見出し画像

アランマーレ熱烈応援ブログ「編集長のひとりごと side アランチャ vol.15」

【Clap your hands!-届け!心のアランマーレコール-】

去年と同じ状況になってきた。何がって、あの忌々しい感染症の状況である。全国の感染者数は数万人を超え、山形県においても過去最高の感染者数を連日更新。しかもその最大の感染拡大地は庄内地方ときたもんだ。そんな中、鶴岡ホームゲームは開催を迎えた。庄内地方の2大都市のひとつである鶴岡市での開催は、チーム創設初・・・しかも去年はコロナで中止の憂き目に遭い、2年越しでの念願の開催となった。

そんな鶴岡大会・・・正直開催は危うかったと言って差し支えないかと思う。Vリーグの各チームでも感染者の発生が相次ぎ、V2リーグでも広島、岐阜が出場を見合わせ、それに伴い大会が中止になるケースも。鶴岡大会が開催できたのは奇跡に近いかもしれない。しかも、くしくも鶴岡にこの時点での上位チームのほとんどが集結するという・・・全国的に見ても注目の大会となった。

【DAY1 1/22】

アランマーレのこの日の相手は、ルートインホテルズブリリアントアリーズ。サイズは・・・アランマーレと歴然、本当に大型選手が揃っている。しかもなんつーか、このチーム、雰囲気がいい。失礼ながら私も敵チームながら好き嫌いはあるけれども、ルートインの選手たちを見ているとまさに好チームって感じで、いつも元気ではつらつとプレーする姿が印象的。こういうチームは、追い詰められてからが強いもの。ホームゲーム14連勝中で、ホームでは圧倒的な強さを誇るアランマーレとはいえ、一瞬の油断が命取りになるチームである。淡々とアップをこなすアランマーレ。試合が始まると、順調に得点を重ねていく。まずはセッター投野のサーブで攻撃の糸口をつかむ。魔球といって差し支えないえげつない変化球でエースを重ねる投野。前節の東京戦、変幻自在のトスワークで連敗阻止の原動力となった彼女は、好調を維持しているようにこの時点では見えた。アランマーレは常に先行するものの、絶好調時とは違い、相手の追いつきを許すタイミングが散見される。先行しているとは思えない表情の硬さが選手たちから見て取れた。

画像1

それでも2セットを先取したアランマーレ。メソマチのスパイクには相変わらずのどうしようもない高さがあったし、木村、前田のサイドアタッカーもしぶとく相手コートにボールをねじ込み得点を重ねていた。

画像2

しかし、何かがおかしかった。いや、何かが足りない気がした。多分スタンドで見守っていたファンもそうだったと思う。その「足りないもの」がわかってきたのは、第3セットだった。あるはずのものがない・・・その違和感の正体とは・・・アランマーレの攻撃の看板、伊藤・菅原のミドル陣による、速攻やブロード、つまりはセンター線からの攻撃。

画像3

時折高いブロックで存在感を示すものの、センターからの速攻があまりにも少ない。トスが上がらないのだ。こうなると、相手はサイドからの攻撃にある程度的を絞ることもできるし・・・もともとサイズはルートインの方が上。デカい相手に殴り合いを挑むことは、高度な戦術で武装したとはいえ、やはり「小兵」であるアランマーレにとってはタブーのひとつではなかったか。あれよあれよという間に2セットを取り返されて勝負の行方はフルセットへ。ホームであれだけアランマーレにやられ続けてきて、しかも2セット先取された状況で、ルートインはまったく諦めていなかった。迎えた最終セット。セッター投野はセンターを使う構えを見せるも、トスが合わず、菅原の電光石火も伊藤の強烈さも不発。結局はサイドの打ち合いになり、最後は相手のブロックの高さに屈してゲームセット。セットカウント2-3でアランマーレは痛恨の敗北を喫した。

追い上げを受けた試合後半・・・チームも会場の雰囲気も落ちていく中、唯一の救いは、毎試合盛り上げるために駆け付けてくれているチアダンスチーム「Zippy」の子どもたち。彼らが自発的に始めた拍手が、徐々に会場中に広がって、一気に雰囲気が明るくなった。コロナ対策で声が出せない中、暖かい拍手がどれだけ選手たちを勇気づけたことか。いやむしろ、絶対に勝たせたいと思っていたファンたちの方が泣きそうな気持ちになっていたかもしれない。それくらい、ZippyのClap(クラップ)は救いだった。

【Day2 1/23】

負け試合の次の日、私は真っ先に試合会場に入り(今日は報道では一番乗り)、選手たちのアップでの様子を観察する。そこで雰囲気が悪いと、まずその日も負ける・・・それが私がこれまで素人ながらにバレーボールを見させてもらった経験則である。選手たち、表情は明るいものの、ふと私は気付いてしまった。声が小さいのである。とてつもなく嫌な予感を感じる私をよそに、開始時刻に向けて時計の針は進み続けた。公式練習開始の時刻となり、選手たちは円陣を組む。ここで行われる儀式・・・当番の選手が大きな声で「勝つぞ~!」的なことをやる。今日の担当は、新人の石盛めるも。強気のトスが持ち味の彼女がやったパフォーマンスはなんと・・・ドクタースランプアラレちゃんの「キーン!」だった(みなさんわかりますか?ついてきていますか?www)

画像4

大部分がもう知らないであろうこのパフォーマンスに、会場は「ぽかーん」としている部分もあったが(笑)私は、若干滑り気味でもやり通す石盛の「舞台度胸」に感心した。彼女が何かをやってくれるんじゃないかという期待も抱けるくらいには、私の期待値は回復したと感じた。

しかし流れは変わっていなかった。この日の対戦相手・ブレス浜松に対し、ほとんど何もできないまま1セットを献上。センター線も機能せず、しかもボールの落ちる位置も含めてすべてが裏目。セットを失った時の会場の空気はまるでお通夜のよう。おそらくこの時点で誰もが悪夢のホーム2連敗を覚悟したのではないだろうか。続く第2セット、先行されるも追いつき、再び離される苦しい展開が続く。ここで気を吐いたのは、新人アウトサイドヒッターの前田美紅。伸びやかな跳躍からしぶとくスパイクをねじ込むシュアなプレーヤーである。この日、前田もまた苦しんでいた。浜松からのサーブの集中砲火に遭い、明らかにペースを乱され、持ち前の攻撃力を削がれてしまっていた。しかし彼女は試合中に見事アジャスト。同期入団である長尾と何度もアイコンタクトや会話を交わし、反対側に鎮座する名レシーバー・木村のフォローを受けつつも次第にレセプションに安定感を取り戻していく。結果から言えば、前田はアランマーレの大反抗のきっかけとなり、なおかつ最大に近い攻撃力を発揮した。特筆すべきはそのサーブ。ネットにかけるのが怖くないのか?というくらいネット際を面一で攻めるその姿勢に鳥肌が立ちっぱなしだった。終盤のアクシデントで負傷退場したのが気がかりだが、最後まで出ていればVOM間違いなしの活躍だった。

画像5

前田の活躍に続くように、この選手もまた、追い詰められた状況で持てるポテンシャルを思う存分発揮した。主将・宮本菜月である。

画像6

この日、調子の上がらないメソマチに代わって出場した宮本は、前田・木村に集中した相手のブロックをあざ笑うかのようにライトから何度もテイクオフ。177センチの身長と高い跳躍力を生かし、黄色いボールを何度も浜松のコートに突き刺し続けた。宮本はこの日16点を挙げ、チームのトップスコアラーとなった。

この反抗劇のタクトをふるったのは、アラレちゃん・・・ではなく、石盛めるも。失敗しても「ゴメン!次!次!」とばかりに切り替えが早い彼女であるが、この日は強気のトスワークでアランマーレの攻撃をクリエート。監督からは試合中に「暴れてこい」と言われたそうであるが、あっぱれな暴れっぷりと、冷静なトス回しが印象的だった。

画像7

攻撃面でアランマーレをけん引したのは彼女らだけではない。2日間にわたってチームの最多得点を挙げ、レセプションでも高い安定度を誇った木村友里もまた、その一人であろう。時に強気に、時に柔軟に打ち分けるスパイクは不思議と浜松のブロックを抜け、そこに張っているリベロの重心の反対側に飛んでいく。リーグトップクラスの業師、そしてアランマーレの精神的支柱である彼女。この日も攻守の要としてその実力をいかんなく発揮した。

画像8

派手な攻撃陣に隠れているが、忘れてはいけないのは、守備。選手の脱退というショックに揺れるアランマーレにおいて、もっともその影響を受けたのは、リベロ・長尾のどかではないだろうか。新人にも関わらず、アランマーレの正リベロを任された彼女。ホームゲーム2連戦で、緊張から他の選手が調子を崩す中、長尾の声はいつどんな時も会場内に大きく響き、チームメイトを鼓舞し続けていた。そしてプレー面においても、この2連戦で別人のように覚醒したと私は見る。

画像9

正直、試合が進めば進むほど、彼女のプレーのクオリティが上がっていくので、立った鳥肌が収まらない。浜松のスパイクの着弾点に、かなりの確率で長尾はいるのだ。1stレグの躍進を支えた溝口元選手もまた、的確なポジショニングが印象的だったが、長尾もその域に達するかもしれない。その片鱗を見せてくれた・・・そんな気がした。

アランマーレは見事勝利。初開催となった鶴岡大会で、会場に詰め掛けたファンの前で最高の勝利を見せてくれた。ピンチ続きだった2連戦だが、結局自分たちを救ったのは、この試合に限っては圧倒的攻撃力ではなく、長い間磨き続けてきた守備・・・トータルディフェンスだったのではないだろうか。アランマーレの守備は攻めのサーブから始まり、リーグトップクラスのブロック力で相手の攻撃力を削ぎ、戦略的に張り巡らせたディガーの網で一網打尽にして自らの攻撃力に転化する。浜松戦、押し返せた原動力は、前田のサーブであり、長尾・木村のレシーブであり、最後に息を吹き返した菅原・伊藤のブロックだった。特に長尾・木村・前田・原田のレシーブは、後半まさに神がかっていて、ボールが全く落ちる気がしなかった。今後も非常に厳しい戦いは続くだろうが、ルートイン、群銀という上位陣を崩すために、浜松戦の守備の感覚は大事にしてほしいと思う。

画像10

ホームの連勝記録は14で途絶えてしまったが、ホーム最終戦は白星で締めることができ、群銀がルートインに敗れて順位も2位のまま。今後コロナによりリーグ戦がどうなるかは非常に不透明だが、今回の経験を糧に、厳しいアウェーの戦いを勝ち抜いてほしいもの。我々ファンも、今大会は本当に苦しかった。でも繰り返すが、私たちの心も、そしてアランマーレの闘争心をも救ってくれたのは、地域の宝である子どもたちの「がんばれ」の拍手だった。今思い出しても涙が出る。「Clap your hands!がんばれアランマーレ!」って、あの暖かい拍手は、確かにそう言っていたから。

今日の勝利は、君たちの勝利でもあるよ!Zippyのみんな、本当にありがとう!!!

画像11


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?