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ふつうの・くらし・しあわせ の 「ふくし」。同士を探して活動中

博多南駅前ビル3Fにある博多南しごと荘(シェアオフィス)に相談支援事業所『株式会社 輝月』を構える川口大輔さん。以前より精神科医療に携わり、2017年より地域福祉分野へ進出を機に福岡に移住されました。那珂川市、春日市を中心に相談支援専門員としてお仕事をはじめ、2021年に「株式会社 輝月」を設立。同年5月に、博多南しごと荘にて「相談支援事業所 MSW地域生活支援室」を開所。しごと荘は、いろいろな業種の方が仕事をしているので、異業種とのつながりにも期待しての入居を希望したそうだ。

入居後まもなくしてしごと荘で、コミュニティーナースの話を耳にした。それがまち活に参加するきっかけになった話してくれた。

しごと荘での偶然の出会い

実はしごと荘に入居申込をした際、シェアオフィスに相談支援事業所を設立した前例がなかったため、那珂川市からは認可をだせないと言われた。しかし、市が不明瞭に感じている点について話し合いを重ね、初めての事例となるシェアオフィスでの相談支援事業所を開所することができた。

入居して早々、よく名前を聞いていた木藤さんをしごと荘フロアで見つけ声をかけてみた。「福祉のイメージはなんですか?」と尋ねてみると、木藤さんが経営する「喫茶キャプテン」の話があがった。『そこは顔馴染みの人たちが集い、常連さんが来ないとスタッフが心配する。元看護師の店長からは「最近調子はどう?」とそんな会話も交わされている。これがコミュニティーナースと呼ばれる活動のひとつで、これは福祉の要素もあるんじゃないか』という返答だった。なるほどなと思った。

開所後、地域に何ができるかを考えていた時期で、那珂川市での福祉の啓発についてまち活UPなかがわに相談することにした。

色んな種類の種まき

参加当初は「福祉マップを作ろう」と考えた。飲食店や病院のように福祉事業者の情報も載せたマップを作ったり、会報誌や広報誌にも掲載したり、ナカイチのステップギャラリーに福祉マップを掲示したりして、必要としている人に情報が届く様にと考えた。マップをみることで福祉を身近な存在に感じてもらうことが目的だ。

初回面談の様子

また「ごちゃまぜフェス」という、人が集まるイベントと福祉事業とを混ぜ合わせたフェスを開催し福祉を知ってもらうという案も合わせて相談すると、まち活サロンで話してみたらいいかもとアドバイスをもらった。

サロンに参加すると、会話の中から「ごちゃまぜフェス」を実行する仲間を探してみたら?という声があがり異業種交流会イベントを企画することになった。

2021.11.17まち活サロンでの雑談の中から異業種交流会イベントが生まれた

福祉業界では異業種と接する機会が少なく、異業種交流会の話をすると興味を持たれた。コロナ禍で福祉事業も影響を受け、知ってもらう機会が激減していた。そんな背景もあり、翌月には異業種交流会『Q−BASEXCAMP』を実際に開催し、さらに那珂川で活動をしている人と知り合うことができた。

2021.12.22異業種交流会『Q−BASEXCAMP』を開催

その後の面談で、地域で福祉に興味がある人がどのくらいいるだろうかという話になり、活動している人や会ってみることになった。南畑でニーズ調査した時、社会福祉協議会の神田さんに出会い、社協が南畑を中心に地域を整える活動を行っていることを知った。

2022.02.25南畑の福祉事情をリサーチ

この神田さんとの出会いから、社協の高齢者が多い地域への移動販売を手伝うようになった。最初は一人で移動販売の会場設営を手伝っていたが、施設に声をかけ福祉就労や施設外就労としてもスタッフに加わってうらうようになった。この活動から、障がい福祉側の人間が、地域との繋がりを築けたことで福祉の普及啓発ができたのは大きかった。コミュニティーの中で福祉が生まれる!今の時代で成り立つのは貴重だと思った。

移動販売会場で健康相談ブースを出店した

まち活大集合Vol.04では、活動紹介の中でごちゃまぜフェスをやってみたいと話すと「なかがわどんたくに出たら」と誘われた。人が集まるイベント会場に車椅子で参加する人はどこまで楽しめるのか、そういった福祉の要素をいれたらどうだろうと、なかがわどんたくでは社協から車椅子を借り来場者が自由に参加できる体験を実施した。

なかがわどんたくでの様子

自分自身が各地に足を運ぶと、自分のことを知ってもらう機会になる。自分を知ってもらうと事業を知ってもらえ、興味をもって自分を訪ねて来てくれる。そこから色んな会話が増えていく。自分が出向くことを続けることで色んな景色が見えてくると感じている。

数珠つなぎ方式

よく通っている餃子屋さんで食事をしている時「ここの餃子を仕入れてイベントで売れると面白いのでは」と思いつき、その場でオーナーに話しをした。ここから食品衛生管理者を受検したり、臨時営業許可の取り方も勉強し、イベントでの餃子販売が始まった。

この餃子販売を、不登校や社会経験がない人に手伝ってもらうようになった。すると回を重ねるごとに参加してくれる子の自信がつき、次の行動につながっていく姿を目にするようになった。そんな様子を見に学校の先生が足を運んでくれることもある。飲食店とのコラボレーションが福祉啓発にもつながった。更にイベント出店依頼が増えてきた。これまでの活動から自分が動くことでいろんなご縁が繋がっていく手応えも感じてきている。

これがやらないといけないことだと確信し、自分と同じように考え動いてくれる"同士”を探す『那×春 social workers』という活動を開始した。

2023.09.24まち活万博に『那×春 social workers』として出店

まち活万博に参加した時に、子育てしているお母さんのサポートがしたいという二人のまち活チャレンジャーの話を聞くことができた。第二期の阿南さんの「職の地産地消」と、第一期の大場さんの「母親支援団体tsumugi」の活動だ。「輝月でも空いた時間で動いてくれる事務員が欲しいんですが」と相談すると早々に返答があり、新しいスタッフを迎えることができた。

自分で実際に体験したことで、就労支援のアイデアを思いついたこともある。マルワ産業の『ネギスコ』を扱うことになり、加工までの一連の仕事を全て体験させてもらった。そこで「ライフスタイルやコンディションに合わせた就労の受け入れ口になるんじゃないか」と閃き、農福連携で施設外就労と繋げている。

しごと荘に入居したことが繋がりを築いていく大きな起点になった。そして、人に繋げてもらうだけではなく、自分が繋げるようにもなってきた。
まち活に参加したことで、人や場所があり、個人から集団へと広がっていったと感じている。

自分では自分ができることを意外と知らない

以前、まちおこしについて話す中で「住みたくても、産業がないと障がいがある人はさらに働き場所が少ない」という話を聞いた。マルワ産業さんのように「ちょっとでもいいからやってみない?」と言ってくれる、そんな機会がないと挑戦も失敗もできない。

この状況を自分の子どもに置き換えた時、自分たちがその機会を作ればいいのではと考えた。雇い手と働き手双方の求める働く機能が当てはまれば、住み慣れた場所で収入を得ながら生活できる。これが立証できれば、子ども達の未来に繋がる。今は畑を耕している段階だ。

「人にお願いをされるということは、この人ならできると思ってくれているということ。自分だけでは自分ができることを意外と知らない」そう考えていると教えてくれた川口さん。

活動を様々な方面に広げていることで、今後どんな相談に繋がり、どんな新しい世界が広がるのか。まだ見たことのない風景を見てみたい。川口さんの挑戦はまだまだ続く。(まち活事務局:oioi)

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