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東京都のカスタマーハラスメント防止条例を受けて企業が転換すべき対応戦

東京都が「カスタマーハラスメント防止条例」を制定する方針との報道が大きく報道されています。実際に東京都産業労働局では令和5年10月31日より「カスタマーハラスメント防止対策に関する検討部会」をすでに3回ほど開催しており、令和6年2月6日に開けれた第3回検討部会にての意見概要にて

『全国で最も事業者やお客様が多く集まる、東京都から発信することに意味がある』
『まずは、企業への義務からスタートし、都が先取りする形がよい』

などの意見が労働団体や学識経験者などのオブザーバーから出ていることから、早期に作成がされるものと思われます。条例違反の罰則を設けることは、違反項目以外の行為が認められる可能性や制定に時間がかかることなどから、今回の防止条例には設けられない方針ですが、国内では初の公的機関からの条例となるためインパクトは大きいと思います。

これをもって東京都内の会社は条例遵守の必要が出てきますが、これはなかなか難しい面も持っています。例えば、多くの企業は、カスタマーハラスメント対策の強化が顧客サービスの質を下げ、顧客満足度を損なうことを懸念します。従業員に対する過度な保護がサービス業の本質である顧客優先の姿勢を弱めるとの主張を一方的に否定することがある意味「顧客満足度を損なう」となりえるからです。この観点からは、従業員を守ることが顧客との関係を複雑にし、結果としてビジネスにマイナスの影響を及ぼすと考えられがちです。
確かに日本の顧客サービスは「お客様は神様です」のように対応することを美徳とする長い歴史的観点から当然懸念される考えでもあります。

しかし、この批判は短期的な視点に基づくもので、長期的な顧客関係の構築と品質の維持を見過ごしています。実際には、従業員が安全で支援されている環境で働くことができれば、それは顧客サービスの質の向上に直結します。従業員がカスタマーハラスメントによるストレスや不安を感じることなく仕事に集中できる場合、従業員はよりポジティブでエネルギッシュな態度で顧客対応ができ、結果として顧客満足度を高めることに繋がります。長い目で見れば、顧客満足度を向上させることに繋がるのです。

さらに、カスタマーハラスメント防止策の導入は企業のブランドイメージを強化します。消費者はますます社会的責任を重視するようになっており、従業員に対する公正な扱いを実践する企業を好む傾向にあります。このように、従業員を守ることは、顧客との信頼関係を築き、長期的な顧客ロイヤルティの向上に役立つのです。

また、カスタマーハラスメント防止は、企業に対し従業員のメンタルヘルスを守ることにも繋がります。これは、従業員だけでなく顧客にとってもメリットのある動きであり、企業が顧客との関係を長期的に見て強化するための重要なステップです。カスタマーハラスメント対策を適切に実施することで、企業は従業員の満足度を高め、それが直接顧客満足度の向上に繋がるという因果関係を理解し受け入れを検討しましょう。

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