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人権条例(通称)の可決、必見!魂の討論

こんにちは、神薗まちこです。

令和6年3月4日は中間本会議が行われて、11の議案と1つの報告(専決処分)が決定しています。

特に注目したのは、通称:多様性条例と言われているものです。

渋谷区においては、基本構想である「ちがいを力に変える街。渋谷区」の根幹をなす条例です。関係するのが、議案第2号・第7号・第8号となります。特に第8号に関しては、4名の会派から討論がありました。

私の所属するシブヤを笑顔にする会は、2015年に今回の議案の大元となった「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」ができる際に、可決へ向けて大変尽力しました。

その当時から、この問題にずっと真摯に取り組んでこられた岡田マリ議員が代表で賛成討論をしましたが、まさに言霊のこもった素晴らしい討論をしてくださいました

下記、ご本人にも了承得て、全文載せていますのでご覧いただければと思います。まさにこの条例で掲げられているように、全ての人が互いに人権を尊重し合い、支え合うことで、偏見や差別なく自分らしく生きることのできる社会、そして多様性を認め合う社会を実現できるように進めていきたいと思います。


▪️議案第2号 渋谷区多様性を認め合う社会を推進する条例/賛成多数で可決

審査の中で出た意見
ー渋谷区基本構想の価値観や渋谷区が目指す未来像を踏まえた、新たな理念条例を制定するものと評価する。
ーあらゆる人の個性と多様性を認め合い、人権を尊重し、自由で寛容な渋谷区を築くための施策を、さらに推進されたい。等。


▪️議案第7号 渋谷男女平等・ダイバーシティセンター条例の一部を改正する条例/賛成多数で可決

審査の中で出た意見
ー条例改正により、本施設が包括的な人権尊重の拠点としての役割を発揮できるよう、地域共生サポートセンター〈結・しぶや〉や教育センターのけやき教室との連携の強化を期待する。
ー施設名称が渋谷インクルーシブシティセンターに変わることにより、利用者が事業内容について混乱しないよう、分かりやすく丁寧な周知に努められたい。等


▪️議案第8号 渋谷区人権を尊重し差別をなくす社会を推進する条例
審査の中で出た意見/賛成多数で可決
ー条例の対象を外国人、障害者、子どもの人権等にも拡大し、カミングアウトの強要、本人の意思に反するアウティング、ヘイトスピーチの禁止を明記し、パートナーシップ証明の対象を拡大したことを高く評価する。
ー渋谷民という用語は、対照的で一般的に認知されていないため、人々の混乱を招かぬよう、定義や権利義務の範囲等を明確に理解できる丁寧で分かりやすい周知と、慎重な運用に努められたい。
ー女性支援と人権教育については、後退することなく施策を継続・拡充することを引き続き発信されたい。
ー今後の条例審議において、議会での十分な検討・議論が可能となるスケジュールを設定するよう、強く要望する。等。

また、この条例については「渋谷民」については新しい定義であり、丁寧な周知に努められたいとの意見が出され、附帯決議を付すことと総務委員会全員一致で決定がなされています。

議案第8号の表決結果(賛成31、反対1、退席1)




動画では、20:31〜28:43あたり
https://smart.discussvision.net/smart/tenant/shibuya/WebView/rd/speech.html?council_id=63&schedule_id=4&playlist_id=4&speaker_id=0&target_year=2024

尊敬する会派の先輩です!

○討論の全文○
「シブヤを笑顔にする会」を代表して議案第8号 「渋谷区 人権を尊重し差別をなくす社会を推進する条例」、以下人権条例、について賛成の立場から討論いたします。

2012 年、当時区議会議員であった長谷部区長が パートナーシップ証明書の発行を本会議で提案したことをきっかけに、2015 年、証明書を含んだ「渋谷区男女平等 及び多様性を尊重する 社会を推進する条例」、以下多様性条例、が桑原前区長から提案され、我が会派が体を張って可決に導きました。その多様性条例が制定から9年目となり、次のステップへ進む改正条例です。

現行の多様性条例は「まず男女が個人として平等に尊重されること」とあり、これはアイリスで長年活動されてきた方々のご努力のもと、人権尊重の理念を男女平等とともに 性的マイノリティにも拡大することをうたった条例でした。
この多様性条例施行後、日本全国にパートナーシップ制度が広がることとなり、それまで苦しい思いをしてきた当事者のみなさんの希望となりました。

渋谷区議会事務局ではパートナーシップ制度や多様性条例の視察を 2015 年から 2023 年1月までに、全国 51 議会、また、渋谷男女平等・ダイバーシティセンター〈アイリス〉では2015 年から 2023 年 2 月末までで 424 もの視察を受けました。私のところにも条例施行以降、日本全国、時には海外から話を聞きたいと多くの人たちから問合せがありました。高校生や大学生、時には中学生と話をすることもありました。新幹線に乗って話を聞きに来た学生もいました。昨年夏も都内大学の研究でインタビューを受け、学生も先生も熱心にレポートをまとめていました。

つい最近では区内の飲食店でたまたま隣に座った人が渋谷区のこの条例に、大きく背中を押され、地方から東京で就職、職場でカムアウトができ、今ではパートナーと暮らしているとのこと、この条例が無ければ今の自分は無かった、と涙ながらに話をしてくれました。

多様性条例は当事者だけでなく、子育て中の保護者からも「この条例が渋谷区でできたことは誇りであり、これから子どもたちはダイバーシティの視点をもち成長していってほしい。」というお声も多数いただきました。

またこの間、女性進出について大きな変化を実感します。
当時、アイリス登録団体のみなさんとの懇談会で、多かったご意見は、「渋谷区議会に女性議員が少ない(その当時は 7 名でした)、女性議員に委員長職がいない、総務委員会に女性議員がいない。渋谷区役所の職員に女性の課長、部長が少ない。女性の町会長がほとんどいない。」というお声でした。多様性条例施行以降、女性の活躍が目覚ましくなったのは渋谷区議会においては女性議員が倍以上の 15 名に、また区職員、町会などを見ても明らかです。
一方で男性相談窓口などまだまだ取り組むべき課題があります。そうした課題を解消していくために、人権条例ではジェンダー平等の中で「男女にとらわれず性のありように関わらない平等を推進」していく点について評価いたします。

さて、今ではパートナーシップ制度は渋谷区から日本全国に広がりました。渋谷区・虹色ダイバシティ 全国パートナーシップ制度 協同調査によると、2023 年 6 月 28日時点で、全国328自治体で制度が導入され、人口カバー率は 70.9%となりました。

以前から多様性条例施行後も、社会の情勢により、必要に応じて改正を、と申し述べてきました。 「多様性 – ダイバーシティ」は、性別、年齢、障がいの有無、国籍などに係わらず、文字通り多様な人が含まれてこそ実現するものです。

そしてこの間、会派では多様性条例の改正について本会議の場で 4 回提案してきました。
具体的には
・外国人、障がい者など、対象をさらに包括的に改正する。
・禁止事項に「カミングアウトの強要」や「本人の同意を得ないアウティング」を入れるなど、
性的少数者の権利をより具体的に守る。
・ヘイトスピーチなどの差別が根絶される社会 を目指す旨の文言などを入れる。
などです。

今条例改正にこれらシブヤを笑顔にする会の提案が盛り込まれている点を高く評価いたします。

また、パートナーシップ証明書についてはこれまでは法制度の後押し、という位置づけでしたが、今回の改正により、「パートナーシップ」の定義に関して、これまで明記されていた「戸籍上の性別が同一である2者間」が削除されたことにより、夫婦別姓を望んでいるカップルなどもこのパートナーシップ証明書を活用できる位置づけになると考えます。

パートナーシップ証明書は東京都の宣誓書などに比べて手続きが大変、という声もありますが、事実婚にも不可欠な証明書となり、宣誓書と差別化が図れることとなり、今回の定義変更は重要ととらえ、評価いたします。

一方で、多様性条例の施行以降、先進性を高く評価されている ジェンダー平等の数々の事業が縮小されることがないよう、人権条例では対象が広がりますので人員の拡充は必須です。改正の主旨を踏まえて、しっかりとした体制づくりをお願いいたします。

また、人権条例に新たに「ヘイトスピーチ禁止」が入ったことを高く評価いたします。ここで思い出されるのは 2015 年、多様性条例の審査期間中に旧庁舎の前に街宣車が停まり、庁舎内にも聞こえる騒ぎとなったことを覚えてらっしゃる方もいると思います。そこで、ヘイトスピーチ禁止の対象者については本邦外出身者に限らず、すべての人たちを保護の対象とする必要があります。ただし、表現の自由との兼ね合いもありますので、慎重な線引きもあわせて検討する必要があります。

加えて、今定例会の伊藤毅志議員の代表質問でも述べたように、条例名「渋谷区人権を尊重し 差別をなくす社会を推進する条例」には「差別」という言葉のネガティブさがつきまといます。ぜひ社会的包摂をモチベートする 渋谷区らしい名称にしていただき、真のインクルージョンを目指していただきますよう、今後ご検討をお願いいたします。

本条例は 8 年を経て、大きく進化しようとしています。しかしこれで完成ではなく、以上の点を踏まえて、今後も社会の変化に合わせ、さらに進化し続けることを期待しています。

最後に、ゼロからスタートした現条例の作成から今回の改正条例に係わった全ての関係者、職員のみなさまに心からの感謝を申し上げ、「シブヤを笑顔にする会」の賛成討論といたします。
ご清聴ありがとうございました。

以下、その他可決した議案になります。

◼︎議案第11号渋谷区郷土博物館・文学館条例の一部を改正する条例/全員賛成で可決
ー東日本大震災の後、短縮されていた開館時間を元に戻すための改正であり、区民の利便性の向上につながるものである。
ー午前の時間帯を活用し、教育委員会とも連携して、子どもたちが渋谷の郷土史や文化を学ぶ機会を提供されたい。
ー開館時間の変更とともに、郷土博物館・文学館の魅力がしっかり区民へ周知されるよう要望する。等

◼︎議案第14号渋谷区介護保険高額介護サービス費等資金貸付基金条例を廃止する条例/全員賛成で可決
ー利用者がいったん全額負担をする償還払いから、自己負担分のみ支払う受領委任払いに制度が改正されたため、事業実績が10年以上なく、賛成する。
ー活用されていない基金を廃止し、必要性の高い介護給付費準備基金へつけかえるものであり、妥当である。等

◼︎議案第15号渋谷区障害者福祉施設条例等の一部を改正する条例/全員賛成で可決
ー施設の名称「渋谷区りばあさいど原宿」は区内の障がい者の家族会等の意見を聞いて決定したものであり、利用者やそのご家族が安心して利用できる施設となるよう要望して、賛成。
ー地域の方々にも親しまれる施設となるよう、期待する。等

◼︎議案第18号渋谷区旅館業法施行条例の一部を改正する条例/全員賛成で可決
ー改正された旅館業法の中に規定されたため、同一の内容となる条文を削除するものであり、賛成する。等

◼︎議案第20号渋谷区監査委員条例の一部を改正する条例/全員賛成で可決
ー地方自治法の改正に伴って生じた、本条例が引用する条文のずれに対応するもので、必要な改正であり賛成等。

◼︎議案第21号令和5年度渋谷区一般会計補正予算(第9号) /賛成多数で可決
ー法改正に伴う戸籍事務・住民記録事務のシステム改修や、障害者の自立支援や保育の充実等を図る適切な予算であり、賛成する。
ー区民サービスの拡充を進めることを評価し、引き続き持続可能な行財政運営に努めることを要望する。


◼︎議案第26号物品購入契約/全員賛成で可決

議案第31号東京都後期高齢者医療広域連合規約の変更について/全員賛成で可決

◼︎報告第1 号専決処分の報告について


人権条例の制定へ向けた動きも、4/13の会派区政報告会でお話させていただきます。



【シブヤを笑顔にする会/区政報告会2024のご案内】

■申し込みURL
https://forms.gle/abBHL4ii6wTyyWoW9

■会場
4月13日(土)10:00a.m.-11:30a.m.《申込締切4/12(金)17時まで》
場所 : 全理連ビル9F/AB室 渋谷区代々木1−36−4

※会場の定員 先着100名(オンラインは除く)

■内容:
ー渋谷区政に関する報告
ー意見交換の時間

※ZoomのID・パスワードは前日までに、メールにてお送りいたしますので、
メールアドレスの回答をお願いします。

■連絡先:
シブヤを笑顔にする会メールアドレス  
shibuyaegao@gmail.com

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