撃たれるまで、引き金が引かれたことが分からない!マカピーな日々#0469
マカピーです。
コロナ禍が悪化した国では治安も悪くなり、南アフリカなどでは前大統領の逮捕をきっかけに各地で暴動が広がっているとニュースが伝えています。
そのニュースを見ながら思い出したのは2003年のカンボジアの首都プノンペン市でタイ大使館他が焼き討ちされた事件です。
この事件当時の事をよく覚えているのは、マカピーが現場近くに住んでいたからでした。
そして、とても怖いと思ったのは情報操作と群集心理です。
何気ない、噂話を本気にする人々をうまく誘導すればこんな事件にすることが出来るのを目の前にしたのです。
現在ソフィテルという高級ホテルがある場所には、かつてタイ資本のロイヤル・プノンペンというホテルがありプールやテニスができるのでマカピーはそこの会員になって利用していました。ちょうど1年更新した翌週にこの事件が発生してホテル施設はあえなく放火され焼失しました。
その日マカピー妻はそのホテルのタイ人女性マネージャーと話をしていました。「近くのタイ大使館前で若者がタイヤを燃やしていたよ」「大丈夫いつものことだから。タイから政府要人が来ているのでアピールしているのよ」
まさかその数時間後に放火略奪が行われるとは誰も思いもしませんでした。
ラジオは市内のどこにタイ資本の店舗や施設があるのかを伝えたと言われます。そして決定的だったのがタイのバンコクにあるカンボジア大使館が襲われているというデマが群集を一気にプノンペンのタイ大使館に向かわせ放火したのでした。
マカピーはちょうど子どもの学校の担任との面会があり、それを終えて帰るのに利用する大使館前の通りが流れなくなり、1時間もかけて大回りして帰ることになりました。
タイ大使館は隣に日本大使館があり向かいは警察軍を統括する内務省、そして現政権の政党本部があるのでまず放火事件が起こること自体が信じられない立地条件だったのです。
マカピーには日頃から経済的にタイに抑圧されていると感じている民衆を操作した事件だと思えました。
血に飢えた野獣のようになった民衆は放火しながら、タイ資本のホテルや店舗から次々にものを奪って行きます。一般市民までが焼け跡で物をあさる姿には悲しくなるものがあり一週間ほど家の燃えた臭いが漂っていました。
ロイヤル・プノンペンホテルから略奪されたスポーツジムのマシーンは近くの通りで売られていました。
そしてマカピーのスイス人の友達が焼けた大使館の前を通ると、男が地面に何か広げていたそうです。なんと沢山のパスポートで、彼はスイスの名誉領事をしていたので全てのパスポートを買い取ったそうです。
これらのパスポートはタイ大使館に入国査証を取るために預け入れられていた旅行者やビジネスマンのものだったのです。友達はそれぞれの大使館にパスポートを届けたそうです。
マカピー妻はその頃、ボランティアでエイズ患者にキルト製作するプロジェクトを手伝っていたのですが、ある日その患者の一人が手招きしたので行って見ると「ボンスレー(お姉さん:マカピー妻はそう呼ばれていました)、この写真は貴女ですよね?」とポケットアルバムを見せてくれたのだそうです。
そこに映っていたのは、数週間前ロイヤル・プノンペンにタイ王室の王女が来た際に、例のマネージャーから「貴女もタイ語をしゃべるしタイ風に服を着て出迎えたらいいわよ」と言われて何気なく参加した時のものでした。マカピー妻は凍り付いたのでした。
どうして彼女が持っていたのか分かりませんが、もともとはマネージャーの部屋から略奪されたのでしょう。
彼女はマカピー妻に「やっぱりボンスレーはタイ人だったんですね?」
マカピー妻は平静を装いながら「そんなはずないじゃない!わたしは日本人よ。この写真は持っていても仕方がないでしょうから私がもらっておくわね!」
襲撃事件後も、プノンペンで「タイ人狩り」が行われ、旦那さんがタイ人だった米国人はコッソリと彼をタイに帰国させ、マカピー妻が友達のラオス人と町を歩いているとバイクに乗った青年に囲まれて「お前たち、タイ人だな!」と襲われそうになったことがありました。
どこで誰が引き金を引いたのか、撃たれるまでは本気にしないのが人間なのだと感じた事件でした。
マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。どんな時もパニックになっては状況を悪くするだけです!
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