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不動産屋さんとの話は、なぜか思うように進まない?!

不動産屋さんとの話って、なぜか思うように進まない…。そんなふうに感じている人は意外と多いかもしれません。なぜそうなってしまうのかな?を、まち暮らし不動産のお客様にインタビューをさせていただきつつ考えてみました。


ご協力いただいたAさんは、2024年春ごろに、まち暮らし不動産がセカンドオピニオン的立場でお手伝いさせていただいたお客様。土地購入の契約、決済に関するご相談でした。


【ご相談時点のAさんの状況概要】

  • 50年以上住み続けた実家(現在Aさんの母と妹が居住。)は借地権。つまり土地所有者から借りている土地に家を建てている。土地所有者(地主さん)との関係は良好。

  • 土地所有者から所有権購入の打診あり。売買はこれまで付き合いのある不動産会社に一任しているとのことで、2社の不動産会社を紹介される。

  • その後、上記の不動産会社が来て、やりとりを重ねるが、なぜか一向に話が進まない。進まない理由もわからない。

  • Aさんは土地所有権を購入する意思はあるが、このままだと次の借地契約更新を迎えてしまうのではと焦り、まち暮らし不動産に相談。

  • 土地所有者側の不動産会社は引き続き仲介(媒介)に入ったまま、まち暮らし不動産はAさんのコンサルタントとして別途業務を受託することに。

「毎回同じ話をぐるぐるするんです。」

-ご相談時点で、どんな点を不安に思われていたのですか。

Aさん (以下「A」。):それがですねえ・・・。地主さん側から紹介された不動産会社さんから、とにかくローンを借りる話をどんどん進められて・・・。ローンありきの話というか、その辺がちょっと不安で。知識がないので適正価格も分からないですし。わからないなりに、区役所の無料相談会に行ったり、土地の価格の目安を知るために課税証明書は取ったりしたのですが、とにかく同じ話ばかり、ローンの話ばかりをしていて、このままじゃ進まないし、(借地契約の)更新は近づいてくるし、相談できる詳しい方がいないかなと思っていました。

-それで共通の知人経由で、齊藤にご連絡いただいたんですね。

(A):はい。そうです。

まち暮らし不動産 齊藤 (以下「齊藤」。):そうでしたね。一番最初にお話しをうかがったときは、いつまでたっても話が進まないということでした。しかし、私は、この時とても不思議に思っていました。ご本人たちに買う意思があって、地主さん側から直接不動産会社が来ていて、なぜ進まないのかなと。(笑)

(A):それで、とりあえず齊藤さんに不動産会社との打ち合わせに来ていただいたんです。

-実際にお会いして、なぜ話が進まないか理由はわかったんですか?

(齊藤):ええ。わかりました。(笑)ちょっと、びっくりしました。Aさんは一言もローンの話をしていないのに、「とりあえずローンですよね!住宅ローンの審査申込を◯◯銀行と、◯◯信金とかに出しましょう!収入証明を提出してください!」というお話をしていました。何度も。

(A):そうなんです。(笑)最初に不動産会社さんが来た時からずっと、ローンの話しで。齊藤さんがいらっしゃった打ち合わせも、またローンの話をされていて。正直苦しい時間でした・・・。でも「ちょっと待ってください」っていうタイミングも言い方もわからなくて。

-先方が言い出しにくい雰囲気の方というわけではないんですよね。

(A):穏やかでやわらかい男性2人です。でも、ひたすらローンの話しかしてくれなくて。それも「そんなものなのかな」って思ってしまって。あとは「家が借地だとなにが困るのか」みたいな説明をしてくれるんですけど、もう買いたいって思ってるのに、ずっと借地は困りますよ〜って。毎回同じ話をぐるぐるするんです。

-不動産を買う時って、仲介会社から、どうやって買うか(現金・ローンなど)、メリット・デメリットなどは説明されないものなんですか。

(齊藤):普通はあります・・・・あると思っています・・・。でも、そういう話がなかったんですよね。

(A):そうなんですよねえ・・・。

(齊藤):だから、同席した打ち合わせの途中で「えーっと、ちょっとすみませんけど・・・」みたいな感じで、私が話に入って。「住宅ローンの審査を続けるなら、それでもいいですが、一旦買主さん側と話をしてもいいですか?」って、さっさと打ち合わせは終わりにしてもらいました。

(A):その直後に、うちの家族と齊藤さんと話をして。「買えるなら現金で買いたい」って話したんです。一緒にお金を出す予定にしていた妹とは、最初からそう話していたので。でも、なんであんなことになったのか・・・

(齊藤):彼らなりに何か考えあっての行動だとはおもいました。これは想像ですが、たとえば・・・。Aさんはお父さまが早く亡くなっていらっしゃって、ご高齢のお母さまと、Aさんを含む3人姉妹。そこに、突然の土地購入の提案ですから、すぐに買える現金は持ってないだろうという思い込みがあったのかもしれませんね。彼らなりの配慮として、無理なく買える算段を整えようとしたのかなと。相続を考えた場合も、お母さまの純資産を減らしておく(=総資産に対して借入金を増やす)のは、その点だけ考えたら妥当な判断ですから。ちゃんと計算すればそんなことないんですけど。
ただ、ご本人たちの希望も聞かずに「とりあえずローンの枠を知りたいんだ!」というやり方をしたのだろうと思うんです。少し特殊な建物だったので、住宅ローンの審査が通るか否かを早く知りたい気持ちはわかりますが、順番が逆でしたね。結局、彼らの口から自己資金の話は最後まで出ませんでした。

(A):そうかもしれません。とにかく、この進め方が自分たちの希望とズレているということを齊藤さんにわかってもらえて本当によかったです。不動産会社に伝えるときは、齊藤さんにも手伝ってもらって、現金で買いたいと伝えたんです。そこからは速かったです。今までの時間はナンダッタノ?ってくらい。

「悪いようにはしませんから大丈夫!」って言われるだけじゃ心配です。

-意向を伝えたときの、不動産会社の反応は?

(A):「これくらいだったら諸費用込みで現金で払いたい」とお伝えしたら、「は?本当に?現金で?」という反応でした。逆に、なんでもっと早く言ってくれないのかという反応は全くなかったんですよ。そのあと妹と話したのですが、「向こうの不動産会社からは、本当に私たちがお金持ってないって思われているよね」と。なんかね、ちょっとムカつきましたね。(笑)

(齊藤):そういうところ、本当に失礼ですよね・・・。本当に不動産業界って失礼ですみません・・・。先方も、何度かローンの話をしても進まないなら、ローン以前の話に戻って、現金を用意するとしたらどれくらい準備できますかっていう質問を1回でもすればよかったのにと思います。聞いたら悪いかなって思うことでも、こっちが思い込んでいるだけかもしれない。聞くって大事なことだと思います。失礼かもって思いがちですが、思い込みで進めるほうが失礼なんですよね・・・。

(A)契約後の手続きについても齊藤さんからメールで一覧をいただいて、本当に、いろいろとありがたかったです。借地権のことも教えてもらえましたし。土地権利と税務って知らないことも多くてびっくりしました。相続のことも含めていろいろ教えていただいて、なるほど〜と思えて、なんだか楽しかったです。不動産会社の方も説明してくださったんですけどなかなか覚えづらかったので。何度も聞くのも聞きづらくて。

(齊藤):誰の名義で買うかについても、不動産会社が選択肢を説明した上でAさんが判断していると思っていたのですが、決済の段になって、まだ決まっていないようでしたので、Aさんと当社で検討しましたよね。

(A)そうですよね。難しいけど、わからないならわからないなりに納得したい。ちゃんと噛み砕いてほしいです。「僕たちに任せてくれたら悪いようにはしませんから大丈夫!大丈夫!」って言われるだけじゃ心配です。

ー不動産屋さんって、そういうふうに言いそうですね!

(齊藤):そうなんですよねえ。任せるってそう言う意味じゃないんですけどね。状況や条件をご本人たちに質問して、どこがわからないのか、どこが不安か聞いていく。その上で、また説明して、なるべく理解してもらって、判断してもらうのが普通かなって。本人がそこまでできるようなサポートを引き受けているだけなんですけど。

ー不動産屋さんと話して、なんとなくしっくりこない、っていうのはそういうところかも・・・。「これか、これのどっちにします?」とか急に言われてびっくりするとか。え?それしかないの?とか。

(A):あ〜〜。それですぐ「決めてください」って言われる。待って待って?ってなります。

(齊藤):うーん。不動産会社の中には、「お客様は素人で分からないから、プロの自分たちがあらかじめ選択肢を絞って選びやすくしてあげることがベストのやり方だ」と思っている人が意外と多いのかもしれないです。むしろ選ばせる必要すらないと思ってるかも。今回の不動産会社さんは最後までそうでした。お客さんの頭の中を想像して「前提を確認してから提案する」とか、「どこにひっかかってるかな?って想像しながらコミュニケーションをとる」ような技術が身につきにくい業界なのかも。そういうのって人柄ではなくて技術なんですけどね・・・。世代や性別によっては、身につけるチャンスが少なかったのかもしれないです。

(A):2社の不動産会社さんも、決して悪い人ではなかったんですけどね。

(齊藤):そうなんですよね。

(A):とにかく、今回は本当にありがとうございました。最初に相談したときは、「どう関わってもらえばいいか」もわかっていなかったんです。だから「これをこうしてほしい」と具体的な依頼でもなく「とにかく困ってるんです」みたいな。(笑)、それでも、こういうふうに相談できて、すこしずつ整理されて、土地も買えたし。本当にラッキーでした。

(齊藤):こちらこそ、ありがとうございました。ちなみに、あのまま当社がご一緒しなかったら、どうなってたと思いますか?

(A):そうですね・・・。今もまだ「ローンの話」しているかもしれませんね!(笑)

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