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「ヤングジャンプ」は青かった!【新ロゴデザインの制作note】

 副編集長のナカムラです。

 本日より公式Twitterのアイコンが「ブルー」基調に変更になりました。

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実はこの公式noteも、公式YouTubeチャンネル公式サイトも先駆けてブルーロゴになっていたのですが、遅ればせながら本体SNSもそれに合わせて統一した形となります。なぜ「ブルー」にしたのか?内輪受けの話で恐縮ですが、良い機会ですので記事でお伝えすることにしました。

●「決まった形」を持たなかった「ヤングジャンプ」ロゴ

 まずご覧いただきたいのはこちら。旧アイコンとヘッダーとなります。

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 ご覧いただくと分かる通り、ヘッダーとアイコンですらデザインが全く違いますね。

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 そして、これが現在、雑誌で使われているロゴ。Twitterで使っているものとは「JUMP」の文字の書体が若干違います。

 創刊40年を越え、ずっと使われてきた「ヤングジャンプ 」のロゴはマイナーチェンジを繰り返しながら、実は特定の色は公式として決めることなく、今日まで使われてきました。「ロゴ」といえば企業の命のようなもの。

 なぜこのような運用になったのでしょうか?

 それは我々のロゴは「青年漫画誌」という雑誌の表紙に最適化され、カスタムを繰り返し続ける存在だったからなのです。

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 青年漫画誌の表紙は基本的にグラビアの女の子であり、そこに様々なジャンルの漫画のカットが入ります。時には付録などの情報もあります。

 極めて雑多であり、一般的なデザインの基本である「引き算」の文法ではなく「足し算」の文法で構成されます。世の中にはお洒落で洗練されたデザインをまとめるデザイナーさんは数多いますが、漫画雑誌、とりわけグラビア表紙の漫画雑誌の情報量を全体としてまとまりがある形で一つの形にできるデザイナーは多くはいないと私は思っています。

 ヤングジャンプの表紙のデザインは実は創刊40年の歴史の大半を編集部常駐の同じデザイナーさんたちが担当し続けて今の形で刊行されています。

 さてロゴの話に戻ります。旧Twitterのロゴと雑誌ロゴを比較すると「JUMP」の文字以外にも「週刊」の入れ方や「ヤングジャンプ」の形状に違いがあることに気づくと思います。「週刊」の文字は「J」の横に配置されていた時代もありました。

 「JUMP」の文字の違いは、

●「J」の字の先端が拡張されている
●「M」の字の真ん中の谷部分が拡張されている
●「P」の次の突起部分が横長に拡張されている

という違いがあります。なぜこのような改変が行われたかというと、ロゴの上にカットや写真が配置された時に、これらアルファベットの特徴的な部分を出してあげることで「JUMP」の文字の存在感を高めるためです。ここが隠れると裏側にあるものがなんなのかわからなくなってしまう、小さなこだわりですが、内部でずっと扱っていると気になるものです。

 また「ヤングジャンプ 」の文字を一部凹ませてでも「週刊」をこの位置に持ってきているのはロゴ周りの必須要素をコンパクトにまとめることで写真や漫画カット、告知情報をより大きく入れられるように調整されています。

 さらに幾重にも様々な色で巻かれた「フチ」部分は多色が混在する表紙の中で多くの基調カラーをロゴに含めておくことで、一見雑多でありながら全体としての統一感を作り出す役割を担っています。

 このように「ヤングジャンプ」のロゴは毎号様々な色と情報が飛び交う雑誌の表紙を彩るシンボルとして、それ自体はあえて特定の色を持たせず、またあくまで表紙で使う前提で最適化を繰り返してきたデザイナーさんの創意工夫の積み重ねそのものであるわけなんですね。

 しかしながら、時代はデジタルにシフト。「ヤングジャンプ」の名前を冠するものとしてこのnoteやYouTube、アプリやSNSと多面展開する時代となりました。またロゴもスマホ上で視認しやすいシンプルなものがトレンドとなっています。どこで「ヤングジャンプ」と出会っても認識してもらえるようにするためには、どこで見ても同じトーン&マナーでなくてはならない。

 すなわち我々も雑誌の考え方から離れて、統一のカラーとデジタル媒体上で使いやすいロゴを持たなくてはならないのではないか。

「ブランドアイデンティティ」

 創刊41年目にして我々は初めて、そんな意識の高い横文字と向き合うことになり、まず手始めに「色決め」を行うことになりました。

●ヤングジャンプって何色なのか?

 「色」を決める、ということはブランドのイメージを決めるということ。読者様に対して我々がどんな体験を提供するのか?そのメッセージともなります。しかし「ヤングジャンプ」は常にその時一番面白いものを最大化する雑誌であり、その中身はいつの時代も極めて多様でした。雑食でノンポリシー。面白ければなんでもあり。それは今でも変わりません。

 長年部内にいる人間ですら「ヤングジャンプってなんなんだろう?」という問いへの答えは様々です。様々な人間にこの問いを投げてみましたが、統一されたイメージというものを見出すことは困難でした。逆に言えばその自由さ、多様さそのものが我々のアイデンティティだったとも言えます。

 我々は自分たちで結論を出すことができず、それを読者様にアンケートで聞くことにしました。これもまた集英社、あるいは人気アンケートに象徴される「ジャンプと名のつく媒体」の遺伝子だとも言えるかもしれません。最後の意志決定は読者が決めるのです。

その答えの一位が「青」でした。

青と他の色を組み合わせも含めると実に7割近い人が青のイメージをヤングジャンプにもっていたのです。実は8年ほど前にも同じ質問を読者に尋ねたことがあります。その時も「青」でした。

 我々としては不思議な結果なのです。最初のTwitterのヘッダーをご覧いただくとわかるとおり、雑誌のデザインとしても一番多く使う色は、赤と黄色と蛍光ピンクであり、公式に青い色で何かを打ち出したことはなかったからです。にもかかわらず、読者は「青」という色を選択してくださいました。

 理由までは回答を求めなかったので、「なぜなのか?」は想像するしかありません。

 グラビア写真の海のイメージでしょうか?あるいは同じくグラビア企画である「制コレ」の青春のイメージでしょうか?あるいは広末涼子さん以来の清純なショートカットの女の子を時代ごとに取り上げてきたイメージでしょうか?

 はたまた「キングダム」をはじめとする連載漫画作品の熱い作品ながら質の高い知性的なイメージもあるような気がします。

 一般的には青から伝わるメッセージは「誠実、信頼、知的、清純、若さ、イノベーティブ」。少なくとも我々は自分たちでは自覚していなかったそうしたイメージをそれを読者に託されたのだと感じました。

 言われて改めて思えば「ノンポリシー」「面白ければなんでもあり!」といいながらもやっぱり日頃の漫画の打ち合わせの中で無意識に「ヤンジャンっぽいよね」「ぽくないよね」というのは出てくるもの。

 グラビアにしても、キャスティングはもちろんのこと、シチュエーションや作り込みにこだわり、「品位」のようなものを大事にしてきたところはあります。

 ふと、私も新入社員の時のことを思い出します。次号予告ページを作っていた時に一人称に「オレたちの」みたいなワードでコピーを書いたときに先輩に言われた一言。

「違う違う、ヤンジャンは『オレたち』の雑誌じゃないんだ、『ボクたち』の雑誌なんだ」

 たぶん、無意識に我々の中にも「ヤングジャンプはこうだろ」というコードのようなものは存在していて、ただし明確にはビジュアル化も言語化もされずに、口伝で継承され、根付いていたのかもしれません。

 もしそうしたものの総体が「読者が選んだ青」と一致していたら嬉しいなと思いながら、早速具体的に落とし込む作業に入りました。

●そして「ヤンジャンブルー」が決定

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 具体的にどの「青」にするのか、色のイメージや画面上での視認性などを考えながら様々なパターンを比較しました。あまり落ち着き過ぎても「漫画雑誌」的ではありません。金融やシステム関係のような信頼性が主として言いたいものではない。

 少なくとも、常に新しい才能と新しい作品を世に送り出してきた我々としては「若さ」や「エネルギッシュ」さも大事にしたい。一方で、重厚な作品も多々存在する媒体として「軽過ぎない」ことも重要です。

 最終的に落ち着き過ぎず、軽過ぎず「若さを感じられるブルー」として、いわば「ヤンジャンブルー」とも言うべき我々の「青」を決定しました。

 一つだけ気がかりなのは8年前のアンケート結果に比べて、「青」単独を選ぶ方の割合が減っていたことです。他の色が増えたというわけではなく、全体的に平均化していく傾向が見られ、それは比較的若い読者層の中で顕著なものでした。雑誌だけしかなかった以前と比べ、公式SNSなどで赤と黄色のヤングジャンプロゴを目にする機会が増えたせいもあると思います。

 これから主軸となっていくデジタルのフィールドの中でも、長年ヤングジャンプを愛してくださっている読者様から託されたイメージを引き継いでいかねばならないと考えています。

 この青を基調カラーとして、各ヤングジャンプ媒体の再デザインを進め、ずっとご愛読いただいている方とこれからはじめましてする方に、集英社から世に出る「大人の青いほうのジャンプ」として、より面白さに妥協しない漫画を、質にこだわったグラビアをこれからも世に送り出していきたいと考えております。

 今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。