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梅子黄(うめのみきばむ)|七十二候

梅の実が黄ばんで熟す頃。青い梅が次第に黄色みをおび、赤く熟していきます。梅は、古くから日本人に身近な植物ですが、もともとは花よりもその実が万病に効くとされ、奈良時代に薬用植物として中国から伝わったといいます。

梅と言えば亡き義母を思い出します。

東雲荘の女将をしながら
4人の子供を育て上げた義母は
帯を解いて寝たことがない
というぐらい働き者でした。

そしてとても信心深い人で
毎朝4時に起きロウソクを灯し
お祈りをしていました。

そんな母の唯一の贅沢は
毎週金曜に髪を綺麗にしてもらい、
マッサージをしてもらい、
そして神主様の所にお参りにいくこと。

そして、カリカリ小梅を食べること。
とても美味しいカリカリ小梅を
卸して下さる業者さんがいて
いつも大量に仕入れていました。

だから東雲荘では朝茶といって、
朝食の前に、カリカリ小梅とお茶を
各部屋にお配りしていたのです。

母はそれを壺に入れていて
疲れた時など美味しそうに
カリカリと食べていました。

だから梅というと義母を思い出すのです。

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そんな義母は、山に山菜取りにいったきり
帰らぬ人となってしまいました。
捜索隊が出て、1週間探し続けたのですが
見つかりませんでした。

ただ、義母を捜索していたその1週間、
私の身にとても不思議なことが起こりました。
話し方も、歩き方も
全て義母とそっくりになってしまったのです。

「気味が悪いからやめて!」
周りは気味悪がり、本気で怒っていたのですが
私だって訳がわかりません。

なぜこんな言葉をしゃべるのか。
なぜこんな歩き方をするのか。

そして1週間後、ふっと
「ありがとうね」
という言葉を残し義母は去って行ったのです。

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こんな話。信じられますか?
私だったら信じませんね。

だから私はずっと
人が見えないものや聞こえないものが
見えたり聞こえたりすることも
人に言わないようにしてきたのです。
だって、言ったら最後
病院に入れられてしまいますから。

でも気功の先生に最初に会った時、
「そんなにたくさん連れていたら、疲れるね」
と言われたのです。

そして、私の後方上方をみながら、
「1人、2人、3人、4人…。
 それは、疲れるね」
と同情するようにおっしゃったのです。

驚きました。
人生で初めてそんなことを言ってくださる方に
出会ったのですから。
だからこの先生ならっと
「私、聞こえるんです・・・」
と恐る恐る言ってみたのです。

すると先生は
「当たり前だ。
 君みたいな敏感な人は聞こえて当たり前だ。
 そして聞こえるのは、君だけじゃない」
と当然のように言われたのです。

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あっ。そうなんだ。
聞こえるのは私だけじゃないんだ。
私はおかしいわけじゃないんだ。

救われましたね。
自分は絶対におかしい。
狂っている。
そう思っていましたら。

ではそれは当たり前で
しかも他にも聞こえる人、見える人がいる。
本当に救われました。

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多くの方は敏感になるために気功をしていると思います。でも私の場合は逆、鈍感になるためにやっています。

ウサギは耳がとても大きいですよね。
それは遠くの音まで聞けるようにです。
弱いからこそ自分を守るために、
遠くの微細な音まで聞こえるようになっているです。

私も同じです。
弱いから、いろいろ見えたり聞こえたりするのです。

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気功はすべて中庸を目指します。
敏感過ぎる人は鈍感に。
鈍感過ぎる人は敏感に。
ちょうど振り子の針が揺れる様に
敏感から鈍感に振れながら
最後、ちょうど良い真ん中(中庸)に
落ち着くのです。
そのための訓練法が気功です。

「いつまでも霊界を彷徨っているんじゃない。
 突き抜けろ!」

そう先生に叱られたように
思い切り振り切り、
突き抜ける!
これです。

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1週間、捜索しましたが
義母は見つかりませんでした。
ただ捜索の最中、清水が湧き出ているのを見つけました。
とても水量豊かな綺麗な清水です。

実は駒の湯山荘は、毎分2,000リットルもの温泉が湧き出ていて、全館どこでも蛇口を捻れば温泉が出るぐらい温泉水は豊かで不自由はないのですが、真水を手に入れるのには苦労していたのです。
だから早速駒の湯山荘まで引きました。

義母は命と引き換えにこの清水を私たちに残してくれたんだなぁ。そう思いながら、今も大切に有難く使わせていただいています。

義母が亡くなった後
あのカリカリ小梅を私も取り寄せました。
美味しい。本当に美味しい。
でもそれ以上にあまりの高さにびっくり!

お義母さぁ〜ん‼️

色々な意味で
突き抜けた人でした。

秘湯と気功に感謝を込めて。