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結実計画会議vol.3 まちを見る>民間と行政、エリア活性化と移住促進の両輪ですすむ須賀川市

 須賀川市民交流センターTetteは大きい。街のど真ん中に、左右非対称の宇宙戦艦でも降りてきたかのような建物です。
2023年9月末に訪問。

Tetteの表。兎に角でかい!

「35回のワークショップ、のべ700人の市民と議論しながら準備しました。」須賀川市商工環境課主任 大和田卓さん。

須賀川市商工環境課主任 大和田卓さんの写真(撮影@マイタウン白河)

大きな建物の中は市民が利用しやすい機能が満載の2019年1月11日オープンした交流センターでした。

 図書館/生涯学習、市民活動支援/子育て支援センター・子供の遊び場・子供預かりルーム/貸し会議室/貸しホール/円谷英二ミュージアム/チャレンジショップ・チャレンジカフェなど、多機能です。以前曇天で、積雪がある時期にTetteにお邪魔したときは、街中には人通りがなくても、綺麗に灯ったTetteの光が外からは温かく感じ、吸い寄せられるように入館した思い出があります。中に入ると、チャレンジショップの店員さんと市民が話したり、温かい珈琲をカフェで頂いたり、様々な年代の市民がTetteで過ごしていました。

丁度この日が最後の営業日だったチャレンジカフェ。惜しむファンが次の場所を聞いている。
オシャレなチャレンジショップ
入り口すぐにCVSが。
様々な機能の受付場所(市役所管理)
ぼくら世代には、これは圧巻です。
保育園生がホールで遊戯の教室
若者が多く集まる
Tette全体像が把握できる模型

「街中には来る機会の少なかった子育て世代が、Tetteを中心に増えています。それに伴って、新規出店も増えています。」大和田卓さん談。

Tetteはオープンして3年で200万人の利用者がありました。(須賀川市の人口は約7.5万人。1人当たり約9回/年の利用があったことになる。)

 しかし、Tetteだけでそうなった分けではないと思います。大和田さんたちの市役所職員の勉強会から始まった定期市Rojimaの効果も大いにあったと思えました。
2015年6月から定期的に開催しているRojimaは寂しくなったまちなかで新しい物と人の交流が生まれることを願いはじめたとのこと。現在は100店舗以上の出店がある様です。サイトの出店者リストを見て分かるように、素晴らしい若い出店者が多い。街中での若者たちの出店はたとえテンポラリーなものといえども、その中から何人かは店舗を持ちたいと思うはず。その考えを生み出す仕組みとしてRojimaは機能しているのでしょう。最新(R4年度)の中心市街地活性計画のフォローアップリポートを拝見すると4年間の観察で41店舗の新規出店が報告されています。これはH25-29の5年間の18店舗の倍以上の出店である。(現在Rojimaは一般社団法人 ロヂカラが運営している。大和田さんも理事をしている。)

須賀川市のTetteとRojimaは、震災後のエリアの雰囲気を明るく変え、多くの若い世代が街に通うキッカケを作っていることが感じ取れましたが、もう一方民間のまちづくり会社(須賀川市の都市再生推進法人)株式会社テダソチマもがんばっています。

  • 「二拠点生活や移住促進支援を行っています。」株式会社テダソチマ 門松優貴さん。SEを辞めて旅の途中、須賀川に寄っているところをまちづくり会社にスカウトされたということ。Tetteの道路向いのテダソチマのサテライトオフィス「palette」で門松さんに会いました。

株式会社テダソチマ 門松優貴さん

 「いまはADDressの宿を管理しています。企業の二拠点経営を支援もしています。サテライトオフィスpaletteはコワーキングオフィスと企業向けオフィスと二つのタイプがあります。更にお試しの企業のオフィス移転用の宿泊施設を用意して、須賀川を仕事場として試してもらっています。」門松さん談。

管理しているADDress用建物

 昨年、テダソチマの新事業(経産省補助事業利用)「マチソダテベース」のアドバイスに伺いました。(補助事業の一環)移住や二拠点以外にも街中に店舗が持ちたい人のための空きビル活用としてチャレンジショップ群が入る事業を始めていました。地元不動産会社がはじめた民間のまちづくり会社が空き物件を上手くコンバージョンして、移住・二拠点生活・ワーケーション・商業者の育成に活かしています。専門家を交えて、まちのステイクホルダーや移住者などとまちづくりのビジョン作成も行っているとのこと。(1100円で参考資料として購入。)

 

ビジョンブック
ビジョンブックの一部

須賀川市は、小さなまちでありながら、他の都市と同じように車で4分のところに大型ショッピングセンターがあります。おそらく日用品の買い物は、そこの利用をするでしょう。でもまちでしか体験できない事や買い物体験がRojimaやTette、マチソダテベースから始まりだすでしょう。

因みに僕が気に入った体験は、palette裏の「なかざわ」の鰻でした。最高!

落ち着いたお店です!
以前、テダソチマの社長に紹介してもらい、再度訪れました。癖になります。

 活性化の流れは、エリアに人が集まり、通行量が増え、店舗の新規出店、という地元ユーザーの方向性。そして、ADDressによる須賀川体験、企業のリモートワーク体験、須賀川市全体の移住者、関係人口の増加という域外ユーザーの活性化の方向性。これから先、須賀川周辺の近郊観光の活性化がレイヤー化されることで、小型の都市の活性化が加速するだろうと予測します。

 最後に須賀川市から少し移動しますが、田村市に素晴らしい絵本屋を見つけました。「石川屋」さんは、ここへ行くだけの価値のある店です。絵本をプレゼントしたい、と伝えると、送りたい相手のプロフィールを聞かれ、何冊か本を用意して、私たちに読み聞かせしていただきました。素晴らしい説明と語りで、あっという間に店の虜になりました。


石川屋 外観
オーナーが絵本を読んでくれました。やられました、即買いでした!

こんな体験の出来るお店が、街中にあれば、私からの贈り物全て絵本になるかもしれません。

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