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アメリカ人はクッキードウがお好き!

まずは、記念すべき初投稿にあたって。ここでは、私がアメリカでの生活で見つけた発見、感じたことなど、つまりは、アメリカで暮らす一日本人として、私の「ねぇねぇ、ちょっと聞いて!」を自由に書いていこうと思います。タイムライン、細かい説明などは、あえて無視。いろいろ書いていく中で、それぞれのピースを集めて「私」という人間が伝わるのなら、それもよし。

さて、今日の本題です。

クッキードウ(Cookie dough)とは、いわゆる、焼く前のクッキー生地のこと。オーブンがキッチンにあるのが当たり前のアメリカの家庭では、ホームベーキングも文化のひとつのように感じます。もちろん、人によりますけど。料理、お菓子作りに興味がない人、または苦手な人、それ以上にやることがある人など、これはユニバース(世界共通)なことですからね。

ずばり。概してアメリカ人は、クッキードウを食べることを、こよなく愛す国民です。以下、私が遭遇してきた実例です。

私が、個人経営のベーカリー&カフェで働いていたときのことです。そこは、パン以外のものを全て一から作る、地域でも大人気のベーカリー。私は、そこでクッキー、マフィン、スコーン、クロワッサン、デニッシュなどなどを作っていました。クッキーに関しては、7種類くらいあるものから、ほぼ毎日、どれかしらのクッキーを業務用のミキサーでミキシング。そして、アイスクリームスクープで、ひたすらすくって冷凍保存。毎日、必要な数のクッキーを焼いて、店頭に並べるわけです。ある日、いつものようにチョコレートチップクッキーをすくっていた時のことです。私と同世代の女性マネージャーがベーキングルームにやってきました。私の姿を見ると「フ~ン、チョコレートチップクッキーね。スプーン持ってこようっと♪」と。冗談かと思った私は、笑って受け流していましたが、その後まもなくして、彼女が再登場。その手にはスプーンが握りしめられていました。それでも、さっきの冗談の続きだよね、、、と思っていましたが、いやいや、本人、本気でして、作業台に広がるクッキードウから、自前のスプーンでがっつりとドウをすくって満面の笑み。まじか。。。

同じベーカリーで3年以上一緒に働いていた女の子は、私が、Dough eater!(生地食い)、とからかうほどのドウ好きでしたね。彼女にいたっては、お気に入りは、なんとスコーンの生地。スコーンやビスケットのようなものは、生地をとにかくこねくり回さないことが、おいしく作る鉄則です。よって、生地は、クッキーと比べても粉っぽいし重量感もたっぷり。甘みもうすい。フルーツやナッツが入っているとはいっても、まさかこれを生で食べちゃうの?って感じですよね。

今、働いているベーカリーでは、残念ながらクッキーはあらかじめ冷凍されて納品されたものを、並べて焼くだけです。私の専門はあくまでもパンで、一緒に働いているスタッフも、たくましい男性陣。そんな彼らでさえ、形が崩れたクッキードウを見つけると、「ほら、見て。こんなのがあったよ。」と見せてくれ、ポイっとするのは、ゴミ箱ではなく、口の中。

一方で、アイスクリームのフレーバーにも「クッキードウ」というのがあります。アイスクリームにクッキードウの塊が入っているもので、こちらも大人気です。かくゆう私も、大好きです。というのも、アイスクリームに入っているクッキードウは、生で食べる用に作られていて、本当のクッキードウとは別物。でも、多くのアメリカ人は、アイスクリームのクッキードウも、本当のクッキードウと同じものと思っているように感じます。私は実際に食べたことがないので、本物のクッキードウと比べることはできませんが、マジパンのような食感で、普通においしいです。

心優しいアメリカのみんなが勧めてくれるクッキードウを、私が「No, thanks」とお断りする理由は、生の小麦粉です。卵も入っていますが、気になるのは小麦粉のほう。生の小麦粉を食べたら、おなかに虫がわくよ、という、母だか祖母だかの声が聞こえてくるのです。想像するに、多くの日本人は、私と同じような感覚を覚えるのではないでしょうか。生卵をごはんにかけた「卵かけご飯」をこよなく愛するのが日本人。アメリカにいてでさえ、時々思い出したように、この卵かけご飯を食べては「あー、おいしい」と小さな幸せにひたっている私です。一方で、多くのアメリカ人は、生卵を食べるなんて、ありえない、という方が大多数でしょう。黄身が半生の目玉焼きを避けることさえ、驚くべきことではありません。よって、私の「卵かけご飯」愛については、話すことさえ、はばかられます。「えぇ?生卵?うそでしょ?大丈夫なの?」という反応が容易に予想されますからね。でも、それこそ、クッキードウを愛するアメリカ人に対する私の反応なのです。

私が知る限り、クッキードウでおなかを壊した、という話も聞かないし、それぞれの国の食文化の違いは、もちろん尊重します。むしろ、クッキードウを「おいしい」と思って食べることができるようになったら、ベーカリーで働くことの楽しみがひとつ増えるといったものでしょう。とは思っても、私は焼けたクッキーが好きです。やっぱり、焼いてほしい。そして、焼きたては最高なのです。

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