手を前から後ろに振ります。
胸を開き、首を後ろに反らし
踵をあげ、爪先立ちになりながら
手の平の気を肩甲骨の辺りにいれます。
言葉で伝えるとちょっと難しそうですが
動作としてはそう難しくはありません。
全身の力がどんどん抜けてきて
両手が赤くなり、熱くなってきたら
やり方が正しい証です。
甩手の2番は、
身体の中の滞っている部分の気の流れを良くし
肩こりや、首のこりなどに効果があります。
ずーっとやり続けていると
私の場合は10年ぐらいたった頃だったと思いますが
自分の身体が小さな気の円に包まれ
その円の中で まぁ~るく気を回しているような感覚が出てきます。
その円の中で気を全身に回していると
悪い部分は気が流れにくいので痛みを感じるようになります。
その痛い部分に意識を向けると、
ぱぁーっと熱くなって気が流れるようになります。
そしてやり続けていくと
天のエネルギー
地のエネルギーが
どんどん入ってきて
自分を包む気の円が大きくなっていき
その中でぐるんぐるんと気を回している感覚が出てきます。
そしていつか。
この円を突き抜け
天のエネルギー
地のエネルギーとつながれたら
本物の気功師となれるのでしょうね。
何事もやり続けることですね。
教育も受けず
野生のカン、本能のみで
3人の子供を育てあげたねずちゃん。
もしかしたら彼女は
気功師の域に達していたのかもしれませんね。
もし生きていれば百歳は超えていると思うのですが
どこかで、山姥のように生きている。
そんな気がちらっとします。
秘湯と気功に感謝を込めて。