若林 忠旨(特定社会保険労務士・労働問題アドバイザー)

週刊ダイヤモンドに「凄腕社労士」と紹介されました。 ユニオン(合同労組)、解雇、退職勧…

若林 忠旨(特定社会保険労務士・労働問題アドバイザー)

週刊ダイヤモンドに「凄腕社労士」と紹介されました。 ユニオン(合同労組)、解雇、退職勧奨を中心に各種労働問題解決を得意としています。法律や判例のみを基礎とせず、 法律ロジック+「人」にフォーカスをした現実的な解決方法の提案を得意としています。(企業向けのみ)

最近の記事

障害者雇用を進める視点

社会保険労務士の若林忠旨です。 障害者雇用は、日本の社会における重要なテーマであり、企業にとっても非常に意義深い取り組みです。私の経験と知識を基に具体的なアドバイスを提供したいと思います。 ・法令遵守とその背景 障害者雇用促進法は、企業が障害者を適切に雇用するためのガイドラインを提供しています。 2024年4月より従業員が40.0人以上の企業には、障害者を2.5%以上雇用する義務があります。この割合は定期的に見直され、社会の変化に対応しています。これにより障害者の雇用機会が

    • AI時代の到来と人事戦略の再考

      最近のAIの進展に関する議論は、企業経営者や人事担当者の間で大きな注目を集めています。その中でAIが「人間の仕事を奪う」という懸念が繰り返し取り上げられていますが、実際にはAIの導入が直ちに失業を引き起こすわけではありません。むしろAIの技術を適切に活用することで、職場環境や業務の効率化が進み、企業全体のパフォーマンスを向上させる可能性が高まるのです。 とはいえAIの導入によって確実に変化が求められるのは、企業の人材育成戦略です。AIに任せることができる業務をAIに委ねる一

      • 退職勧奨の時に気を付けるコミュニケーションの具体的な点

        退職勧奨は企業と従業員の双方にとって極めてデリケートな問題です。そのためコミュニケーションが適切に行われることが、プロセス全体の成功を左右します。私たちがこれまでの経験で学んだことを踏まえ、退職勧奨におけるコミュニケーションの重要性について専門家としての視点からいくつかの具体的なアドバイスを提供します。 まずタイミングの重要性についてです。退職勧奨を行う際、適切なタイミングを見極めることは非常に重要です。突然の通知や業務が忙しい時期に行うと、従業員に余計な不安やストレスを与

        • 障害者雇用の危機とその影響

          障害者が技術や知識を身に付けながら働ける「就労継続支援A型事業所」が、2023年の3月から7月の間に全国で329カ所も閉鎖され、少なくとも約5千人が解雇や退職を余儀なくされました。この状況は、国が収支の悪い事業所に対して報酬の引き下げを行ったことが主な原因とされています。 こうした事態は、障害者雇用において大きな問題を引き起こしています。障害者が働く機会を失い、彼らの生活や将来に大きな不安をもたらすと同時に、企業側にも新たな課題が生じています。特に、労働力不足に悩む多くの業

          上司との関係がメンタルヘルスに与える影響:問題点の分析

          職場におけるメンタルヘルス問題は、企業の生産性や社員の幸福感に大きな影響を与えます。特に上司との関係が原因でうつ病に悩む社員が増えていることは、多くの企業で深刻な問題となっています。ここでは、その問題点について詳しく見ていきます。 上司のプレッシャーと曖昧な指示 多くの企業で見られる問題の一つは、上司が部下に対して過度なプレッシャーをかける一方で、明確な指示やサポートを提供しないことです。例えば、ライバル企業の新製品にシェアを奪われた際、企業としての対策を立てずに「なんとか

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          退職勧奨におけるコミュニケーションの重要性

          こんにちは。社会保険労務士の若林忠旨です。今回は「退職勧奨におけるコミュニケーションの重要性」についてお話しします。退職勧奨は企業にとって避けられない場合があり、従業員に対して誠実かつ適切に行うことが求められます。その際、コミュニケーションが円滑であることは、双方にとってより良い結果をもたらすための重要な要素です。ここでは、従業員との円滑なコミュニケーション方法と、誤解を避けるためのテクニックについてご紹介します。 ・従業員との円滑なコミュニケーション方法 退職勧奨を行う際

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          障害者雇用の意義とメリット

          障害者雇用は、企業と社会全体に多くのメリットをもたらします。企業が障害者を雇用することで、ダイバーシティとインクルージョンを促進し、多様な視点やアイデアを取り入れることができます。また、企業イメージの向上にもつながり、社会的責任を果たす姿勢が評価されるでしょう。 ・法律と企業の義務 障害者雇用促進法に基づき、常時雇用する従業員40人以上の企業には、2024年4月より2.5%、2026年7月からは従業員37.5人以上の企業には2.7%へ段階的に引き上げられることが決まっていま

          退職勧奨のプロセス

          こんにちは。社会保険労務士の若林忠旨です。 退職勧奨は経営者にとって難しい決断の一つですが、適切に行うことで企業と従業員の双方にとって有益な結果をもたらすことができます。私が社会保険労務士として現場で感じることを踏まえて、いくつかの具体的な提供してみたいと思います。 まず、退職勧奨のプロセスにおいて最も重要なのは、透明性と誠実さです。経営者は従業員に対してなぜ退職勧奨が必要なのか、その理由を明確に説明することが成功へとつながります。例えば、経営状況の悪化や組織再編が理由であ

          過労死防止の取り組み:過労死ゼロを目指す社会へ

          過労死の防止対策に関する大綱が発表され、過労死ゼロを目指す取り組みが強化されています。過労死は、個人にとって計り知れない苦痛であり、社会にとっても大きな損失です。特に飲食業、IT業、不動産業においては、長時間労働やハラスメントが大きな問題となっており、対策が急務といえます。 〇現状と課題 まず、労働時間の問題となります。月末1週間の就業時間が60時間以上の雇用者は8.4%に達し、多くの企業で長時間労働が常態化している現状があります。特に、飲食サービス業、建設業では勤務間イン

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          障害者雇用を進める企業側の視点とは?

          社会保険労務士の若林忠旨です。 障害者雇用に関する意義とメリットについては、理論的にも実務的にも多くの研究がなされています。私の経験からも、障害者雇用は単に法令遵守のためだけでなく、企業の競争力を高める重要な戦略であると考えています。 そう考えるいくつかの視点は以下の通りです。 〇法令遵守と実効性の高い取り組み 障害者雇用促進法に基づき、企業は障害者を雇用する義務を負っていますが、単なる法令遵守に留まらず、実効性の高い取り組みを行うことが重要となります。例えば、企業は合理的配

          オフィスカジュアルの導入方法と注意点

          こんにちは, 社会保険労務士の若林忠旨です。今年は関東地方でも連日38°超えの酷暑が続いています。昨今、温暖化の影響のため夏の最高気温が上昇しており、熱中症の懸念がリスクとして高まっています。最近では気象庁の警報などを基に従業員のテレワークを推進する企業も出てくるなど、企業も暑さ対策に力を入れています。その一環として、長年続いてきたクールビズをもう一歩進めたオフィスカジュアルを導入し、より労働環境の推進を図る企業もあるようです。ただし、これにより予期しない問題が出てきてしまい

          退職勧奨の法的基礎

          こんにちは。社会保険労務士の若林忠旨です。今回は「退職勧奨の法的基礎」について解説します。退職勧奨を適切に行うためには、労働法に基づいた正しい知識が必要です。ここでは、退職勧奨が労働法でどのように位置づけられているのか、そして法的リスクとその回避方法についてわかりやすく説明します。中小企業の経営者の皆様にとって、退職勧奨は重要な課題ですので、ぜひ参考にしてください。 〇労働法における退職勧奨の位置づけ 退職勧奨とは、企業が従業員に対して自主的な退職を促す行為を指します。労働

          障害者雇用の意義とメリット

          社会保険労務士の若林忠旨です。私は一型糖尿病と慢性腎不全による週3回の人工透析療法をして生活をしています。過去に10年ほど、2社の障害者雇用枠で勤務をした経験もあり、その経験を生かした障害者雇用サポートも行っています。 今回から毎週、障害者雇用について情報発信をしていきたいと思います。 障害者雇用は社会全体の包摂と持続可能な経済の実現に寄与します。障害者が働くことは、自立と社会参加の機会を提供し、企業にとっても多様な視点を取り入れる機会となります。また、障害者雇用は企業の社

          退職勧奨のポイント

          こんにちは。社会保険労務士の若林忠旨です。 退職勧奨は企業経営において重要な選択肢の一つですが、その実施には細心の注意が必要です。社会保険労務士として過去に対応してきた経験から、退職勧奨の成功に欠かせないと思われるポイントを説明します。 まず、中小企業から相談される退職勧奨の相談は「解雇」の代替手段として用いられることが多いです。解雇をするために明確な理由や法的な適合性な企業に求められるハードルは光卯的高いと言われています。実際に訴訟に発展した事例やそこまでいかなくてもユニ

          退職勧奨の基本とその必要性

          こんにちは。社会保険労務士の若林忠旨です。今回は「退職勧奨の基本とその必要性」について解説します。退職勧奨とは何か、そしてなぜそれが必要となるのかを、労働諸法令や判例を交えながらご説明いたします。中小企業の経営者の皆様にとって、退職勧奨は避けて通れない課題かもしれません。ぜひ、このブログを参考にしてください。 〇退職勧奨とは何か まず、退職勧奨とは何かをご説明します。退職勧奨とは、会社が従業員に対して自主的に退職するように促すことを指します。これは解雇とは異なり、あくまで従

          長期間の自宅待機命令の違法性の検討

          「みずほ銀行」が行員への4年半の自宅待機を異常な事態として損害賠償命令をくだしました。 https://news.yahoo.co.jp/articles/8edd4c0360b8f9464cdd34b80c6b6ae8e4132bec 退職勧奨を受けた従業員が4年に渡る自宅待機命令を受け、就労継続のために出社命令を受けたが従業員側が出社に応じず、回答もしなかったため解雇をした事案。 解雇は有効だと認められているんですが、自宅待機命令が4年に渡る長期間となったことに対して裁