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プロレスじゃないIWGP

それなりに読書はしている方だと思ってます。
様々なジャンルがあるけれど基本的には見境なしに興味のあるものを手にすることが多いので、自宅の本棚には一切統一性がない。
子供の頃から図書館の2週に1度の返却日に合わせて上限MAXで借りてた気がする。
本が好きすぎて大学2年の時に自宅近くの本屋さんでバイトしていたくらいで3年くらいは働いてたはず。
もしかしたら4年?
大学に5年も通ってしまった親不孝留年組なので、記憶が定かじゃないけれどその時も働いてたような気がする。
自宅が埼玉の和光市で駅を降りてすぐにあるミスタードーナッツの並びにあった「書楽」という書店。
2年程前に残念ながら閉店しちゃったみたい。
下村さんという女性の店長がいて色々とおススメの小説を教えてもらったり貸してもらったりしてた。
オレがオカルト好きってことでおすすめされた京極夏彦にどっぷり浸かったのは店長のおかげ。
辞書みたいに分厚い京極堂シリーズはアタマ抱えて読んでいた。
全く本に興味がないっていう女性店員の川島さんって方と仲良くて、たまにご飯連れてってもらったりしたこと今でも覚えてる。
元気にしてるのかしら。

店内が楽しかったし何より社割で本が買えて新刊もすぐ手に出来るし情報早いのがお得感満載。
東武東上線でキャンパスまで往復1時間くらいだったもんで1週間に数冊読むのが当たり前だった。
書店は出版業界の末端なんで仕入れが高いし1冊売れても売上単価としてはめちゃくちゃ低いので、バイトの時給が安いのはどこの書店でも一緒。
だから金を稼ぐというよりも目的が少しズレてたんだなと今になって思います。

そうそう。
書店によくある「万引きは犯罪です!」の張り紙。
あれ、犯罪なのはもちろんだけど1冊盗まれると店側が大赤字になる。
ほんとに店が潰れるリスクのデカさ。
ただでさえ、出版業界がかなりガタ落ちしてるのに出来心じゃ済まないレベル。
書店に限らず“万引き、ダメ、ゼッタイ、”とフォックスサインです。

高校生の頃に石田衣良さんのデビュー作「池袋ウエストゲートパーク」が出版されて大学生になる前辺りで読み耽ってた。
今でも読み続けてるシリーズで足掛け20年以上も続いてるってそんなに長いシリーズない、と思う。もしかしたらあるのかも。
夢枕獏の「陰陽師」と赤川次郎の「三姉妹探偵団」(もうシリーズ終わってる?)くらいしかパッと思いつかない。
アラサー以上だと池袋はドラマ版で知ったって人も多いはず。
エンディングがSADSの忘却の空。
90's名曲ですね。
イントロのギターカッティングが聴こえた時点でハイ!キター!となります。

頭文字を取って通称「IWGP」。
新日本プロレスのタイトルじゃないですよ?
ストリートで起きる事件をストリートに生きる真島誠と仲間が解決していくというストーリー。
その時代に沿った問題がテーマです。
「勧善懲悪」って言葉がぴったり当てはまるスタイリッシュな作品で、1巻に短編で約4話収録なので読みやすいしオススメです。
それで石田衣良さんが好きになってそこからエッセイ以外はほとんど読んでるんだと思う。
優しくてあったかい空気が文体から伝わってくるので大好き。
一時期から恋愛やセックス方面が強いものがメインになって、それ以降は少し離れてしまったけど。

巻数が多い中でドラマは2巻目の一部までしかやってないという。
ちなみに今年「獣たちのコロシアム」が発売されて16巻目。
90年代後半はカラーギャング(懐かしい響き)全盛期の時代でそれがテーマなので劇中に出てくるGボーイズというのはその名残。
実際に全国に〇字には色でギャングを略した「○ギャン」という全身同色の見るからに周りと雰囲気が違う連中を街で見かけると「うわっ!本物いた!」と見てた。
原作知らずにドラマを知ってる人にとってはびっくりするくらい小説とギャップがあると思うけど、熱くなれますよ。
おススメです。
ドラマは出演者が今では主役級の俳優さんがゴロゴロ出ていてこれは再集結不可能だな!って分かるくらいの伝説的なドラマの一本になっちゃってます。
まさかね、それをアニメでやるのかという。
普段アニメ全く観ないけれどこれは毎回観てしまう。
焼き回しじゃなくて、新エピソードでアニメ版が始まるとなるとたまんないです。
ドラマは原作とキャラクター設定が違うけれど、原作ファンからするとクールでスタイリッシュな雰囲気で尖がった作風。
その辺りは踏襲してる。
ところがあんまり評判がよろしくないそうで。
というのも、1話を30分で綺麗にまとめられるボリュームじゃないだろ!と。
台詞の掛け合いとか!誰それがここでこう言うのがいいのに!ってところが描かれてなかったりしてモヤモヤしてしまう。
大筋のストーリーをダイジェスト版にするのはちょっと違うようなぁという気持ちになりながらも毎回観てる。

シリーズ全体で一番好きな話で唯一原作を読みながら嗚咽レベルで泣いた話がある。
「龍の涙(ドラゴンティアーズ)」という中国からの違法滞在就労者が題材になっている話があって、これもアニメ化されてる。
企業競争の廉価なモノ作りのために低賃金で労働を強いられるっていうのは目で見えない部分で尚且つ地球規模で問題化されてる事で、大企業が連なって疑惑をかけられている事でもあるし。
各企業疑惑否定はしているけれど。

全体通してここぞと言う時に何度も出てくるけど真島誠(主人公)の母ちゃんがこの話はブッチギリでかっこいい役です。
いつもしびれるけどこれは別格。
ラストのやり取りが最高なので、さすがにアニメでは泣きはしない(ダイジェストなので)だろうと思ったけれど、ついホロっとしてしまうのは内容を分かってるからっていう先入観と映像で観れる喜びの方だったのかも知れないね。
ドラゴンティアーズはホントにおススメです。

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