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それでもやっぱり海が好き

この時期になるとどこでも誰でも似たような事を言うし、書いている。
悪い意味ではなくてそんな風に位置づけられた日が来た。
あの日から10年が経ったのかと不思議な感覚になっている。
綺麗事でも何でもなく、根が張ったように忘れた事がない。
なんとなくだけれども生きる上での軸が出来ちゃったと自分では思い込んでいる。
もちろん被災された方々が経験した悲痛な想いと並べたものではなくて、到底その気持ちは自分に想像もつかないだろう。
どんなことであろうと経験に勝てるものはない.。
あくまでも自己的な涅槃に近いのだけれども人生指南のような感覚。
目の前には常に沢山の情報に溢れていて、詰まるところ「何が正しいのか分からない」が答えのひとつであって、それはどんなシチュエーションでも同じようにずっと続いている。
みんな“もしも”の世界で生きているわけで。
何かが起きなかったら触れ合う事もなかった人や場所が人生には山程ある。
それに気付けたのが3.11だった。
だからたまには会いたいなと思えるそんな人がごまんといる。



先日NHKで夕方にサバンナ高橋さんがMCをしている「沼にハマってきいてみた」という番組を観た。
アイドルグループのアンジュルム佐々木莉佳子さんがゲストで地元の気仙沼に触れる回だった。
地元のSCKというアイドルグループ出身で現在も活動中で佐々木さんはその第1期生。
何度かイベントで一緒になったりしていてSCKを知っているだけに「全国ネットでNHKか!」と驚いた。
アンジュルム、というかハロプロ全体にめちゃくちゃ詳しい知り合いがいるので聞いてみたけれど、佐々木莉佳子さんが公に震災の事とか気仙沼については然程話に出ないらしい。
それだけ特に珍しい回だったって事だろう。
”リモート里帰り”って名目で現在の景色をリーダーのまりかちゃんが繋いでいた。
画面越しの風景を観て「その店まじで美味いんだよなぁ」と、店が出てきたり懐かしい画がそこにはあって何だかふらっと行きたくなってきた。

南町の「cadocco」というワークショップが出来るところがある。
気仙沼で中高生が集まってやったイベントではじめてDJをした場所。
外からはガラス越しに中を覗けてフローリングの床張り、大きな黒板と等身大の鏡が壁にあるコミュニケーションスペース。
12月の雪が降る前にやった時は音楽で遊んで湿気と汗で中が大惨事になるくらい楽しかった。
今は居抜きになっていて、新しく出来た紫神社前商店街へリニューアル移転した。
数年前の海フェスで知り合った塚本八百屋さん(めちゃくちゃ美味しいおしゃれなダイニングバー)もここにあったりして必ず行きたい場所になった。
そのcadoccoが結成時からSCKの練習場所になっている。
そんな風景を観ていたら色んな思い出が蘇ってくるわけです。
観終わって速攻、SCKプロデューサーの佐藤さんに「遊びに行きたくなった!」ってLINEをした。

震災があって10年だけれどこれで終わりなわけじゃない。
予想はしていたけれど世間的には区切りのニュアンスが見え隠れしている。
風化させない、忘れないにはいろんな意見があるでしょう。
東北沿岸沿いへ行く度に少しずつ変化していくのが見えて楽しかったりする。

子供の頃に教えてもらった時間の流れが速くなっていく計算式がある。
1年を1単位とした場合、1歳で365日を経験した時間速度が365/1
100歳で経験する速度は365/100
新生児と100歳では3.65倍体感速度が違うっていう。
だから縁側でお茶なんか飲んだらジジババの1日は終わっちゃうんだと教わった。
「当たり前に時間が過ぎるんだったら好きな事を本気でやったらいいよ」と言ってくれたのが誰だったのかは全く覚えていないけれど、感化されたのは確かだ。
正しく、そんなのは綺麗事で好きなことを本気でやるなんて到底無理な話だと思った。
人は何かにつけ理由を付ける。
言い訳と言ってもいい。
学校、仕事、家族、友達、金、時間
分かってはいるけれど出来るわけがない、それが今までの自分だった。
「明日が来るなんて思わない方がいい」
これも誰かに言われたことだった。
決してネガティブなニュアンスではなくて、後悔しない生き方の真意な気がする。
震災以降はなるだけそれに近づくようにしてきた。
10年経ったけれど変われたのかな。
3.11はそんなことを毎年思う。

2012年からあの日出来なかった事をして過ごす日になった。
午後に黙祷をし、夜には映画に舞台、ライブを観に行ったり、会いたい人には会って少し豪華な食事をしている。
今年もだ。
忘れちゃいけない日は誰かの記念日だったりする。
1つの大きな出来事がいくつも重なった日。
それでいいんじゃないか毎年誰かに声を掛けている。
この先どんな世界になっているかは分からないけれど、せめてもの同じ時間を周りだけでも楽しく生きれたらいい。
この10年、波風が物凄く立って転びまくった人生だけど後悔はしていない。
少しはそうあれと自分らしく生きてこれたんだと今日の日に。

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