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詠 佐藤義清 穴をあけ 我をしらしむ 春の海 帆をあげすすむマルマラの風
詠 柿本人麻呂 むぎばたけ 嵐のあとの 穂をひろい 身を粉にしつつ 蔵へおさめる
詠 小野小町 あきかぜに誘われ 土鍋火にかけて いざ冬したく腹こしらえを
詠 山部赤人 学びやを 離れていまは 職人の 道へすすみぬ 腹をあたため
詠 大江千里 木挽から きかいで割ける ひくおとの せわしなきかな ひと筋のかぜ
詠 良暹法師 まどのそと 川をのぼるや せんどうの 頭かがめて ひと竿をさす
詠 善女龍王 ふりかえる 窓のそとには 雪つもる 床にくるまり ひとりかもねむ
詠 常不軽菩薩 ふりかえる 御代のなさけの ありがたさ 水にひたりて ひとりかもねむ
詠 祐子内親王家紀伊 窓をあけ 海をながめる 白肌の かがやく姿 ひとり佇む
詠 藤原道綱母 マドをあけ 喝采あびる 何という かがやく姿 笑いがつつむ