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葭始生(あしはじめてしょうず)|七十二候

水辺の葭が芽吹き始める頃。
葭は、「葦 / 蘆」とも書き、また「悪(あ)し」に通じることから、「善(よ)し」とも読まれます。
葦は、葦簀 (よしず) や茅葺き民家の屋根材などとして、古くから様々な形で利用され、人々の暮らしに身近な植物でした。

葦とススキ。似ていますよね。
見分けるポイントがあるらしいのですが、まぁそれはさておき。

私が住んでいる新潟は、越後ススキと言われるぐらいススキが有名なのと、私自身、葦を実際に見たことがないので、今回は葦ならぬススキのお話しをさせてください。

駒の湯山荘に行く橋の辺りにもススキが群生しています。
昔は今のように道が舗装されていませんでしたので、車一台ぐらい通るぐらいの細い山道でした。その山道にわぁーっとススキが覆いかぶさるように群生していたのです。
そのススキのトンネルをくぐって駒の湯山荘に行く時、
もう母はキャーキャー喜んで喜んで。
一方、夫は車が傷むと嫌がって嫌がって。
今となっては懐かしい思い出です。

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そんなことを思い出していたら、ふと鶴気功のことが浮かんできました。
あのススキの垂れた穂の形が、鶴気功の「鶴が水を飲む動作」と似ている気がしたからかもしれません(笑)。

鶴気功をご存知の方は、それほど多くはないかもしれません。

鶴気功とは、鶴が首をぎゅーっと伸ばして水を飲む動作を真似する気功です。全身の経絡を全て開き、気の流れを良くする優れた気功法です。

初心者向けというより、上級者向けの気功です。

私は基本的に自発動派なので、鶴気功のような形がある、動作が決まっている気功はあまりしてきませんでした。
というのも、子供の頃から病気をたくさんしてきて、身体のあちこちに悪い箇所があるので、決まった形を長時間し続けると負担が大きいからです。

でも本当はそれ以上に
「回遊するマグロ」と言われる私の性格と、身体の内側から湧き出てくるエネルギーに合わせて自由に動く自発動が合っているからだと思いますが(笑)。

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そんな私が、最近自発動をしていると、
無意識のうちに鶴気功が出てくるのです。
不思議です。

中国では、「鶴気功が気功師の試験として出される」と言われるぐらい、気功の上級を目指す人にとっては重要な気功です。
そして何より、私の尊敬する気功の先生がとても大切にしている気功です。
だから心のどこかでは、ずっと鶴気功が気にかかっていたのかもしれません。自発動ではそういう潜在意識が出てきますから。

あと、もうひとつ思い当たるとしたら、
普段は自発動ばかりの私も、
鶴気功を生み出された気功老師の生誕日である10月10日は、偉大なる気功老師に尊敬と感謝の気持ちを込めて、「鶴気功の日」として鶴気功を行ってきたことです。

毎年鶴気功の日は、気功教室の方達と朝早く川辺に行って、鶴気功を行います。そしてその後、持ち寄ったお弁当をいただくのです。
それがまたとても美味しい!

もうかれこれ12年、13年ぐらい「鶴気功の日」を行っているでしょうか。
もしかしたら、今回、鶴気功が自発動で出てきたのも、そんな「鶴気功の日」を毎年やり続けている姿を見て、天から導引してくれたのかもしれないなぁと思ったりしています。


いづれにせよ、鶴気功が自発動で出てきた時は、やはり嬉しかったですね。

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鶴は水を飲みますが、
鶴気功では気を飲みます。

足のつま先から下丹田、膻中(だんちゅう)まで、ぐーっと気を引き上げていくのです。

この時、下丹田を意識しながら、下丹田を動かさないで、気を動かします。
これがなかなか難しいのです。

気功は、動作、呼吸、意識を3つ統合して行います。そのため高い効果があるのですが、この3つを統合することがなかなか難しい。

動作に合わせ、呼吸、意識も合わせ、気を飲み、お腹に入れる。
鶴気功はこの動作も、呼吸も、意識も難しいのです。
でも、鶴気功をやり続けると、この3つを統合しながら気を飲み、お腹に入れる感覚がだんだんわかってきます。

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本物の気功師は、鶴気功を見ると、その人がどのくらい気を動かしているのか、その人の気功のレベル、深さがよくわかるのだそうです。
だから鶴気功は「気功老師の卒業試験」に使われるのですね。

とにかく、これはやり続けるしかありません。
でもやり続けていくうちに、何となくわかってきます。
そして、鶴気功のように良い気功を繰り返して練習していくと、他の気功のことも何となくわかってきます。
日々精進ですね。

秘湯と気功に感謝を込めて。