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「おたくさん」

大好きな患者さんが、やっと、退院してきた。
 
2ヶ月近く前に、泣く泣く送り出した患者さん。
治すことが医師の唯一の役割であると信じるぼくとしては、確率を考えて、入院治療が最善と思えば躊躇なく入院を選択する。 
とはいえ、入院の選択は、いつでも辛いし、寂しいし、悲しい。
下手すると永遠の別れになるかもしれないから。
だから、「元気に帰ってきてね」と祈りながら病院に送り出す。
 
祈りが通じたか、無事、戻っていらっしゃった。
ホント、良かった。
 
なんとなく落ち着いたというのは、1ヶ月ほど前(入院から1ヶ月ほどたって)からずっと耳にはいっていた。
だから、「早く退院してきて」とラブコールを送り続けていた。
こんなことを言ったら怒られるし、誤解されるかもしれないけど、入院で本当の急場をしのいでいただければ、多少であればあとは在宅で良くするからと思っているので。
むしろ、入院が長引くことで、失うものの大きさを理解しているつもりでして。。
 
さて、プロセスはともかくとして、退院してきてくださり安堵。
さあ、またご一緒しましょう。
 
ところで、なぜ、この方を「大好きな患者さん」というのか、実は、案外単純な理由である。
 
ぼくのことを、「先生」ではなく「おたくさん」と呼んでくださるから。
「おたくさんはいいわね〜、いつも若々しくて」と超満面の笑みでおっしゃってくださるんですよ。
まさに、普通の患者・医師関係を超えてるんじゃないかと思って、超嬉しくて、だから大好きで。
 
 
ところで、この写真。
まずまず近所にある野球グラウンド。
向こうに小さく人がみえると思いますが、ついさっき前でキャッチボールをしていた感じ。
ぼくも野球少年だったんですが、野球って、日本では、本当に日常化していると思うんです。
野球人口は減ったとはいえ、高校野球人気は根強く、プロ野球ファンも多い。
子供から大人までいろいろなチームが存在し、多くの人がさまざまな形で野球を楽しんでます。
ぼくなんかは、こうやって、グラウンドで野球を楽しんでいる人の姿を見るだけで癒やされるほどです。
 
つまり、野球って、日本や日本人にとって、日常的で大衆化された存在だなと。
 
医療もそうなればいいなと。
医療の大衆化。
そうなったら、患者・医師関係なんて、今よりずっと曖昧になるんじゃないでしょうか。
すっかり大衆化したら、ぼくなんか、町医者と自認するのも取り下げて、医療にやたらに詳しいおっさんとして、地域にさらに混ざり込みたいところですね。
 
それこそ「おたくさん」と呼ばれまくりですよ、きっと。
 

 
*旧ブログ2020年11月3日からの転記です。


 
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総合診療をベースに、認知症治療と在宅医療、そして終末期医療に取り組んでいる、事象「患者バカ町医者」の松嶋大が、日々の実践をみなさんに共有し、またみなさんからも共有してもらいながら、これからの「医・食・住」を語り合うサロンです。
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