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なんだい、その黒々と長いヤツは? マカピーな日々#0444

マカピーです。

マカピーは昆虫や蝶の写真を撮るのが好きなのは、学校の友達の影響でしょう。いまだにフェースブックに虫の写真を載せると、ありがたい事に瞬く間に「同定」して正しい名前を教えてくれます。

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学校のキャンパスでクラスメートのタミヤに呼び止められたことがありました。「おい、マカピー見てみなよ、これ」と指を突き出すとそこには丸々と肥えた体長10㎝ほどの大きなヤスデが、人差し指をぐるりと巻いていました。

通常見慣れているのは体長2㎝ほどの赤っぽいヤスデですけど、タミヤはこの大きなヤスデをどこで仕入れてきたのか、得意げに他のクラスメートにも見せびらかしていたのでした。

その後、いろいろな国、例えばカンボジアのアンコール遺跡でもタミヤの持っていたサイズのヤスデに出会うことになり、そのたびに学生時代を思い出すのでした。

日本でも八重山諸島あたりには大きなのがいるという事ですから、タミヤはそれを入手したのかも知れません。

それにマカピーは見た事ありませんが、アフリカオオヤスデはなんと体長30㎝にもなるそうで、しかもペットとして人気があるのだそうです。

まったく人の趣味というのは良く分かりませんね。

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マカピーは友達の米国人家族がオリンピック開催前の北京に住んでいたのを、熱帯のカンボジアから家族5人で訪ねたことがありました。

三里屯という外交官やCNNをはじめ外国人やその家族ばかり押し込められていた居住区のアパートに泊まらせてもらいました。

ちょうどハローウィンのお祭りをしていたころでした。

マカピーはそこのトイレに入り、便座に腰掛けるとタイル張りの空きスペースにアクリルのケースがあるのに気づきました。

何やら腐ったりんごが放り込まれていて、昆虫か何かを飼育しているようなので覗き込むのですが何も見えません。

フッと視線を腐ったリンゴの陰に移すと黒いひも状のものがありました。何かなア?と目を凝らしてそれが分かると、マカピーは思わず便座から飛び上がりそうになりました。

タミヤの持っていた大きさのヤスデがいっぱいいるんです!

トイレから出て、「なんで、トイレでヤスデ(millipede)を飼ってんの?」とアイリスに尋ねると「ああ、あれね。バーナード(長男)のペットなのよ」というのでした。

「確か、バーナードはザリガニが好きだったよね」とネパール時代の思い出を伝えると「それが北京に来てからは、もっぱらヤスデなのよ。どんどん増えちゃって困ってんの」

11月末で寒かったのですが、アイリスがせっかく来たのだからと近場の「万里の長城」へ行きました。

主人のデイビッドは仕事をしていたのでアイリスとバーナードと妹のマドリンの3人それにマカピーの家族5人が2台のタクシーに分乗して行きました。

マカピーのグループは、北京に来てから見る見る間に中国語の読み書きができるようになった天才バーナードと一緒で、彼が運ちゃんに指示をしていました。

アイリスは米国人ですけど、4分の1中国人の血が混ざっていて親戚も北京にいて、少しはしゃべれましたが才能ある長男の方がよっぽど上手でした。

バーナード少年はネパールの小学校時代から数学才能にたけ、飛び級していましたが、その一方で内向的で他の子供とワイワイするタイプではありませんでしたがマカピーの息子たちとは相性が良かったようです。

バーナードに中国語上達のコツについて尋ねると「中国語って象形文字の組み合わせで、発音も決まってくるから覚えちゃうと楽なんだ」と数学的なアプローチが功を奏したもようでした。

初めての「万里の長城」見学はおもしろかったのですが、晩秋の陽が落ちるとあたりが暗くなり長城から下りて家路を急ぐことになりました。

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途中リンゴ農家の畑に差し掛かると、バーナードはそれまで手に持っていた紙袋から何やら取り出してリンゴの木の根元に撒いていました。

「何を捨てたんだい?」「増えすぎちゃったヤスデ(millipede)」「ここで育つかな?冬はもっと寒そうだよ」「うん、でもゴミ箱に捨てるのよりこっちの方が生き残れる可能性が高そうじゃん」「ナルホド」

三里屯のアパートに帰る途中、いつもの通りマカピーが補助席でシートベルトを締めて、子供たちは後部座席にいました。

マカピーはそのタクシーの中でコロコロと、どこかで聞いたかろやかな音がするので不思議に思いました。ラジオがかかっているわけでもないのでキョロキョロしていると、運ちゃんがニヤッとして革ジャンパーの懐から取り出したものがありました。

それは、竹筒でコオロギを保管する入れ物で、それを懐に入れて保温し、水や栄養のある餌をあげ育てる趣味の世界だったのです。だから冬に差し掛かった頃となってもコオロギが鳴き続けていたわけです。

すると、マカピーの脳裏には映画『ラスト・エンペラー』のラストシーンがありありと思い出されました。

元皇帝の愛新覚羅溥儀(あいしんかぐら ふぎ)はかつて自分が皇位を授かった紫禁城の玉座にやって来ます。それを見とがめた少年に溥儀はコオロギの入っていた竹筒を渡すと、中からコオロギが出てきて振り返った時は彼の姿が消えていました。

マカピーでした。

最後までお読みいただき感謝します。ヤスデを素肌にはわせると気持ちいい?







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