「虐待」と忙しさ
北海道の福祉施設で入所者への虐待が明らかになり、報道されています。
虐待の事実が発覚し、関わった職員は特定されていますが、 その職員は
「在職のまま引き続き、業務にあたっている」
と言います。
人手不足で、仕方がない、というのが施設管理者の言葉です。
そもそも
虐待の背景が人手不足なのではないでしょうか。
内情は知りませんけど。
・・・😮💨
「虐待」は許されない行為です。
その行為を楽しんでいるような人は論外です。
しかし、福祉や医療、介護の場面で
、虐待、虐待とまでは言えなくても、不適切な対応が生まれるには、職場の環境が大きく影響しているのではないか、と、個人的には感じます。
私は以前、病棟看護師として働いていました。
勤務し始めた当時は、それほど重症の人は多くなくて、定時出勤、定時退勤が当たり前。スタッフの人間関係も良く、とても働きやすかったです。
しかし、ある日、病院の体制がかわり、恐ろしく忙しい病棟になりました。
認知症があって、夕方になると病棟を抜け出そうとする人がいる傍ら、人工呼吸器を装着している人は咳のたびにナースコールが鳴るし、生命時間が残り少ない、最期の時を過ごしている人もいる。人工透析の送迎の時間は決まっているし、入浴は全員介助が必要。さまざまな体調で目が離せない方を40人、詰め込んだような病棟でした。
日中の勤務、と言っても、朝食の後片付けに間に合うくらいには出勤して、夕方、ナースコールに対応しきれない夜勤者を手伝っているうちに、帰宅が消灯近くてだったり、
2交替の夜勤はほぼ休憩無しで業務をし続け、このままでは「死んじゃうかも」と思いました。
良好だった人間関係も殺伐となり、口から出るのは愚痴ばかり。
「明るく優しいナース」だったはずの病棟メンバーがどんどん変わっていってしまいました。
私自身も苦しかった。
忙しくなって三年ほど経ち、
体力的なことよりも、だんだんナースコールを押す患者のことが憎くなり、「これ以上ここにいたら、患者さんを殺してしまうかもしれない」
これが限界だな、と感じ、退職しました。
この時は、直接的な暴力ではなかったにせよ、患者さんの扱いは、不適切なものになっていたと反省します。
辞める時、看護助手さんに
「看護師はいいよね、辞めてもすぐ次の職場があるから、私たちは資格がないから、そういうわけにはいかないもの」
こう言われました。
確かに、そうなのかもしれません。
でも、雇う方だって、
「あなたに辞められたら、次の人がいないの、お願いだから居てちょうだい。」
それが本音なのでは?
それとも、人手不足でケア行き届かないのは「現場スタッフが無能」だからとでも?
どうして、直接ケアするスタッフを大切にできないんだろう。
結果的に、それが
サービスを受ける人の利益になるのに。
「職員を大切にしてる」職場なら、問題起こしたスタッフを切っても、新しく人が入ってきてくれるんじゃないのかな。
あくまで外野の意見ですけど。
殺人的に忙しい職場でも、私が3年持ったのには理由があります。
関わる人が、その時、できる限りのことは協力してやったのです。
病棟以外の放射線技師さんも外注の検査技師さんも外来のスタッフも、
入院患者さんのために通常病棟で行う業務を手伝ってくれました。
これはその時の病棟師長が、「忙しすぎる、手伝って欲しい」と声を上げてくれたからです。
その忙しさ、本当にどうにもなんないのでしょうか。
近視的になっている現場では気がつかないことを、管理者の目で見て、苦しんでいるスタッフを守って欲しいです。
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