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最初にポラロイド写真を撮ってもらった マカピーな日々#0424

マカピーです。

学生時代の米国酪農実習関連で思い出したので更に追加します。

大学での選考試験がありましたが、体力試験と面接だけしか覚えていません。で、実習生はどこへ行くのか?

半分以上は西海岸の日系人経営の野菜農場に配属されました。珍しいところでは造園学科学生もロスアンジェルスなど西海岸の日系造園会社に入って設計図を作ったり、別の人はホテルの芝刈りをしていました。

「中西部の酪農、肉牛飼育」実習に行った同じ同学年生は「拓殖学科」のミネソタ、「農村社会学科」ウィスコンシン、「農業工学科」イリノイ、そして「農学科」でアイオワのマカピーの4名で肝心の「畜産学科」がいませんでした。

生まれて初めての飛行機での旅は、羽田からで台湾の航空会社でサンフランシスコへ飛びました。ここには同じ学校の学生だけでなく他の団体からの参加者も大勢いることが分かりました。

さて到着したサンフランシスコのホテルではオリエンテーションがあったのですが、まったく覚えていません。ひたすらケーブルカーに乗ったり、地下鉄に乗ったり、周辺を探検するのに夢中でしたから(苦笑)

まるで絵ハガキのような景色に「おおお!これが西海岸のサンフランシスコだ!」って完全にお上りさんか旅行者気分でしたが、一方で農場で使う作業靴(ワークブーツ)も購入しておきました。

2日ほどの講習が終わると一人ずつ呼び出されて、実習地までのチケットが渡されました。

よく見ると航空券でなくバスのチケットです。

チケット手にした参加者が怪訝な顔をしていると、事務職員がニヤリとしてアナウンスしました。

「皆さんはエアチケットを期待していたようですが残念でした。まずこの国の広さを経験するのに一番いいのがバスの旅です。Good Luck!

「ええ、何日かかるんだ?」

「オレは車中2泊・・・だ」

かくして翌朝、大きな荷物を持ったマカピー達はバス発着所へ行き、グレイハンドバスの大陸横断バスの旅が始まるのでした。

まったく予想していなかった展開ですが、マカピーの頭の中はジャズのナンバー 『Route 66』が流れていました。

そしてシートに体を預けて、ひたすら車窓を流れる景色を見続ける異次元の旅を経験しました


サンフランシスコを出発したバスは、給油と休息そして運転手の交代を繰り返しながら客の乗り降りを続けながら、ロッキー山脈を越え荒野をシカゴを目指して東へ東へ進むのでした。


出発時は同じバスに仲間が10人ほどいたのですが、それぞれ目的地が違うので一人また一人と乗り継ぐバスデポで降車して消えて行きました。

「じゃあな、元気で!一年経ったらまた会おうぜ!」

マカピーはバスの旅も3日目にアイオワ州の州都デモインのバスターミナルに一人降りたった時には、これから始まる農場での生活を想像してちょっと緊張したのを覚えています。

ここで次のコンチネンタル・バスに乗り換えて最終目的地オトモアに行くのですが待合時間があったので戸外出てみると、寒かったけれど晴天でした。

芝生の上で休んでいると、一人の黒人男性がやって来てタバコを吸う仕草をしたのです。当時吸っていた「ハイ・ライト」を差し出すと「それじゃない、グラスだ」というので「マリファナ」だと分かりました。

ふーん、ここでも大麻ってそんなに一般的なの?

しばらくすると、通りの向こう側にステーション・ワゴンが停まり、中から東洋系の家族が降りて写真を撮っていました。

すると主人と思われる男性がマカピーのところへやってきて、家族写真を撮ってもらいたいとポラロイドカメラを渡したのでシャッターを押してあげました。


彼は戻ってカメラを受け取ると「今度はキミのも一枚撮ろう、さあそこに立って」とカメラから押し出された一枚ポラロイド写真をマカピーに渡しながら話してくれたのです。

主:「ボクは韓国から15年ほど前にアメリカにきたんだ。それで初めて降り立ったのがここでね、アメリカでの人生はここから始まったんで記念に家族と来たんだ。キミのアメリカでの成功を祈るよ」

マ:「ありがとうございます。ボクは日本の学生です。ここで1年間の酪農実習するんです」

主:「ここのトウモロコシを中心とした農業はスゴイですよ。ソ連から来たあのフルシチョフ(1959年)も驚いたくらいですからね。でもね、ボクはここの人はかなり保守的だと思うね。健康に気をつけて沢山学んでください」

先日シネプレで観た映画『ミナリ』がとても印象的だったのはあのポラロイド写真の思い出があったからだって、今ようやく気付いたのでした。

マカピーでした。

最後までお読みいただき感謝します。今つながったあの時の思い出





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