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密猟とアフリカ マカピーな日々#0267


マカピーです。

ナショナルジオグラフィックの映画でジンバブエの公園レンジャー「アカシンガ」というのがあるのを知って、別のアフリカの国でレンジャーやっていた日本人女性の友達を思い出しました。


彼女は男性レンジャーと一緒に幾日もキャンプしながらライフルを担いでパトロールしたそうです。

それでも密猟者に出会う可能性はとても低いのだそうです。

それはレンジャーの行動情報が筒抜けになってしまっている可能性があり、密猟グループは彼らのいない場所で仕事が出来ると言われていました。

日本の国立公園とは比べ物にならないくらい、おそろしく広大なナショナルパークがいくつもありその管理を少数のレンジャーでカバーする事はとても難しいのです。

でも、そもそも密猟者とは何でしょうから?

本来、保護されるべき野生動物を捕獲(殺して)その象牙、毛皮、肉などを違法に売りさばく人を指します。

悪い奴らだと思うかもしれませんが、多くの場合犯罪組織とかではなく密売組織の下働きで働く村人の場合が多いのだそうです。

つまりナショナルパークの隣に住んでいる村人が密猟者という図式もあるのです。それで大金が手に入るわけではありませんが現金収入の道のない村では仕方なくやっている人も多いのでしょう。

しかもアフリカ諸国での密猟は重罪です。ビッグ5と呼ばれる希少種それにゾウなど殺せば何十年もの刑務所暮らしが待っています。それでも密猟は無くならないのです。

象牙の需要の裏には日本の市場があると言われています。高級印鑑の材料としても根強い需要があるそうですが、昨今の「印鑑廃止」運動が実れば密猟も減少するのかしら?

マカピーはゲームミートと呼ばれる野生動物のお肉が好きです。スーパーに行けば特別のコーナーでインパラの肉が缶詰やレトルトで売られていることもあります。

マカピーの仕事場だった大学病院のキャンティーン(食堂)へ行くといつものティラピアやチキンに混じって時々水牛の肉がありました。

それが密猟によるものなのかあえて聞くことはしませんでしたが、焚火の香りが残るその肉はとても柔らかで少しほろ苦かったです。

マカピーが想像するに、村人はコールドチェーンとはかけ離れた生活をしています。電気のない地方で大きなスイギュウやカバの肉を保存する手段は燻製です。

首都ルサカに肉を運ぶのに腐敗させないように、切り取った肉塊を燻製処理したのではないでしょうか?だから料理に出された水牛の肉には焚火の匂いがあったのだと思います。

レンジャーをやっていた友達の話です。

ある日彼女が町で用事を済ませ、午後車で国立公園の管理事務所に戻る際に一本道を村の女性が歩いていたので「乗ってかない?」と公園近くの村まで送ることにしました。

その女性は、車を運転している女性が明らかに外国人(ムズング)だったので驚きどこに行くのか聞いてきました。

「公園内の管理事務所に戻るの」

「何をしているの?」

「レンジャー」

「公園内に行ったことはないけれど、沢山のムズング達が訪れるのはそこに彼らが好きな美味し食べ物を出すお店や豪華なホテルがあるからなの?」

「え?ああ、外国人が来るホテルね。でも豪華とは違うとおもうよ」

「ふーん」

「ねえ、あんた国立公園に行ったことないんだったら私と少し付き合いなさいよ」

レンジャーの友達は公園入口にある大きな川にかかる橋で車を止めて二人で欄干から下の景色を見ました。

ちょうど夕日の中を沢山の野生動物が水のみに来ていました。

インパラ、キリン、シマウマ、イボイノシシ、スイギュウ・・・

ふと横を見ると、その光景を見ていた村の女性が涙を流しているのに気づいたそうです。

「どうしたの?」

「私、わかったわ。どうして沢山のムズング達がこの公園にやってくるのか。世界中からこのすごい景色を見に来るのね!」


ザンビアにいた頃、公園近くのロッジを経営している英国系オーナーと話したことがありました。

彼は近年の密猟によって「見るべき野生動物」が減少し、お客さんが来なくなってしまう危機感もあり野生動物の保護活動に乗り出しました。

彼は近隣の村の子供に自然の中の野生動物の生態を知ってもらおうと集まってもらいました。そこで彼は子供たちに尋ねたそうです。

「君たちは密猟という言葉を知っているかい?」

「はい」全員が手をあげました。

「次に、君たちの答えを誰にも教えないから、正直に答えてほしいのだけれど、君たちの家族や親戚で密猟に関わっている人を知っていますか?」

「はい」やはり全員が手をあげたそうです。

マカピーでした。

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