若林 忠旨(特定社会保険労務士・労働問題アドバイザー)

週刊ダイヤモンドに「凄腕社労士」と紹介されました。 ユニオン(合同労組)、解雇、退職勧…

若林 忠旨(特定社会保険労務士・労働問題アドバイザー)

週刊ダイヤモンドに「凄腕社労士」と紹介されました。 ユニオン(合同労組)、解雇、退職勧奨を中心に各種労働問題解決を得意としています。法律や判例のみを基礎とせず、 法律ロジック+「人」にフォーカスをした現実的な解決方法の提案を得意としています。(企業向けのみ)

最近の記事

長期間の自宅待機命令の違法性の検討

「みずほ銀行」が行員への4年半の自宅待機を異常な事態として損害賠償命令をくだしました。 https://news.yahoo.co.jp/articles/8edd4c0360b8f9464cdd34b80c6b6ae8e4132bec 退職勧奨を受けた従業員が4年に渡る自宅待機命令を受け、就労継続のために出社命令を受けたが従業員側が出社に応じず、回答もしなかったため解雇をした事案。 解雇は有効だと認められているんですが、自宅待機命令が4年に渡る長期間となったことに対して裁

    • 2024年4月改正障害者雇用促進法の対応とは?

      2024年4月からの障害者雇用促進法の改正は、障害者の多様な就労ニーズに対応し、質の高い雇用を推進することを目的としています。改正点には、事業主の責務として障害者の職業能力の開発及び向上の明確化、短時間労働者の雇用率算定への特例導入、職場環境整備や能力開発支援への助成金提供などが含まれます。 法改正により、障害者の法定雇用率は2.3%から2.5%へ引き上げられ、さらには2026年には2.7%になる予定です。これは、民間企業で働く障害者の数を増やすための措置であり、障害者雇用

      • 東京都のカスタマーハラスメント防止条例を受けて企業が転換すべき対応戦

        東京都が「カスタマーハラスメント防止条例」を制定する方針との報道が大きく報道されています。実際に東京都産業労働局では令和5年10月31日より「カスタマーハラスメント防止対策に関する検討部会」をすでに3回ほど開催しており、令和6年2月6日に開けれた第3回検討部会にての意見概要にて 『全国で最も事業者やお客様が多く集まる、東京都から発信することに意味がある』 『まずは、企業への義務からスタートし、都が先取りする形がよい』 などの意見が労働団体や学識経験者などのオブザーバーから

        • 東証 特例措置移行終了を前に

          あまり話題になっていませんが、東京証券取引所の再編による「特例措置の移行期限」が明日となっています。これによって約160社程度がプライムからスタンダード市場へ移行するとなります。 これもあまり知られていませんが、東証の再編によって、今までの一部、二部、新興市場(マザーズ、ジャスダック等)など縦型に位置づけられていた市場は、プライム、スタンダード、グロースの3つの市場に再編されました。当初は、今までと違い、この新しい市場はすべて並列の市場と考えており、今までと違ってプライムが

          給与制度の考え方

          9月11日に札幌地裁にて、異性同士の事実婚には支給される扶養手当等が同性であることを理由に認められなかったのは、法の下の平等を定めた憲法に反するとして北海道の元職員が道などに損害賠償を求めた裁判の判決がありました。 判決で道等の規定では同性婚の関係は含まれないとして訴えを退ける判断をしました。結果的に憲法違反かどうかそういった内容については今回判断されていませんし、今回の趣旨には関係ないため追求はしませんが、扶養手当の支給等についての相談はたまに出てくることがあります。

          社会保険労務詐欺容疑で逮捕記事を読んで

          昨日の新聞に社会保険労務士の男性が厚生労働省のキャリアアップ、助成金等約2,300万円をだまし取ったとして、大阪府警に詐欺罪の疑いで逮捕された報道がされていました。 以前より助成金の不正受給による案件で厚生労働省の処分を受けた通知が出ることは、特に3年前の新型コロナ感染症の雇用調整助成金等の案件増加により増えていましたが、詐欺罪により逮捕されたとは珍しいと思います。 私も過去に経験がありますが、怪しいコンサルティングの会社とかが助成金申請のコンサルティングなどを行うなどの

          奨学金代理返済記事を見た社労士的懸念

          今後の新入社員採用を有利に進めるために、新入社員が抱えている奨学金の返済を直接企業が行う制度が注目を集めています。この制度自体は2020年に始まっており、ネットを検索するとその当時の記事が出てきますが、私は全く知りませんでした。今までも奨学金の返済を援助する目的で手当を出す会社があったと思いますが、その場合、給与に返済額を上乗せして支給する方法をとっていたため、その返済額分は「報酬等」と考えられ、所得税や住民税、社会保険料等が控除されるため、実際の手取り額が減ってしまい労使双

          ChatGPTのリスク

          ChatGPTを使用する企業が増えています。うちの社労士法人でも有料版のChatGPT4を契約して顧問先への提案関係やWordやExcel、 PowerPoint等のオフィス関係の作成資料のたたき台、文書等の作成などにも使用しています。 同じように、こういった使い方をする企業も多いと思いますか、中には、会社で作成する資料や取引先への報告書等の作成に使用している場合もあるようです。AIツールはChatGPT以外にも複数あるようですが、ChatGPTでは質問した回答に偽りのもの

          池袋西武ストライキでの懸念

          池袋西武のストライキが実施されました。私は実際にはストライキが起こらないと予想していたんですか外れましたね。 今日1日ストライキと言うことで、池袋西武は全館閉店となっているようです。ニュースによると、西武の社員は約900人と言うことでしたので、やはりほとんどの売り場はテナントの社員や派遣社員などが運営に関わっているものだと思います。まぁこういった言い方は賛否両論があると思いますか。これによって1番影響を受けたのは、そういったテナントの社員や派遣社員といった人たちなのではない

          西武百貨店 労働争議

          池袋西武の買収問題によって、労使関係の対立が起こっていることが話題におり、このまま問題の解決が図られなければ、ストライキを決行するといった報道が出ていました。 私は創業した最初の年から労働組合やいわゆるユニオンの問題を相談されることが多かったため、団体交渉やそれにまつわる労働争議の対応を経験したことがあります。ここまで大きな会社のストライキ予告を経験した事は無いので何とも言えませんが、会社で作られている労働組合であっても、最近は加入率が低いことがあったり、またストライキが行

          社会保険労務士試験日

          本日は社労士試験日でした。私は平成17年度の合格になるので、受験したのは18年前になります。その当時は障害者雇用枠で働いていたので、色々と悩みも多く、ただ淡々と日常を過ごしている時でした。 今の日常を考えると社労士を目指した事は、私の人生を大きく変えた出来事だったと思います。 実際には社労士に合格した当時は社労士の資格は社内でいかすものだと思っていたため、何度も人事部への異動を希望しましたが、結局5年間移動が認められる事はなく、その間に合格者が参加できる勉強会などに出たこと

          退職勧奨を円滑に進める方法~4.対象者の選定~

           退職勧奨で大事なことは何でしょうか?対象となる従業員から「合意退職」を得ることです。すべての準備はそれを得るために進めることを忘れてはいけません。そのためには対象者の選定をおこなうことも、そういった視点を持って選定をする必要があることを忘れないようにしましょう。なぜなら合意退職を納得してもらうためには、従業員に納得いく理由を説明する必要があり、従業員にも納得できる必要があります。多くの退職勧奨事案ではこの視点が抜けていることが多いので注意が必要です。この視点が抜けているため

          退職勧奨を円滑に進める方法~4.対象者の選定~

          退職勧奨を円滑に進める方法~3.退職金や解決金の考え方~

           退職勧奨などで退職金や解決金などを用意することは、従業員が退職を決断する上でも、退職勧奨を円滑に進めるためにも重要な検討材料となります。退職金等の条件があるかによって従業員の退職を後押しすることもできます。  退職金等の金額について通常は退職金制度がある会社であってもその金額より上積みして支払うことを検討することがあります。退職金等は賃金と違い一時的な支払いであることを考えると通常より高めの金額を提示したとしても、退職を決意してもらう方が恩恵として大きいと思われます。逆にそ

          退職勧奨を円滑に進める方法~3.退職金や解決金の考え方~

          退職勧奨を円滑に進める方法~2.再就職支援など出来ることを考える~

           退職勧奨をおこなううえで、辞めてもらう条件として再就職の支援を考えることは重要となります。外資系の退職勧奨相談を受けると、本国のHR(人事部門)から退職について諸条件の指示が出されますが、どの会社でも条件提示パッケージに必ず入っています。解雇に慣れている分、問題なく解雇を進める方法を知っているといえるでしょう。日本であまり検討されることが少ないようですが、実際に再就職支援策を入れると社員の不満が抑えられるようです。  再就職支援というと、通常は民間の再就職支援会社や職業紹介

          退職勧奨を円滑に進める方法~2.再就職支援など出来ることを考える~

          退職勧奨を円滑に進める方法~1.話し合いの場の重要性~

          退職勧奨を進めるときに大抵は、「退職勧奨が有効と判断された判例を調べる」、「世間相場や会社の有利な条件を考える」、「希望退職などの方法を考える」などが一般的となります。もちろん社員と問題を起こさないためにもこういったことを考えることは重要ですが、本当に重要なことは、「どんな話し合いの場を提供する」ことを考えることです。これは実際の進め方を指しています。もっと具体的に言えば、次のような事柄です。 ①誰が話をするのか ②どんな手順で話をするのか ③どういった話をするのか  退職

          退職勧奨を円滑に進める方法~1.話し合いの場の重要性~

          コロナ禍による障害者雇用枠の退職問題

          障害者雇用コンサルタントの若林です。 私は社労士として独立するまで一般企業で10年近く障害者雇用枠で働いていた経験があるので、その時の経験などを基に企業向けに障害者雇用の採用や定着支援、労務問題対応をおこなっています。 今回は今年になって相談が増えてきた「コロナ禍による障害者雇用枠の退職問題」について書いていきます。 私は一般企業向けに退職勧奨や解雇、ユニオン対応などの高度な労働問題を顧問・スポットを含め相談として年間200件以上受けています。新型コロナによる緊急事態宣言