見出し画像

【SHINGO★西成を木村昴が語る】「応援する側もめっちゃ無理してるって切なさがたまらない」【HIPHOP HOORAY VOL.2 ヤングジャンプ公式】

『ヒプノシスマイク』で山田一郎役も務める声優界一の“ガチなヘッズ”な木村昴の日本語RAP連載!

なぜかヤングジャンプで木村昴さんがHIPHOP愛を語りまくる連載シリーズ!今回も解説つきでリスペクトアーティストについて語ってもらった。

木村 昴 きむら すばる:1990年6月29日生まれ。ドイツ出身。『ドラえもん』ジャイアン/剛田武役、『輪るピングドラム』高倉冠葉役等を担当。『ヒプノシスマイク』ではイケブクロ・ ディビジョン代表Buster Bros!!!を率いる山田一郎役。天才劇団バカバッカを主宰。ラッパーとしても『フリースタイルダンジョン』にも出演していたラッパー・掌幻と“掌幻と昴”として活動中。

※本記事は週刊ヤングジャンプ2020年17号に掲載された内容をnote用に一部改変して収録しました。

応援する側もめっちゃ無理してるって切なさがたまらないSHINGO★西成さんの名曲『白目』!

―前回は『ヒプノシスマイク』の楽曲と、その流れでラッパ我リヤさんについて語って頂きました。今回はどなたで行きましょうか?

最近聴いて一番感動したのが、SHINGO★西成さんの『白目』という曲なんですよ。去年の10月に出たアルバムのタイトルトラックなんですけど、最近のSHINGO★西成さんは、ギター1本でラップしたり、ピアノの伴奏でラップしたりしてて、この曲もピアノとギターだけでやってますね。

SHINGO★西成: '96年ラッパーとしての活動をスタート。'06年1stミニアルバム『Welcome To Ghetto』リリース。その名の通り大阪・西成区出身。関西弁を全面に出した語り口と、厳しい環境に生まれ育った者ならではのリアルな視点で大阪を代表するラッパーに。今なお西成で生活し、炊き出しなど社会活動にも参加する地元のスター。

アルバム全体だと3曲目の『かかってこんかい』とかイケイケの曲があったり、ギャップっていうか幅広さがすごいです。

―確かにこの『白目』はフックの部分とか完全にバラードだし、最初の印象だと“これってHIPHOPなの?”と思ってしまいます。

そうなんですよ! でもこのフックもまた素晴らしくて、

“人生って うまくいかないんだね でも負けないって決めた サングラスとれば白目”。

最初に聴いた時、“何で急に白目?”と思ったんですけど、すぐ絵が浮かんだんですよね。サングラスかけてちょっと格好つけてるんだけど、それを外したら実は内心白目で、要はめっちゃムリしてるんじゃないかっていう(笑)。無理してるんだけど、サングラス一枚かけて、みんなに頑張れって言っているのかなと思ったんです。

それで思い出したのが、マイケル・ジャクソンの『You Are Not Alone』という曲のPVなんですよ。マイケルはものすごい大きいオペラハウスの舞台でこの曲を歌ってるんですけど、バンドも観客もいなくてたった1人なんですね。そのシチュエーションで“君は1人じゃないよ”って歌ってる。本当は自分が孤独なのに、誰かにそばにいてほしいのは自分なのに! 『白目』にも同じ切なさを感じたんです。

『You Are Not Alone』:'95年リリースのマイケル・ジャクソンのシングル。ビルポード・ホット100史上初の初登場1位を飾った名バラード。

そしてすごいのがバース2の後半。この曲はこういう曲調なので、ほとんどポエトリーリーディングみたいな印象なんですけど……。

“考え方次第で地獄もアトラクション 失敗も変顔も仲間と爆笑! ヒトを助け、死んでも生き返る幽遊白書スタイル ヤることヤってからみんなで言う「いけるっしょ!」 今はしんどくても「やっとったら あとラクっしょ?!」”。

この“あとラクっしょ?!”が来てから気づくんですよね。アトラクションから全部韻を踏んでるっていう!

―えええっ(驚)!? すごい!!

SHINGO★西成さんは優しく語りかけつつ、ラップのスキルは超スゴい!!
“アトラクション”“爆笑”“白書”“いけるっしょ”“あとラクっしょ”。その後の

“みにくいアヒルも飛び立つGhetto!白鳥!”“あとを濁さず これ以上はお口チャックしよう!”

も踏んでる。こういう語りみたいなスタイルなのに、めちゃくちゃ韻が固いパートを挟んでくるのが本当にカッコイイですよ! やっばりラップなんですよね。この『白目』の2バース目はまるっとパンチラインだと思います!!

画像1

『かかってこんかい』とかはクラブやでかいホールで聞きたいけど、この曲は夜枕元で聞きたい。本当にSHINGO★西成さんは、聞き手への寄り添い方という点で、ナンバー1のラッパーですね。メッセージはすごいあるけど、押しつけがましくない。

上からああしろこうとしろって言う感じじゃないんですよ。この曲以外にもイイ曲いっぱいあるんで、ぜひ皆さん聴いて欲しい! 『大阪UP』とかイケイケの曲も最高だし、『白目』に近いタイプだと『切り花の一生』とか……。

“人を喜ばせて死んでいく 俺はまるで切り花のよう”。

僕はこれ聴くと、コンディションによっては爆泣きします(笑)!

『切リ花の一生』:2013年リリースのアルバム『おかげさまです。』収録曲。
『大阪UP』:2012年リリースのアルバム『ブレない』収録曲。 大阪のHIPHOP関係者が次から次へと登場し、地元の大先輩・赤井英和まで出てくるMVがとにかく圧巻。

最後までお読みいただきありがとうございました!次回もお楽しみに!

撮影◎門嶋淳矢

▼毎週月曜更新!連載マガジンはコチラ!

▼初月無料でバックナンバー一年分が読み放題!最新記事はコチラから!