022

六十歳の誕生日に
孫からプレゼントをもらった
孫はまだ小さかったから
プレゼントは手作りの箱に入っていた
なんだかもったいなくて
この子が成人するまで
開けずに取っておこうと決めた
その孫がハタチになった
取っておいてよかったと思った
体力も知力も衰えた老人にとって
これほど楽しみなことはない
大切にしまっておいたおかげで
箱はまだ綺麗だった
揺すっても音はしない
押してみても手応えがない
中身があると思っていたのはわたしの勘違いなのだろうか
もしかしたらこの箱自体がプレゼントだったのかも
そう思うとかえって気が楽になった
開けてみると
思いがけず青空が広がっていた
不思議と晴れやかな気持ちが満ちてきた
心が満たされてしまったようだよ
呼んでるのは誰だい
もう眠くて仕方がないよ

#箱の問題

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