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サンタクロースを信じた小5の出来事

サンタクロースなんて本当にいるのか?
その疑問が膨れ上がる小学校高学年。
疑いが晴れないままではあるが母親に聞かれた。

「今年はサンタさんに何をお願いするの?」

もちろん「ゾイド!」と答えた。
ゾイドとは当時流行っていた恐竜型のおもちゃである。
CMもばんばんやっていて、僕らはゾイドを持っている友達の家に行ってはそのカッコよさにほれぼれしていた。

ただ、少し高かった気がする。
5000円は超えていた気がするのだ。

サンタさんに高いものをお願いするのだから、毎日の家事もたくさん手伝った方がいいし、勉強もたくさんやった方がいいと思った。
その日から自分は変わった。

サッカーの練習に行ってから、しっかり勉強をし、皿洗いなども担当。
雨戸締め、風呂洗い、冬だから大して乾燥もしていないのに、植木に毎日水をやっていた。

「サンタさんに手紙をかいたら?」

母親が言ってくれたので、
日本語でよいか迷ったが手紙を書くことにした。
ゾイドに対する熱い思いを込めた長文を、なるべき綺麗な字で書いた。
意外に切手代が高かったが、母親がくれた雑誌の宛先に送った。

クリスマスイブはドキドキが止まらなかった。
明日の朝起きたらゾイドがあるのだ。
実は電池は既に買ってあり、すぐに遊べるのだ。

色々大変だったが自分は頑張れたと思う。
そう思っていつの間にか眠った。


*******


朝起きたら、そこには「凧」があった。

空に上げる凧があった。

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すぐにわかったことは、電池は使わないだろうってことだ。
そしてもう1つ思ったことがある。

両親がサンタクロースだったらこんなヒドイ仕打ちはしない。
だから、サンタクロースは本当にいるのだろうと察した。

ポストには自分宛てに手紙がきていて
それは何とサンタクロースからだった。
自分には読めない異国の文字で書かれていた。

きっとゾイドに関して何かがあったんだろう。
「フィンランドにはなかったよ。ごめんね。代わりに凧あげてね」とかそんな感じのことを書き記してくれているのだろう。

何も読めないがそんな気がして、凧をあげるために外に出た。