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孤立の子育てを解消!渋谷区版子育てネウボラ

渋谷区での子育て、「孤立化」しやすいという課題があります。
その孤立の子育てを解消するため、2019年5月からネウボラの取り組みがスタートしました。

「ネウボラ」って何?

ネウボラは、フィンランド語で「助言の場」を意味します。母親の妊娠期から子供の小学校入学まで、担当の保健師が子育てに関するあらゆる相談にワンストップで応じる仕組みです。妊娠中に約10回、産後に15回程度の定期健診や発達相談を受けます。父親やきょうだいが受けるものも含まれます。乳幼児や周産期妊婦の死亡率が高かった1920年代、小児科医や看護師らが始めたのがきっかけです。44年に法制化され、今では国民皆保険のサービスとして、年齢層や社会的経済的地位に関係なく全家庭に無料で提供されています。利用率はほぼ100%です。
ネウボラの説明記事(朝日新聞GLOBEより抜粋)

2017年からスタートした国の制度「子育て世代包括支援センター」の仕組みを活かして、渋谷区でも設立をしています。フィンランドのネウボラが6歳までの妊娠期~小学校入学までをワンストップで支援しますが、渋谷区では18歳までの支援を掲げており、その点が一番大きく異なります。

なぜ、妊娠期からの支援が必要?

一言でいうと、産後の育児をスムーズにスタートしてもらうため。ここにつきると思っています。
虐待死の数値を見ても、0歳児の割合が47.5%、加害者の割合は実母が55.6%です。人類が進化の過程で築いてきた「みんなで協力して子育てする=共同養育」が出来ないということも起因して、産後鬱や酷い場合は子どもへの虐待という行為が発生しています。
母親やご家庭に寄り添い、サポートする体制を社会・仕組みとして作るということが、住民の流動性が激しい渋谷区だからこそ必要でした。

図1

渋谷区ではどんなことをやっているの?

ネウボラの仕組みでやっていることは、これまでやってきた既存事業(健診など)も含まれるので多岐にわたります。2019年度に新しく始まった取り組みは、「妊婦面接」と「育児パッケージの贈呈」です。
実はこの2つが「キモ」で、妊娠期からご家庭や母体の状況を窓口になる保健師さんが把握することで、産後の子育て支援を強化することが出来るのです。「育児パッケージ」に関しては、妊娠届を提出かつ妊娠16~32週目に保健相談所にて面接を受けたご家庭に出産後にお送りする仕組みになっています。この「育児パッケージ」をフックに、妊婦の全件面接を行うというミッションを保健所は持っています。

渋谷区のネウボラの取り組みについてhttps://www.city.shibuya.tokyo.jp/kodomo/neuvola/

今後、強化していく点

2021年8月には神南庁舎の跡地にネウボラ機能を強化するため、新施設がオープンする予定です。それまでの助走期間として、ソフト面を充実させていくのが「今」やるべきことになります。

私が考える、今後強化すべき点は大きく2点です。

1点目は、子どもやご家庭の情報を複数部署で連携するための
「ネウボラ電子カルテ化」が必要という点です。

ネウボラの取り組みは、
産前・産後の面談を行う保健師を起点に多くの関係者が横断して、
ご家庭や子どもたちの成長を見守ることに大きな価値があります。

そのためには、面談や健康診断、予防接種等の情報を一元管理し、
関係する担当者が入力・閲覧できるシステムが必要になります。

また保育園や幼稚園、学校、放課後等デイサービス、
子ども家庭支援センター、子ども発達相談センター、
今後、設置予定の児童発達支援センターなどからも、
情報入手と提供が必要になるでしょう。(今はまだ、紙の運用・・・)

2点目は、ネウボラの18歳までの全体計画についてです。
18歳までの子どもたちのいるご家庭をサポートする
渋谷区子育てネウボラにおいて、
「子どもの成長に合わせ、ご家庭がどう変化するか」を踏まえ、
働きかけていく必要があります。

特に子どもたちにスペシャルニーズがあったり、
ご家庭が不安定で虐待の可能性があったり、
引きこもりや不登校の問題などを抱えている場合、
相手側からの情報を待つのではなく、
積極的な働きかけを行い、状況を改善していくことが必要です。

一方である程度、
子育てが軌道に乗ったご家庭に対しては、
頻度の高いきめ細やかなフォローというよりは、
多くの方が欲する情報を提供し、
必要があれば相談先があるという体制が有用と考えます。

例えば、発達段階に合わせた子どもへの対応方法、
保育園や幼稚園の情報、小学校や中学校の情報などは、
多くの保護者が欲しています。

インターネットの普及に伴って、
子どもたちが誤った性に関する情報を、
手に入れる機会も早まっていますので、
年長くらいから命や性に関することを、保護者と一緒に学ぶ機会が必要。
という声も多く聞こえます。

妊娠期から18歳までの
ご家庭と子どもたちの発達段階や想定される活動を踏まえ、
専門家や支援を実践している方、担当部署を入れて、
委員会を立ち上げ、全体計画を設計すること、

全体計画に関しては区民にも公表し、
今後どういった支援がネウボラを通じて行われるのかを、
認識いただく必要があると考えます。 

上記の2点の観点で、議会でも質問していますので、
ぜひ、ご覧ください。こちらから!(13分くらいから)

始まったばかりの渋谷区版子育てネウボラ。
中身の詰まった事業にしていけば、もっと子育てしやすい渋谷区になっていくと思いますので、積極的に事業のブラッシュアップを応援していきたいなと思っています。


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