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温風至(あつかぜいたる)|七十二候

熱い風が吹き始める頃。「温風至」の温風とは、梅雨明けの頃に吹く南風のことで、「白南風 (しろはえ)」と呼ばれます。ちなみに、梅雨の間に吹く南風は「黒南風 (くろはえ)」です。どちらも亜熱帯から吹く暖かく湿った風ですが、雨雲が覆う梅雨空では黒、さわやかな青空の下では白と、風にも色をつけて言い表しました。

風は見えません。
なのに、そんな見えない風に色をつけるなんて!

でも
“白南風”と言われると、
白く爽やかな風が、
“黒南風”と言われると、
黒く暗い風が吹いているような気がします。

この日本人の感覚って本当に素晴らしいですね。


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気功は中国で生まれたものですが
やはり同じように自然、風土と共に発達してきました。
だから同じ気功でも
寒い北の地域で発達した気功は
動きの多い気功で、
南の地域で発達した気功は
瞑想法や静功など動かない気功が多いです。

だって寒いところでじっとしていたら凍死してしまいますし、
暑い中動くと疲れますからね。

なので、このように
その土地土地の気候、風土に合った形で
発達してきたのが気功ですから
自分でやる時も、
自由に、自分に合ったもの、
その風土、気候に合ったものを選べばよいのです。

だから、たまに
「私はどんな気功をしたらよいですか?」
と尋ねられたりするのですが、
何でも良いのです。
自分に合っているもの、
自分がやっていて心地よいものを
やってください。

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でも方法はそれぞれでも
目的は同じです。

自然に溶け込み
天の気(エネルギー)、
地の気(エネルギー)を
身体に取り込みながら
身体というピラミッドを
一度壊し、作り直しているのです。

人間の身体をピラミッドと考えると、
怪我や打撲、病気の古傷は
積み上げられた石の中の、壊れた石たちです。

その古傷、壊れた石のところまで、
ピラミッドを壊していって
一番下(元)の古傷まで壊した後、
もう一度、そこから新しくキレイに石を
積み上げていくのです。

気功って優しく見えますが、
実は厳しいところがあって、
物事の本質、
根っこの根っこまで
えぐり出すのですよ。

怖い・・・。

でも、実はこれが本当に楽しいのです。

毎日気功をしながら
どんどんピラミッドを壊していくと

あっ、これはあの時の怪我の痛みだ。
あっ、これはあの時の捻挫の痛みだ。

と、思い出します。

でもたいがい、何十年も前の怪我だったりするので
喉元過ぎれば何とやら、でその事自体
すっかり忘れてしまっているのですが、
その発見が何とも楽しい。

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そうして日々気功をしながら
どんどんピラミッドを壊していくと
どんどん生まれた頃に近づいていきます。

私は今、ようやく11歳ぐらいのところまで
戻ってきました!

なんせ身体中、古傷だらけですから、
道中半端ないのです。

ぜいぜい。

水は岩をも砕き
風は風化させる。

いやぁ。
なかなか、
簡単には風化させてくれませんねぇ。


秘湯と気功に感謝を込めて。