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キングケーキって何?疑問を知識に!

 先日の勤務中のこと。人のよさそうな白人のおばさまに呼ばれて話を聞いてみると『キングケーキ』をオーダーしたのだが、ベーカリー内で取りおいてもらっているのならそれをピックアップしたい、そうでない場合は、棚に並んでいるものを見つけたからそれを買う、とのことでした。パンチームの私たちは、ケーキオーダーに関しては把握していないので、ちょっと聞いてみますね、とお待ちいただき、たくさんの「?」を頭に浮かべて、カウンターの女の子に聞きに行きました。『キングケーキ?』をオーダーしたっていう人が来てるんだけど…? すると、その子は「あぁ、これのことね」とおもむろに、取りおいていた箱を渡してくれました。それがコチラ↓

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「これはいったいなんじゃろ?」と思いながらも、とりあえずは待っているお客さんのところへ。お客さんもハッピーな様子でしたので、この件に関してはひとまず無事終了、ではあったのですが、やっぱり気になりまして。先ほどの女の子のところへUターンして「キングケーキって何なの?」と聞いてみました。分からないこと、疑問に思ったこと、気になることは、その場で質問。これ、私が日常的に心がけていることのひとつです。文化の違い、言葉の違いなどのため、相手にしてみれば「ほぅ、それ知らないんだ!」ということも多々あるのですが、私としては知らなくて当然。ならば知るのみです。彼女によると、ニューオリンズのカーニバル、マーディグラのときに食べるケーキ(パンなんですけどね)とのことです。あぁ、なるほど。そういえば、ケーキにかかったアイシングは紫と黄色と緑のマーディグラカラーですね。私の知識とイメージでは、ニューオリンズとマーディグラはつながっていましたので、この時点でちょっと納得。他にニューオリンズといったら、やっぱりJazzかな。あと、食べ物はガンボ(Gumbo)という煮込み料理。お酒を飲めない私としては、ニューオリンズのナイトライフは楽しみきれないだろうなとは思いつつ、本場のガンボは一度食べてみたいと思っているんですよねぇ。おっと、脱線、話をキングケーキに戻しましょう。優しいカウンターの女の子の追加説明によると、どこかに赤ちゃんが入っている、のだとか…。一瞬、「ん?」と思いましたが、次の瞬間「あー、それ聞いたことある!」。そんな私の様子に「豆電球がついたみたいね」と彼女も納得。めでたく一件落着したのでした。

そんなできごとから1週間ほど経過したある日、ベーカリーの在庫管理を担当するスタッフから「キングケーキいる?」との嬉しい打診が。何かのミスで賞味期限間近のキングケーキが予定以上に発生してしまい、貰い手がいないのなら廃棄する、というのです。「いるいる!」と即答したのは、なぜか私ひとり。「あれぇ、なんでみんないらないの?」と軽く疑問が浮かびはしたものの、謎のキングケーキお試しのチャンス到来です。

結構大きなキングケーキの箱を抱え、ワクワクしながら帰宅。早速箱を開けると、予想外の形で目に飛び込んできた、「赤ちゃん」がコチラ↓

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調べてみたところ、キングケーキはマーディグラ期間中に食べるもので、赤ちゃんが入ったスライスにあたった人がその日の「キング」となって、王冠をかぶってその後のパーティーを楽しむのだとか。ということで、私はてっきり赤ちゃんが既にインされていて、その赤ちゃんを探しながら食べることを想像していたのです。よって、インされていない赤ちゃんにはちょっとびっくりだったのですが、まぁ、考えてみれば当然です。知らずに食べてしまっては、大問題になりますからね。購入者自身が赤ちゃんをインしたうえで提供する、という流れです。納得。にしても、この赤ちゃん、ちょっとこわいんですけど(笑)。。。

今回は、私と旦那さんのふたりでしたので、赤ちゃんはインせずに、とりあえず実食することにしました。何を想像していたのかは自分でも分かりませんが、これが意外においしかった!アーモンドペーストを使ったフィリングが折りこまれた菓子パンですね。よくありがちな甘すぎる、ということもなく、かつ食感も軽く、どこまでも食べ続けてしまうところでした。危険、危険。

また別の日に、ベーカリー内にキングケーキが登場し、ここでまた一盛り上がりしました。同僚の男の子が、どういう訳かキングケーキの赤ちゃんをパーカーのポケットに入れっぱなしにして、すっかり忘れていたことがあったというのです。そして、それを発見したのが妊娠中の奥さん。「な、な、何なの、これ?」って。そうなりますよねぇ。なんていう話をしていたら、グアテマラ出身で奥さんがメキシコン人のボスが、メキシコでもキングケーキを食べるよ、という話を始めたのです。メキシコでは赤ちゃんが入ったスライスにあたった人が、2月のパーティーの主催者になるそうです。でも、彼曰く、パーティーを開くにはお金がかかるから、みんながみんな、赤ちゃんを引き当てたいわけではないそうで。口の中で赤ちゃんを確認しても、何気ない装いで赤ちゃんをポケットへ移動…し、「ないわねぇ…」なんていうことも起こるのだとか。これ、少なくとも、彼の義理のお母様の実話だそうで、それはそれは楽しそうに話してくれました。アメリカのニューオリンズのものなのかと思いきや、メキシコにもキングケーキが存在するということを知り、ちょこっと調べてみると、キリスト教に由来したもので、ケーキに隠された赤ちゃんは「赤ちゃんのキリスト」なのだそうですよ。などなど、フムフム…

アメリカ生活には、日本にいたら、おそらくは知らないで終わっていたものに出会うチャンスが溢れています。アメリカのことはもちろん、他の国のことも、そして日本のこともです。国による違いはもちろん、文化や宗教、人種による違いや傾向を、肌で感じる機会にも多々遭遇します。だからこそ、己の好奇心に素直に、柔軟な心と行動力をもって過ごしたいものですな。

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