見出し画像

しおかぜレモンのまち〜プロローグ

#0「レモンブリーズ」


レモンブリーズ、
アドリア海のどこかに浮かぶ王国の小さな島
人間の歴史よりずっとずっと古くから
ここには妖精たちが住んでいる
青空に映える爽やかな森、
澄み切った水が輝く世界。

清らかな川や湖、峡谷や滝。
美しい海岸線、山々の峰々。
全てが絵画のように輝き、
心を洗う美しさに包まれた場所。


かつて、この島には大きな都市があった
技術を発達させて、便利に快適にしようとした
でも、本当の幸せはやってこなかった

息子が大好きな王様は、
心優しい王子の案を聞き入れる
この国に住むすべての妖精〜ココロコたちに、無料で土地と住居を提供した
その代わりに作物を育て、生きること
そして、美しい土地にすること



するとどうだろう
ココロコたちは、自然と共に生きることの大切さ、
そこから生まれる、生きる喜びを知った
季節が織りなす一瞬一瞬を、大切にするようになった
都市がなくなり、土と水、空気を愛し
植物がペットのように慕ってきた
自然に触れることで、大地からの愛を感じ
心が透き通っていった


「生まれてくるものたちはすべて、
周りにある、ありのままのものだけで幸せに生きていけるんだ」
王子はかたく信じる
「それは動物や植物だけでなく、ココロコも同じなんだ」


夕暮れ時、空が染まる。
海沿いの森には柑橘系の爽やかな香りが漂う。
レモンブリーズは、
生命力に満ちあふれ、あたたかな光に包まれた。
この世界で呼吸をすると、
体中の細胞が喜びに震える。

レモンブリーズ、
美しいアドリア海のどこかにある
心を癒し、肩の力を抜く場所。
自然と共に生きることの素晴らしさを、
静かに教えてくれる場所。

そこにいるだけで幸せだと、実感できる場所

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?