[マダム・フローレンス!夢見るふたり] "Florence Foster Jenkins"(2016)

"妻を守るために奔走する夫"を描いた作品。ふと、「ライフ・イズ・ビューティフル」で、戦争の恐怖を息子に与えまいと奔走する父親の姿を思い出してしまった。
でも、今作で隠そうとするのは、妻がとんでもない音痴だということ、それを周りに嘲笑されていること。コメディです。そして実話。
歌をちゃんと習いたい、そのためのピアニスト雇いたい、コンサート開きたい、レコード録音したい、カーネギーホールで歌いたい…とか言い出す、ニューヨークの社交界でも一目置かれるお金持ちで音楽が大好きなマダム(ただし超音痴)と、全力で影で支えようとする夫。二人には固い絆があるけど、夫には愛人がいる。愛の形は色々。

何を隠そう「私の青春はヒュー・グラントとともに」というくらい彼が好きなので、B級作品まで観ているし、ぶっちゃけあの垂れ目と困ったような笑顔が見られたらそれでいいんだけど、今回はメリル・ストリープの演技は素晴らしいし、夫とともにマダムを支えるピアニスト役サイモン・ヘルバーグもとても良い表情をするコメディアンだし、キャストはどれも良かったと思う。

ただ全体的に惜しい…気がする…なんだか物足りない。いろいろぼやけてる…。カーネギーホールの扱いも…。
あと、愛の形は色々だと言うけれど、妻公認の愛人と言っても全然妻が納得してないじゃん!というのが一番のつっこみどころ。そして突っ走るマダムにだれも真実を言えないのはとても切ないなぁ。裸の王様と同じことか。この場合は無邪気に裸であることを指摘する心のきれいな子供は登場しない。
本音を言わない社交界、気遣いというのかなんというのか…。

メリル・ストリープの音痴の演技はすごかった。あと、映画に合わせてかなり太ったんだろうなぁ、お腹周りの迫力がすごかった。お金持ちのマダムの体型。そしてヒュー、老けたな。それでも大好きです。

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