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アメリカの秋フレーバー

5月には屋外プールに人が賑わい、6月以降は40度を超える熱波が定期的にやってくるのが、サクラメントの夏。とにかくスタートが早く、長く、そして暑い夏。ところが、8月半ばを迎えた今、ふと秋の気配を感じるのは気のせいなのでしょうか?カリフォルニア特有の森林火災による大気汚染で、日光が遮られていることもあるのでしょうが、数日の前の朝などは、間違いなく肌寒かったのです!なんて言っていると、まだ終わらんよ、とばかりに40度の熱波が再来するのだろうなぁ。

さて、季節は先取りがおしゃれ。ということで、今日は、いち早く、アメリカの秋フレーバーについて。アメリカで「秋の味」と言ったら「パンプキンパイス」、これ定番。パンプキンは、ここではハロウィンのランタンになるオレンジ色のかぼちゃのことです。外が緑、中が黄色の日本のかぼちゃは、そのまま「Kabocha(カブゥチャ)」で、同じ仲間ではあれ、別物になります。とにかくパンプキンと言ったら、オレンジ色のかぼちゃの方。よって、アメリカでパンプキンパイというと、オレンジ色のかぼちゃのピューレが使われます。日本のかぼちゃのホクホク感とは程遠く、どちらかというとベチャッとした感じになりますので、このギャップも手伝ってか、アメリカのパンプキンパイは苦手、という日本人も多いみたいですね。

ちょいと、ここで横道へ。想像と現実のギャップについて。かつては、「マスクは医療関係者か病人がつけるもの」とされ、街中でマスクをした人など見たことがなかった、アメリカでも、この1年でマスクへの考え方は大きく変わりました。好き嫌いは別として、必要なもの、意味あるもの、として新たな地位を確立したように感じます。マスク生活も1年以上続きましたが、ワクチン接種が進んだこともあって、マスクの義務化が緩くなり、ワクチン接種を条件に、職場でのマスクも任意となりました。実際には、待ちに待ったマスクなし生活も長くは続かず、またもマスクの義務化へ後戻りなのですが、とりあえずその話はおいておくとして… さて、1年以上マスク生活をしていると、マスクは顔の一部です(ん?)。当然のことながら、お互いにマスクなしの顔を見たことがなかった人もいて、マスクをはずして、改めて「Nice to meet you!」な気分です。相手だって同じことを思っているのでしょうが、初めて見る同僚のマスクなしの顔に、ちょっとびっくりすることも… すごーく若いと思っていた人が、「あれ~?そこまでは若くないのかなぁ???」なんてことも(笑)。留意したいのは、このびっくり現象は、対アジア人よりも、対欧米人に起こりがちということ。想像するに、私の頭の中の、欧米人の顔のインプット数は、日本人をはじめとするアジア人の顔のインプット数と比べると、格段に少ないのでしょう。つまり、マスクなしの顔のイメージを“なんとなく”想像できていないのです。これ、発見。

改めて、パンプキンパイに戻ります。そんな、日本人にとっては、なじみが薄いことによって、敬遠もされがちなアメリカのパンプキンパイですが、私は好きです。結局のところ、パンプキンパイって、メインはパンプキンではなく、パイに投入されるスパイスなんですよね。各家庭にオーブンがあって、ホームベーキングが当たり前のアメリカでは、スーパーに行けば、「パンプキンパイスパイス」という、優れものも売っています。便利ではありますが、自分で調合できますので、必須用品ではありません。中身はシナモン、ナツメグ、ジンジャー、それにクローブ。割合は好みによるけれど、シナモン1に対して、他の3種は1/4をベースに、あとはお好みで、ジンジャーを多めにするのもいいと思います。パンプキンのピューレ自体は独特の生臭さのようなものがあって、食欲をそそるものではない、と私は思います。だからこそ、パンプキンパイの醍醐味はこのスパイス。シナモンを基調としたこのスパイスが好きな人は、アメリカのパンプキンパイもイケるのではないかと思いますが。「パンプキン=かぼちゃ」の概念を取り除いてからお試しくださいね。私は、日本にいる頃は、アメリカンなパンプキンパイは、コストコで入手していました。オーブンは必要ですが、おうちでも、基本混ぜるだけで作れますので、興味がある方は、是非、手作りを~。

ここアメリカでは、パンプキンパイを筆頭に、このパンプキンスパイスはとにかく大人気です。スタバの季節のフレーバーに「パンプキンスパイスラテ」が登場すると、「あ~、秋だなぁ」と感じるほど。パンプキンスパイのコーヒー、ドーナッツ、マフィン、クッキー、マカロンなどなど、とにかく、ありとあらゆるパンプキンスパイス商品が、季節とともに登場します。数年前のクリスマスのファミリーパーティーに「パンプキンロール」を作って持っていきましたが、アメリカンな義理の兄弟、従妹のみなさんはもちろん、日本人メンバーにも大好評でした。パンプキンロールというのは、パンプキンスパイがきいたスポンジでクリームチーズフィリングを巻いたロールケーキのこと。このパーティーでのフィードバックもふまえ、パンプキンスパイスなら間違いない!と、昨年のクリスマスは、旦那さんの職場に、同じものを差し入れしたところ、これまた、かなりの高評価。パンプキンスパイス様サマです。

気が早いようですが、秋に向けて、今年はパンプキンスパイスコーヒーケーキを作ってみようと思っています。あ、区切るところは、パンプキンスパイスコーヒーケーキではなくて、パンプキンスパイスコーヒーケーキです。コーヒーケーキ(Coffee cake)というのは、アメリカで朝食にコーヒーと一緒に食べる、シンプルなケーキの総称。クリームのケーキではなく、イメージとしてはパウンドケーキに近いのかな。ナッツやフルーツが入ったものも多く、コーヒー味のケーキではなく、コーヒーと合うケーキのことです。以前働いていたベーカリーのオーナーに、「何でコーヒーケーキって言うの?」と聞いたことがありますが、「朝食からケーキを食べることの言い訳のためかな?」なんて言っていましたね。確かに、それもあるのかも。私は、このコーヒーケーキを作るのも、食べるのも大好きでして。素朴だからこそ、ごまかせないところもあるし、クリームのケーキではないので、持ち運びの心配も不要です。で、今年のクリスマスは何を作ろう、と考え始めるこの時期、試作してみたくなったのが、パンプキンスパイスコーヒーケーキなのです。なんだか最近涼しいし(といっても、35度はある)、次のお休みにでも、とケーキ型からパンプキンピューレまで買いそろえて、準備はしているものの、きっと、また暑くなるんだろうな。ま、焦らずに。。。

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