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秘湯と気功でつづる七十二候|鶏始乳 (にわとりはじめてとやにつく) 1/30~2/3頃

春の気配を感じた鶏が卵を産み始める頃。
「乳す」は、鳥が卵を産むという意味だそうです。
鶏は、古来より神や精霊の時間である夜と、人間の活動する昼との境目を告げるため、霊鳥だと考えられてきました。

明け方、
丑の刻(午前2時)。
最も早く鳴く鶏は一番鶏。

夜明け、
虎の刻(午前4時)。
一番鳥の次に鳴く鶏」は二番鶏。

実はかつて私も
一番鶏のごとく
明け方、丑の刻ぴったりに
トイレに目覚めていました。

今は自家発電があり、
安全のため、
夜間も灯りもついています。

でも昔は
ランプの灯りだけでしたから
本当に真っ暗。

暗黒。
暗闇。
闇黒。
漆黒。
……。

山の霊気に包まれた
あの深く静かな闇夜。

30cm前にいる夫すら見えない
真っ暗闇というものを
駒の湯に嫁いで
初めて経験しました。

そして
山の霊気は
午前2時、丑の刻の頃、
ものすっごく強くなるのです。

その霊気が
私を起こすのです。

一番鶏か⁉ 私は。

夜は
神の精霊の時間と言われています。
気功の世界でいうと
陰の世界です。

今は夜もずっと明るくて
陽の世界ばかりになっていますね。

夫と二人で
真っ暗闇の世界で
20年間過ごしていた時は
冬、雪が降って
山から町に下りてくると
もう夜の町の灯りが
眩しくて眩しくて
目を開けていられませんでした。

テレビもNHK 以外は
うるさくて見ていられない。
折角、山から下りて
テレビが見られるというのに!

あの頃は
気功というものも
まったく知らなかったわけですが、
今から思えば
文明から隔離された
山の中の一軒宿で
山の霊気、
真っ暗な闇夜に包まれ
陰の力を
養っていたのだと思います。

夫とバリ島のウブドに
旅行したことがあります。

神々の棲む島と言われているウブド。
ウブドに嫁いだ日本人の女性に
面白い話を聞きました。

彼女が嫁いだ時は
まだウブドに電気がなかったそうです。
そんな時、義父から
「今日は●●で集まりがあるから
 行っておいで」
と言われたそうです。

でも時間も場所も言いません。

尋ねると
「今にわかる」
とだけ言われたそうです。

何がどうわかるのか、
ちゃんと遅れずにいけるのか、
そわそわしながら待っていると、
義父が
「××が家を出たから、
 そろそろ準備しなさい」
というのだそうです。

××さんの家は
もちろんずっと遠くで
義父から見えるはずがありません。

不思議なことを言うなぁと
思いながらも、準備して待っていると
本当に、××さんが現れたのです。

そして××さんの後についていくと
今度は、他の人も同じように
××さんと自分が来るのが
わかっていたかのように
家の前で待っていて
合流するのです。

それが
会場に着くまでずっと続くのだそうです。

でも、そんな不思議なことも
電話がつながり、
電話で日時、場所を
連絡し合えるようになった今は
無くなってしまったそうです。

文明の発達に伴い
陽の世界が優勢となり、
陰の力が弱まるというか、
人間が元々持っていた
潜在能力が失われている気がします。

気功は、
陰陽のバランスを整え、
失った潜在能力を高め、
自分の命を強くする方法です。

陰が強すぎるのも、
陽が強すぎるのも
よくありません。

全ては中庸。
陰と陽のバランスが大切です。

陰陽バランスを整える
簡単な気功法があります。

胸のところで手を合わせる
合掌のポーズです。

右と左
陰と陽を合わせ
陰陽バランスを整えます。

この合掌のポーズは
言ってみれば
手を合わせるだけのものですから
誰でもできる簡単なものです。

でも実は
とても奥深い。

右と左。
陰と陽を
同じだけのバランスで
合わせることは
なかなか難しいのです。

身体の邪気が無くなり
空の状態になった時
すとーんと
右手の平と左手の平が
磁石のように
すーっと吸い付くように
くっつきます。

自然に
ふわーっと身体の力が抜け、
すとーんと落ちる感じです。

長い冬の終わりを告げる
鶏が鳴き、
いよいよ立春、春が訪れますね。

コケコッコー!

秘湯と気功に感謝を込めて。