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公園を歩いていると
一枚の紙が目の前を横切った
その後を男の子が追いかけていく
紙は彼の指先を付かず離れず
もどかしく舞っている
やっと掴んだと思った瞬間に
少年は芝生に倒れ込んだ
はずみで身体がばらばらに砕けて
空に吸い込まれていった
それは数えきれないほどの蝶だった
気がつけば辺りはもう暗くて
彼は光をこぼしながら昇っていく
ぼくはそれを静かに見送る

#蝶の問題

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