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銀ちゃんといっしょ 28

ごんさんぽ 4

ごんさんぽのメインのコースは
河原の土手の上の公園です

いつものように歩いていると
ちょっと小荷物を自転車の前かごに入れて
自転車を押して歩いてる女性が前から来ました
キョロキョロといろいろな所に目をやりながら
ゆっくりと歩いて来ました

初めて見た人だけど
そんな動きをする人はよく見かけます

野良猫に餌をやる人です

野良猫に餌をあげるのは
良い事か悪い事か

ペットショップで生体を購入するのは
良い事か悪い事か

飼い猫が外へ出るのを自由にしてるのは
良い事か悪い事か

いろんな意見があるけど
私には私の意見がそれなりにあります

その中で野良猫に餌をやる人
私の意見としては〝なし〟です
その猫に対して何か責任を果たしているなら別です
そうじゃない人は餌を与えている〝自分〟が
一番可愛いんだと思う

でも
でも……
小さな袋に餌を入れてトボトボと歩いて来た人が
野良猫にその餌を与え
愛おしそうに眺めたり頭を撫でたりする姿を見ると
何も言えなくなる私がいます
この人の人生の一片なんだろうな
この猫にとっても…と…

……そんな気持ちを持って
ごん太と歩きながらその女性を見ていました

最近見かけなくなったけど
いつも野良猫たちが餌をもらって食べている辺りで
その女性は自転車をとめ
袋の中をガサガサと物色し始めました

〝やっぱりな〟って思って立ち止まり
遠目で見ていると
取り出したのは小さなスケッチブックでした
スケッチブックとペンを持ち
見上げた先を見ると
樹に可愛らしい実がたくさん生っていました

先入観ですね

つまらない先入観で人を疑い
そんな可愛らしい樹木の姿にも気がつかなかった私
なんかしょんぼりした気分になっていたら

〝はよ行くで~〟って

ごん太が無邪気に跳び跳ねながら走り出しました

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