「宝石の国」がおわった
読めて良かった漫画の話。思いっきりネタバレしていますのでご注意を。
市川春子さんの漫画「宝石の国」が、2024年4月25日発売のアフタヌーンで最終回を迎えた。
人類が滅亡してずーーーーっと後、宝石の体をもつ生き物達のお話。彼らは制服を着て、少年のような少女のような姿で永遠ともいえる命を持ち、彼らを攫いにくる月からの来訪者と日々戦っている…という始まりだった。
（以下は私と「宝石の国」の思い出と、勝手な感想になります）
私と宝石の国の出会いは、たぶん1巻の単行本が出た頃だ。
毎月通っているクリニックと薬局の近くに、当時ヴィレッジヴァンガードがあった。
診察がおわり薬局で薬を受取り、その薬局の真隣がヴィレッジヴァンガードだったので、何気なく毎回立ち寄っていた。
「宝石の国」の表紙の美しさに目がひかれ、しばらく本棚前に立ち尽くし、おそるおそる手を伸ばして本をとり、眺めてからまた戻した。
毎回「いいな」と思いながら買わなかったのはなぜだろう、と未だに考える。たぶん今のお前のメンタル的にはまだ無理、とカラダか無意識かわからんけど、なにか判断がくだっていたんだろう。
そんな状態が3年ほど続いた。そのヴィレヴァンが閉店するまで。
毎回手に取っていたのについに買わなかったのだ。
そしてその翌年の2017年に、アニメ「宝石の国」がはじまった。
アニメ大好きおばちゃんなので、これは嬉しかった。
きれいな絵（CGがまた宝石の体とマッチしていて非常に雰囲気がよかった）、雰囲気のある素敵な音楽。声優さん達の素晴らしい演技。
OP曲の「鏡面の波」は今でも私の脳内「アニソンベスト5」に入っている。
アニメはフォスの冬当番が終わるところで最終回となった。
なんとも切ない最終回だった。
それからWEBアプリで原作の漫画を読むようになり、紙の単行本も少しずつ買い始めた。アニメ以降の話は、読んだ人にはご存知のとおりだけど、正直苦しさしかない。
私はフォスに感情移入していたと思う。でもどうしてああいう言動になるのか、イマイチ理解できていなかったが、でもフォスの苦しさはわかるような気がした。
最近になって思ったのだけど、フォスの言動と、自分の子どもの頃の幼稚な部分が似ているような気がする。
周囲の人気がある人みたいに、自分もチヤホヤされたい
でもそうなるための努力なんてしたくない
明確にやりたいことがあるわけでもない
自信も実力もないのに無駄に高いプライド
でも自分が他人より下であることの自覚はあり
そこから目を背けるために、他人と他人を比較して持ち上げたり貶めたり
誰かの役に立たなければ自分は愛してもらえないと思っている
自分への「無償の愛」はこの世にはないように思えた
メモに書き出してみたんだけど、「宝石の国」初期のフォスフォフィライトと幼稚な自分はこういう部分が似てると思えた。
でもまあ、300年もこの状態のままでいられたフォスはやはり図太いというか末っ子の甘えん坊さが出ているのか。
でもウェリントリココスとの接触から、フォスは積極的に行動をするようになり、世界が変わるきっかけとなっていく。
フォスに何度か訪れる自己否定と喪失と補完。ラピスラズリの頭をつけた辺りから自己否定は減っていくような気もするけど、そのあと月に単身乗り込んでからのフォスは悲惨としかいいようのない事態が続く。みんなのために・みんなが助かるように行動しているのになぜこうなるのか。
その「なぜ」に、フォスは「神」になってから気づく。自分の願いを理解していなかったから。
無機生物編に入り、やっとフォスの苦しみが報われるような世界になった。（最初の石ころくんの名言を私は手帳にメモした）
でもフォス自身は自分はここにいてはいけないと思っている。
しかし、ぷーぷがその気持ちを拾い上げてくれて、「神」は「フォス」に戻りほほえみながら消えていく。
石ころくんたちがたどり着いた楽園は、私の理想郷だった。
頼む、私もそこに行かせてください。人間が生み出した労働とかいうシステムから開放され、見た目や性格なんかで比較されることなく、ありのままの自分でいいと言ってもらえる世界。うっかりで欠損してなお、それを良しとしてくれる世界。
何度も最終回を読み返し、たどり着いた感想は「人類ってホントに○ソだな…」でした。
ひとまず、今後はアニメの続きを待っています。
黒沢ともよさん（フォス役）の冬当番以後の演技が見たい。絶対見たい。
あと茅野愛衣さん（ダイヤモンド役）の対ボルツ戦の「ぶっっっ 壊してやる！！」も聞きたいです。
最後に、自分は仏教の詳しいことは知らなかったけど大変興味をそそられたので、こちらのTogetterをメモとして残しておきます。
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