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SIW2021~Z世代のココロとカラダの性を考える!

こんにちは、神薗まちこです。
渋谷区では11月の初旬に10日間、SIW(ソーシャルイノベーションウィーク)が開催されます。テーマの「HELLO!IDEA」というように、まさに様々な分野で活躍する方々がお越しいただき、テーマについて対話し、そこから未来を突き動かすようなアイディアが生まれてくる10日間です。
https://social-innovation-week-shibuya.jp/about/

たくさんのテーマでセッションが組まれているのですが、私は「Z世代のココロとカラダの性を考える」に登壇しました。

1:企画のできた背景

この企画は、もともと同会派の森田ゆきさんが起案したものでした。娘さんが高校生で、『渋谷が何処よりも性教育が進んでいる街にすること!』を目指し、活動されていました。会派の中でも各世代の女性議員がいるということもあり、性教育やHPVワクチン、フェムテックなどに関する議論をよくしています。そういった中で、行政の枠組みだけではなかなか進まない現状を打破しようと、公民連携で実現しようとする森田さんの熱い想いがこもった企画でした。
本来ならば、森田さんが登壇すべきと心から思いますが、初の渋谷区議会とSIWのコラボということで、区議会の中でも議論がなされ、テーマに近い内容を担当する委員会の委員長と副委員長が今回は登壇することになりました。このテーマは、文教委員会だろうということで、一柳委員長と副委員長である私が出ることになったのです。

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2:性教育の(ここ最近の)歴史

登壇するにあたって、もう一度いろんな情報を整理したく、ひも解いてみました。そこで分かったのが、日本の性教育は加速していたものが、後退したという事実でした。

・1980年代後半に「エイズパニック」の危機感から公立学校で性教育がスタート、90年代は性教育が盛んになり、同省が1999年に出した『学校における性教育の考え方、進め方』で、学校教育の中で行われた性教育を振り返り、反省点を認めつつこれからも続けるという前向きさが見えた。
・その後、すぐにバックラッシュが起こる。文科省は20世紀を最後に「性教育」という言葉をやめ、「性に関する指導」と言い換えるようになった。

*バックラッシュとは?
https://diamond.jp/articles/-/264604?page=5 参照
 80年~90年代、男女雇用機会均等法や男女共同参画社会基本法が施行され、全国の自治体でも「男女共同参画」に関する講座が開かれるようになった。しかし2000年代に入ると、このような流れに対抗するバッシングが盛んになった。この運動をバックラッシュという。男女共同参画の取り組みが攻撃の対象となり、たとえば「ジェンダー」という言葉が徹底してタブー視された。
 さらに保守派議員らによって、性教育がバッシングにさらされた。養護学校(現・特別支援学校)で障害のある児童に性教育を行っていた教員が処分された「七生養護学校事件」は、日本の性教育を著しく後退させたと言われる。

・直近の東京都動き
東京都では2019年、14年ぶりに「性教育の手引き」が改訂
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/press/press_release/2019/release20190328_02.html
(その前は、2004-2005年)これまでの東京都の性教育は、「性知識を教えない、隠す、教えると罰を受ける」といった否定的な印象があった。
「性同一障害」「SNS」「低用量ピル」「性的指向・性自認」「いろいろな人の生き方を尊重」と、時代に合ったテーマが取り入れられている。
男性・女性で分けられる性がベースの内容になっているため、SOGIE(Sexual Orientation(性的指向)、Gender Identity(性自認)、Gender Expression(性表現))教育という観点においてはもう一歩前進が必要。

「Consent for kids」のようなイメージが表現方法としてはよい
https://youtu.be/xxlwgv-jVI8

*参考 https://afee.jp/2020/06/15/10482/

・直近の国の動き
 2020年6月に、内閣府の男女共同参画で「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」が決定し、内閣府、警察庁、法務省、文科省、厚生労働省の各省庁がそれぞれの対策を行うことになった
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/pdf/policy_04.pdf

 文部科学省(以下、文科省)では2021年から複数の学校で「生命(いのち)の安全教育」の実証を行い、2023年には全国の小中高において普及・展開を図る予定
https://www.mext.go.jp/a_menu/danjo/anzen/index.html
 「生命(いのち)の安全教育」と聞くだけでは、その内容を推測は難しい。文科省の説明を見ると、これは明確に、性犯罪・性暴力を防ぐための教育であることが分かる。子どもたちを、性暴力の被害者にも加害者にもしないための教育を目指すとされている。

※参考 https://diamond.jp/articles/-/276274

3:渋谷区の現状

①学校の教育
―性に関する教育/とてもスタンダード、東京都や国の動きを受けて実施するのみにとどまっている(新しい動きはキャッチアップできていない)
―ジェンダーに関する教育/渋谷男女平等・ダイバーシティセンター<アイリス>が牽引している。
・H29-R1にかけて、26校全校で教員向けのLGBT研修を実施/eラーニングで受けられるようにしている。/その後、年1回新任・転入教員向けへの研修を実施/基礎知識を得られるパートと、ライフヒストリーを話すパートの2部構成
・希望のある学校で、児童・生徒向けに研修会を実施(例えば、道徳の授業など)
・「受け入れる」ではない、見えなかっただけ。インクルージョンな社会を目指す
*参考 https://logmi.jp/business/articles/323220

②男女平等および多様性社会に関する意識調査アンケート
在住・在勤の社会人および区立の中学2年生へ男女平等および多様性社会に関する意識調査のアンケートを取った(R3年1-2月)
ー全体回答数 1955名、中学生は491名
―中学生においては、任意だったが70%を超える回答率(一人1台タブレットの中で回答してもらった)
―全体で行くと、シブヤ民のジェンダー平等の理解は進んでいる。
一方で、実態との乖離はある。性のありようは色々だけどねという意識はあるが、ジェンダー表現の自由はあまり許されていない、安心できる環境がまだ少ない。
―50代以上の方への意識啓発、性的マイノリティの方の支援ニーズの把握、大学等と連携した啓発やアウトリーチ&支援事業の3つが、今後意識すべき取り組み・課題出てきた。
―中2は、性自認や性的志向の発達段階の家庭にあるが、それでも性的マイノリティであると自認している人が7.9%いた
―周りの大人のジェンダー意識が子どもに大きく影響
「男らしく、女らしくあれということが、メンタルなどに影響しかねない」
・最も「男(女)だから、〇〇しなさい」といっているのは母親。父親、教員男女より特段多い。男らしくは、父母両方。女らしくは、母が圧倒的に多い。性的マイノリティは父多い。いわれた経験値が多い。
―すべての生徒に、性の多様性やジェンダー平等といった知識や情報に触れる機会の提供が必要
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kusei/shisaku/ku_keikaku/danjo_byodo.html


③渋谷区子育てネウボラでの取り組み(家庭への働きかけ)
渋谷スポーツ共育プラザ&ラボ”すぽっと”が、渋谷区子育てネウボラと連携しながら、おうち性教育やLGBTに関するオンラインやリアルの保護者向け講座などを実施
https://shibuya-spot.jp/topics/detail.php?id=205
https://www.facebook.com/267613353673573/posts/1098725477229019/?d=n

少しずつ取り組みは始まっているけども、包括的性教育・横断的なアプローチということはまだまだ足りていない現状です。

4:SIWで分かったこと

ようやく、本日SIWで話されたことまで到達しました(前置きが長かった)。
登壇者は下記の皆様。

NPO法人ピルコン 理事長 染矢明日香さん https://pilcon.org/
国際協力NGOジョイセフ デザイン戦略室長 小野美智代さん https://www.joicfp.or.jp/jpn/ 
KARADA内科クリニック渋谷 院長 田中雅之さん https://karada-naika.com/
渋谷区議会議員 文教委員会 一柳直宏さん、神薗麻智子
SIWエクゼクティブプロデューサー
一般社団法人渋谷未来デザイン理事・事務局次長 長田新子さん

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■国際協力NGOジョイセフ デザイン戦略室長 小野美智代さん
 ジョイセフさんは、すべての人びとが、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利:SRHR)をはじめ、自らの健康を享受し、尊厳と平等のもとに自己実現できる世界をめざし、50年前から活動されている国際協力NGOです。2011年東日本大震災をきっかけに、日本国内での支援を広げてこられたとのこと。

冒頭、こんな発信をいただきました。
・15-19歳の女性の死因の最大が、中絶であること
・ジェンダーギャップが、日本は120位・タンザニア82位・アメリカ30位・ドイツ11位
・子宮頸がんで亡くなる女性、3000人近くいる。先進国で死亡率が増加しているのは日本のみ
・女性の避妊実行率40%の日本/避妊方法が少ない

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など、衝撃の事実が・・・そういった中で、特に日本の10~20代を対象にグローバルな視野でSRHRに関する幅広い情報提供を行い、一人ひとりのアクションのきっかけをつくるプロジェクトとして「ILADY」を立ち上げられたということでした。

Love Yourself(=自分を大切にする)
Act Yourself(=自分から行動する)
Decide Yourself(=自分の人生を、自分で決める)

ステキなメッセージですよね。そのプロジェクトの一環で行われた「性と恋愛2021~日本の若者の性と恋愛のリアルを意識調査」の調査。

SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ:性と生殖に関する健康と権利)に関する情報提供を行う「I LADY.」キャンペーン(http://ilady.world/)の一環として、15-29歳の日本の若者(3266人)と30-64歳の大人(2072人)を対象に、「性と恋愛2021ー日本の若者のSRHR意識調査ー」を「リアルな恋愛観」、「性・セックスの意識」、「避妊・性感染症予防の本音」、「セクシュアル・ヘルスについて」、「自分の人生を決められるか」の5つのテーマ別に実施されたデータから、発信されており、大変参考になるデータです
https://www.joicfp.or.jp/jpn/column/ilady-2021-digest/

・プロポーズしたいのは、男性が圧倒的に多い。男性・女性らしさという刷り込み
・気乗りしない性交渉、避妊しない性交渉10-20代27.8%、30-40代44%(年齢が上がるほうが増える)
・妊娠したらどうするつもり?「性的同意」自分の体のことは、自分で決めるという観点で見たときに、「産んでもらうつもりだった」という男性が30%程度いるという事実。
・性についての相談相手がいるか?10-20代男性 友達41.4%、誰もいない32.4%、30-40代男性誰もいない50.5%、友達25.2%、10-20代女性 51.8%、パートナー34.8%、30-40代女性 誰もいない35.7%、友達 34.3%

性に関する相談相手が「誰もいない」という割合が特に30-40代で男女ともに多いこと、10-20代男性でも多いことが一番の驚きでした・・・もっと気軽に性について相談できる窓口が必要なのだと、感じます。そして、Z世代に対してというよりも、大人世代の私たちがバイアスを取り除いて、ゼロベースで考えていくことが大事なのではないか?というメッセージを小野さんからいただきました。

■KARADA内科クリニック渋谷 院長 田中雅之さん
渋谷のど真ん中でクリニックで診察を田中先生からは、Z世代の患者さんの状況の傾向に関して、共有いただきました。

これまで、既往歴のない女性が訪れ、初めての性交渉の一週間後くらいにおりものが増え、陰部が痛いといった症状で来ることがよくあるケースとのこと。
追加聴取すると、「パートナーは症状があるかどうか?→聞いていない」「親に相談したか→むしろ、この診療が伝わるのか?をとても心配している様子」「いくら治療にかかるか知っているか?→お金ない」といったような状況が多いということでした。中には知識は豊富だけども、行動が伴っていない患者さんもおり、相談相手がいない人も多いということ。

状況を見ていると、やはり予防の知識をしっかり把握し、行動に移してもらうことの重要性と悩みを相談できる適切な窓口が必要ではないか?というお話になりました。

教育:病気の知識
教育:予防の知識 コンドームと性感染症
相談:窓口、親・パートナー
制度:金銭問題(助成)

Z世代だけでは解決できない環境をどう作るか?ということで、課題提起をいただきました。

■NPO法人ピルコン 理事長 染矢明日香さん
染谷さんからは、これまでの行政との連携事業などを通じて、渋谷区への提案をもらいました。

ピルコン1

ピルコン3

ピルコン4

まさに、包括的性教育を地域全体で連携しようというプログラム。活動の中心を当事者であるユースにおいているのも、とても共感できると感じました。誰かが誰かに与えるための仕組みではなく、共にみんなで作っていく仕組み。
杉並区と連携して実施していた実証研究によって、HIV検査数が増加するなどの一定の成果から、当事者であるユース中心に活動できたのが大きいと感じているということでした。
若者の街である渋谷区でもやっていきたい、性と健康の推進プロジェクト。多様性やエンパワーメントを意識して、ユース中心に活動し、みんなでつながり合うようなプロジェクト。どうしても縦割りになりがちな、行政の活動も横ぐしでつなげて、連携していくことができるのではないかと思いました。

■質疑を通して得た声、気づき
・バイアスがある社会 一旦フィルターをリセットする。
・大人がやることで、子ども達が学ぶときに自然に受けることができる。
環境を整えるところが大事。
・性教育は1回で終わりではない、幼少期から繰り返し、らせん階段上で学ぶ。
・自分の体は自分のもの、主体的に決めていく。
・包括的性教育、学ぶ場・とっかかりも大事。国内や海外のドラマなどでも取り上げられている。
・地域での間口を広げる、気になる・悩むといった状況で、気軽に相談できる場とつなげることが大事。相談機関まっているだけでなく、アウトリーチしていく、体制も必要。
・日本はどうしても、先生―生徒のような構図で、教えてもらうということになっている。生理一つとっても、同じ人がいない。全部違う。違って当たり前、ある特定の人から学ぶよりは、一緒にみんなで考える。一緒に考える。
・センシティブな話だからこそ、Webの匿名性を活かすのか?アバターで、バーチャルしぶやで話すとか。積極的にコミュニケーションできるかも。リアルな自分でなく、交流できる。
・センシティブな個人情報をどのように守りながら、横の連携で支援していくかということ。
・性教育/堅苦しい、難しいものではなく、もっと新しい発見や面白さのあるFANであるべき
・Z世代だけでなく、大人世代も学び・行動すべきでは?その時に、企業などへのアプローチから大きくパラダイムシフトできるのではないか。
・性のことを伝えないと、、、語る言葉がないなと思った。性教育は文化であり、科学であるワクワクする学問だということを知ってほしい。
・オンラインで講座をやってみたが、受けてみようと思う人たちは意識が高い人たち。関心ある人が見るだけでは、分断されて行ってしまう。意識がない人たちへどう届けるか?いろんな場面でアプローチできたらと思った。

学び多き時間でしたが、これを行動につなげていきたいと思います!

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