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[シェイプ・オブ・ウォーター] "The Shape of Water"(2018)

この映画について「最高精度の同人作品」というような表現をしていた人がいた気がするのだけど、言い得て妙。ニッチな趣味を全力で素晴らしいものに仕上げたら、時代の流れもあって世界が受け入れてくれたよ!良かったねギレルモ・デル・トロ!という気持ち。

町山智浩さんが好きなのでこの作品についての「映画ムダ話」ももちろん購入したのだけど、オマージュが、というか「焼き直し」がものすごいのだな。(ちなみにこの「映画ムダ話」でいろいろな疑問が解決されてとてもすっきりしました。1カットなくなってるホールケーキ持ってバス停の椅子に座ってるおじいさんがなんなのかもわかる)『大アマゾンの半魚人』を観た6歳のギレルモ少年が、「ただ美女を好きになっただけで悪いことしてない半魚人が、なんで人間たちにやられなきゃいけないんだ!」と思った気持ちを、大人になって、半魚人とヒロインが結ばれるラブストーリーとして二次創作しました!という話だもんな。そう、壮大な同人作品。

作品全体が印象的な緑色に包まれた、人魚と半魚人のロマンチックな恋。だけどいろいろなところが変てこで、それがまた愛おしい。The Othersたちの映画。主人公はたいして美人でもないアラフォーで、朝タイマー設定してお風呂で自慰するのが日課だったり。隣人のゲイ画家はやたらハゲ気にしてるけどノンケに恋してラブリーな行動を繰り返しちゃったり。夫の愚痴ばっかり言ってるけどしっかりもので包容力のある同僚であり友達の黒人のおばちゃんがいたり。「マジョリティ」なようでいて、電流イライラ棒使いのストリックランドも「理想とされる男らしさ」に囚われてしまっているかわいそうな男だし。ちょこちょこグロいシーンがあるのもギレルモらしさ、なのだと思う。

水の形は、目に見えない。ハッピーエンドなおとぎ話。

ちなみにどうでもよい話をしますね。私ECHIREのギモーヴ(マシュマロ)が大好きでして、お菓子をもらえる機会があるのならこれがほしいと思うくらいなのですが、ギレルモ・デル・トロの名前を思い出そうとするとき、いつもギモーヴ…ちがうな?って迷子になります。どうでもよい話です。

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